hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

カルヴィン・トムキンズ『優雅な生活が最高の復讐である』を読む

2018年02月28日 | 読書2

 

カルヴィン・トムキンズ著、青山南訳『優雅な生活が最高の復讐である』(1984年リブロポート発行)を読んだ。

 

原題は、”Living Well Is the Revenge” で、スペインのことわざ。もともとの意味は、「復讐なんかせずに自分らしく豊かに暮らしたら」という意味だろう。この本では、「現実は辛いことが多いのだが、乗り越えようとするには優雅に暮らすことだ」くらいの意味。

 

スコット・フィッツジェラルドの『夜はやさし』"Tender is the Night"の主人公であるダイバー夫妻のモデルとなったマーフィー夫妻ついて、インタビューなどをもとに書かれた本。

 

1920年代の好景気に、ヨーロッパで暮らしたアメリカ人上流階級のマーフィー夫妻の優雅な生活が語られる。囲む人は著名人。フィッツジェラルド夫妻の外に、アーネスト・ヘミングウェイ、ピカソ、レジェ、コール・ポーターなど。

 

それでも、マーフィーは、二人の子供を亡くし、父親の会社を継いだ兄が破産寸前にして、心ならずも再建携わり22年を費やした。

「(たいへんな)現実は無視するってことかい」とスコット・フィッツジェラルドが聞くと、マーフィーは答えた。

「無視はしないが、そういうことを過大視する気にはなれない。大事なのは、なにをするかじゃなくて、なにに心を傾けるかだとおもっている。」

 

マーフィー夫婦はフィッツジェラルドの有為転変の晩年にも手を差し伸ばし続けた。貸した金を彼が返済してきたときには、マーフィーは「きみに重荷を負わせたと思うよりは、きみに奉仕したと思っていたい。返そうなんて考えはどうか捨ててください」と手紙を書いた。フィッツジェラルドは1940年にマーフィーに手紙を書いた。

「きみとセーラの援助が・・・・・・この世で唯一のうれしい人間らしい出来事だったと思うことがよくありました。人は通りすぎて、ぼくを忘れていく、と生意気にも考えていたのですから」。

数か月後、二人はかれの葬儀に参列した。

 

2組の夫婦が出会ったとき、既にフィッツジェラルド夫妻の自壊衝動は始まっていた。妻・ゼルダは言った。

「知らなかったの? あたしたち、なにかを守るなんてこと、てんから信じちゃいないのよ」

やがて、ゼルダの統合失調症はひどくなっていく。

 

この本の中ほどには、マーフィー夫婦と、ピカソ、コール・ポーター、ヘミングウェイ、ルドルフ・ヴァレンチノ、フィッツジェラルド夫妻などと交流する写真が25ページも並ぶ。

 

この本の装丁は、かなり変わっている。まず、紙がピンク色の粗いわら半紙状で、字が鮮明でない。おまけに、本文中のタイトル、目次、注釈の字が極小。測ると1mm角。変わったブックデザインの「伝説本」で、1600円の単行本が今数千円するらしい。図書館様様だ。もっとも今は新潮社から文庫本が出版されているのだが。

 

スコット・フィッツジェラルド著の『夜はやさし』は、前半ではマーフィー夫婦をモデルに書いているが、後半の自己破壊的なところはフィッツジェラルド夫婦に置き換わっているらしい。(私は未読)

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

 

アメリカの文化的金持ちがヨーロッパで優雅に暮らしている様子が書かれていて、多少の興味はあるのだが、縁のない話にうんざりしてきて、飛ばし読みしてしまった。でも、

 

そりゃ辛いこともあったとは思うが、主人公のマーフィーは親の遺産によるものすごい金持ち。そりゃ優雅に暮らせますは! 悪くとれば、センスだけはある金持ちが芸術家と遊び暮らした記録に過ぎない。マーフィー自身は「作品としての生活」というのだが。

 

 

 

カルヴィン・トムキンズ Calvin Tomkins
1925年、ニュー・ジャージー州生れ。1948年、プリンストン大学卒業。

雑誌「ニューヨーカー」のスタッフ・ライターとして活躍し、主にアート関係の文章を手がける 



青山南
1949年、福島県生れ。早大卒。主にアメリカ小説の翻訳と紹介にたずさわる。エッセイストでもある。

著書『ホテル・カリフォルニア以後』、訳書、ドス・パソス『さればスペイン』、ゼルダ・フィッツジェラルド『こわれる』など。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チョコ 2種

2018年02月26日 | 食べ物

 

東急吉祥寺店で2/8~2/14開催されていた「KITIJOJI ショコラストリート」の2種をご紹介。


北海道か、空港店へ行かないと買えないという「ロイズ(ROYCE)」の生チョコレート
1995年に通年販売を開始したが、冷蔵が必要なため空港の1店舗で販売。しかし、CAの口コミから人気が広がり、今ではロイズの看板商品に成長。

生チョコレート:チョコレート生地に生クリームや洋酒を加え、やわらかになめらかに仕上げたチョコレート

ただし、生クリームが全重量の10%以上で、水分が全重量の10%以上という条件がある。

冷蔵保存で、日持ちがしないが、ともかく爽やかで、とろりとして美味。

 

内外の有名のチョコレートが一堂に集まっていて、
プレゼントされた「Pierre Ledentのchocolatier」も店を出していた。高くてびっくり。


変わったもの好きの私が買ったには、「両論賛否」の和素材のチョコレート。

嫌いな人は嫌いで良いと言っている「両論賛否」という名前が気に入った。
開店から現在まで常に予約満杯を誇るオーナーシェフ笠原将弘の日本料理店の名前だという。

「厳選された和素材と、枠に囚われない自由な発想から生まれた本格的ショコラ」という。

シナモン、しょうゆ、酒粕&和酒などが並んでいたが、ほうじ茶を選択。

味は、美味しいが、変わっている(両論賛否)。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東野圭吾『殺人の門』を読む

2018年02月24日 | 読書2

 

東野圭吾著『殺人の門』(角川文庫 ひ16-4、2006年6月25日)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なのだろうか?人が人を殺すという行為は如何なることか。直木賞作家が描く、「憎悪」と「殺意」の一大叙事詩。
解説・北上次郎

 

刑事が言った。(580ページ)

「・・・あなたの場合、何らかの引き金が必要なのかもしれませんね。それがないかぎり、殺人者となり門をくぐることはできないというわけです。・・・」

 

 

この作品は2003年8月角川書店より単行本として刊行。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

悪人の倉持修に興味が湧く。徹底した悪人なのか、中途半端なのか? 和幸を助けたいのか、貶めたいのか。両方だと思える。

佐倉洋平が言う。(599ページ)

「・・・皮肉なことに、彼が心から信じられるのは、捨て石として抜擢した相手だけなんだ。だからそんなあなたは彼にとって友人だったのです。・・・ただし、それには若干の条件が付きますが」

「捨て石として役に立たないほどには幸せにしない、ということです」

各種詐欺商法がこれでもかというほど出てくる。基本的には同じパターンなので、どうして騙されるのか理解に苦しむが、オレオレ詐欺が隆盛し続けているということは騙される人が多くいるということなのだろう。読んでいて、途中から、相変わらず騙され続ける和幸の馬鹿さ加減にうんざりした。いくらなんでも学習しろよと思う。

 

「和幸」という名前で友人を思い出した。彼は「‘かずゆき’の‘かず’は不和の‘わ’で、‘ゆき’は不幸の‘こう’と書きます」自己紹介していた。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

田島和幸:主人公

田島健介:和幸の父。歯科医。

田島峰子:和幸の母

トミエ:トミさん。祖母の介護を主とする家政婦

ハルさん:家政婦

志摩子:父の愛人。バーのホステス。

 

倉持修:和幸の小学校以来の友人。実家は豆腐屋。

木原雅輝:和幸の中学の同級生

江尻陽子:和幸が中学の時に公営プールのアルバイトで知り合った。

津村香苗:和幸と付き合う。

 

小杉:和幸と会社の独身寮で同室。ツッパリ上がり。彼女はナオコ。

藤田:会社の3歳上の同僚。いじわる。

 

山下:金セールスの東西商事の幹部

黒沢:東西商事のセールスレディ。変装名人。

川本房江:東西商事の客。他に宮内公恵、牧場喜久夫。

上原由希子:牧場喜久夫を心配する女性。美人。

 

関口美晴:上原由希子の高校の同級生

寺岡理栄子:和幸の家具店の客。本名は村岡公子。

 

佐倉洋平:経営コンサルタント。ガンさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今村夏子『あひる』を読む

2018年02月22日 | 読書2

 

今村夏子著『あひる』(2016年11月21日書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)発行)を読んだ。

 

「あひる」

山奥に住んでいた人が引越すので、飼っていた“のりたま”という名のあひるをもらい受けた。30歳を超えたわたしは未だ就職もせず、医療系の試験勉強しながら家にいて、明るく元気だった弟が荒れて家を出て、離れて暮らすようになり、両親は落ち込んでいた。そこにのりたまがやって来たのだ。

 

そのあひるがいるあひる小屋を下校時の子どもたちが「かわいい」と眺めて遊ぶようになった。父と母は孫がたくさんできたようだと、縁側から子どもたちが集まってくる庭を眺めながら顔をほころばせていた。のりたまの方は徐々に食欲を失い、一か月もたたないうちに、体調を崩し入院する。2週間後、戻って来たのりたまを見て、わたしは、これはのりたまではないと気づいたが、口にできなかった。両親も子どもたちも不思議と気づかず、ただ復活を喜んでいた。
父はあひる小屋の鍵を子どもたちが自由に遊べるように金網に吊るし、子どもたちがのりたまを自由に水浴びさせたり、散歩させたりできるようにした。ひと月たたないうちにのりたまは元気をなくした。やがて、子どもたちのうちの何人かは、学校帰りに我が家に立ち寄って客間で宿題をやってからそれぞれの自宅へ帰っていくようになった。ふた月もたとうかというころに再びのりたまは入院し、十日後に帰って来た。こんども前ののりたまとは違っていた。

 

両親はある子どもの誕生会を準備したが、子どもたちは誰も来なかった。その夜遅くひとり男の子が家の鍵を忘れたといって家に上がり込み、準備したのに余ったカレーとケーキをたっぷり食べて帰って行った。翌朝わたくしは、小屋の外からのりたまに呼びかけた。「ゆうべはありがとう。お父さんとお母さん、あなたが来てくれて嬉しそうだった」。のりたまのくちばしには生クリームは付いていなかった。のりたまは死んで、庭にお墓を作った。

弟がやって来て・・・。

 

「おばあちゃんの家」

みのりは小学校から帰ると洗濯物をおばあちゃんの家まで届けに行く。小学校1年生のとき、一人でお祭りに行って、近道で道に迷い、おばあちゃんに迎えに来てもらった。

 

「森の兄妹」

モリオと妹のモリコは三時のおやつはいつもそのへんで調達している。大きな家の庭になっていたビワを取って食べていると、小屋から「おいで」というおばあさんの声が聞こえる。

 

 

初出は、「あひる」:「たべるのがおそいvol.1」2016年4月、「おばあちゃんの家」・「森の兄妹」:書き下ろし

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

このかったるく、何でもないようで、ちょっと不思議で、どこか寂しげなゆったりと続く話が私のフィーリングに合う。「あひる」が何かを象徴しているような気がするが、まあいいだろう、そのまま受け取ろう。

 

今村さんは自分の世界を作り上げるのが上手く、フィーリングが合う人はすぐに引き込まれてしまう。そうでない人には、面白みのない話になるのだろう。

 

 

今村夏子の略歴と既読本リスト

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

池井戸潤『ようこそ、わが家へ』を読む

2018年02月20日 | 読書2

池井戸潤著『ようこそ、わが家へ』(小学館文庫い39-2、2013年7月10日小学館発行)を読んだ。

 

裏表紙にこうある。

真面目なだけが取り柄の会社員・倉田太一は、ある夏の日、駅のホームで割り込み男を注意した。すると、その日から倉田家に対する嫌がらせが相次ぐようになる。花壇は踏み荒らされ、郵便ポストには瀕死のネコが投げ込まれた。さらに車は傷つけられ、部屋からは盗聴器まで見つかった。執拗に続く攻撃から穏やかな日常を取り戻すべく、一家はストーカーとの対決を決意する。一方、出向先のナカノ電子部品でも、倉田は営業部長に不正の疑惑を抱いたことから、窮地に追い込まれていく。直木賞作家が“身近に潜む恐怖"を描く文庫オリジナル長編。(解説・村上貴史)

 

倉田家は警察に被害届を出したが、真剣な捜査は期待できない一方、単なる嫌がらせのレベルと超えて異常にヒートアップする。そこで、自分たちで犯人を突き止めようと行動する。

 

一方で太一の勤める会社では営業部長が横柄でいかにも不正のにおいがする行動をとり続ける。部下の経理担当の摂子の助けを得て、証拠を集め、優柔不断の太一も決心して社長への直訴するも信頼が得られず跳ね返される。

 

家庭では高額な出費を惜しまず監視カメラや、盗聴器発見器を購入して、犯人の手がかりをつかみ、さらなる行動にでる。

 

 

本書は「文芸ポスト」2005年秋号~2007年冬号掲載作品を加筆修正し文庫オリジナルとして刊行。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

平凡な家庭に次々とエスカレートして遅いかから嫌がらせ。どこにでもありそうか事から、徐々に耐えられない犯罪に。単なる嫌がらせのレベルを超えてきている理由は、実は・・・。

 

会社での営業部長の不正をめぐる、暴こうとする側と言い逃れようとする側に戦いも、私には経理上の理屈はわからないながら、面白い。

 

 

 

池井戸潤(いけいど・じゅん)

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。

1988年三菱銀行に入行。1995年退職。

1998年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞受賞

2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞受賞

2011年『下町ロケット』で直木賞受賞

他に、半沢直樹シリーズの『オレたちバブル入行組』・『オレたち花のバブル組』・『ロスジェネの逆襲』、『空飛ぶタイヤ』

 

 

登場人物

 倉田家

倉田太一(くらた・たいち):主人公。今年52歳。温和で臆病。青葉銀行から去年、中堅企業のナカノ電子部品に出向し、総務部長。

倉田珪子(けいこ):太一の妻。地域のボランティア活動に参加。レザークラフト教室。

倉田健太(けんた):太一と珪子の長男。私立大学2年生。率先して犯人探しをする。

倉田七菜(なな):太一と珪子の長女。高校3年生。

 

ナカノ電子部品

持川徹創業二代目の社長

西沢摂子経理担当。30代後半、シングルマザー。仕事ができる。

真瀬博樹営業部長。横柄な態度で雄弁。55歳。

平井営業部課長。40代。

江口浩規(ひろき)配送課。

 

青葉銀行

村井浩一ナカノ電子部品の融資担当

八木通春:人事部。倉田と同期。

 

都築警察

枚方:刑事。相棒は尾村。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

免許証と自転車を返納

2018年02月18日 | 老後

 

昨年末に免許証更新のはがきが来た。

 

講習区分「高齢」というのが、気に食わない。といってもやむを得ない。

 

注意書きには、

 

 75歳以上の方は、「認知症機能検査」が必要とある。

 

かねてから、75歳になったら運転免許証自主返納と決めていたので、最寄りの警察署へこうべを垂れて出頭した。

顔写真付き証明書としてパスポートやマイナンバーカードを持ち歩くのも嫌なので、「運転経歴証明書」を作ることとした。手数料と顔写真を持参し、1,000円を支払った。試験場なら即日交付だが、警察署では約2週間かかる。

 

 

その場で「申請による運転免許の取消通知書」を受け取る。

 

後日郵送されてきたのは以下、

 

 

また、杉並区では、75歳以上で自主返納するとICカード乗車券5千円相当が支給される。このため、75歳になるまで待っていたのだ。

 

 

「申請による運転免許の取消通知書」を区役所支所に持参し、スイカは持っているので、パスモを希望した。

約3週間後にPASMOが郵送されてきた。

 


一方、警察でくれたのは、これ。

 靴じゃありませんよ。靴のかかとに貼る反射板。たったこれだけ。こんなものと言いながら、喜んでさっそく貼り付けているのは? それは私です。

 


ついでに、ケガしても、ケガさせてもと、自転車置場の登録を解除し、自転車も800円なりを支払い、粗大ごみで回収してもらった。

 

車は数年前に手放したし、バスは時間が不確定で嫌いなので、もっぱら電車を利用し、タクシーもどんどん使い倒し、それでも健康のために一時間内ならなるべくこの足で歩こうと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北大路公子『生きていてもいいかしら日記』を読む

2018年02月16日 | 読書2

 

北大路公子著『生きていてもいいかしら日記』(PHP文芸文庫2012年6月1日PHP研究所発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

40代、独身。好きなもの、昼酒。座右の銘は「好奇心は身を滅ぼす」。“いいとこなし"に見えるけれど、なぜかおかしいキミコの日々。「結婚しないの?」と聞かれた時の答え方、圧力鍋との15年戦争、父のゴミ分別の不可解なルール、朝はなぜ眠いのかについての考察など、日常の出来事に無駄な妄想で切り込んでいく。読んでも何の役にも立たないけれど、思わず笑いがこみあげて、不思議と元気が出てくるエッセイ集。

 

北大路さんの嫌味がなく、明るい自虐ネタがさく裂する。行動範囲もほぼ家の中で、たまに居酒屋くらいなのにオモロイ話がゾロゾロ続く。

偉人伝が好きな北大路さん、

「世の中には努力して頑張っている人がこんなにたくさんいるのだから、私はそれほど頑張らなくてもいいや」という人生観を確立できた。

 

「光回線いかがっすかー」と電話をかけてくる長浜ノリコ(仮名)はしつこい。

最初に「奥様ですね」と決めつけたノリコに、キミコは言う。「私はわからない。わかる夫は留守だ」

ところが最近、その長浜ノリコの態度が微妙に変化してきたのである。電話の曜日と時間帯をずらし、そのすべてにおいて「夫」の不在を確認すると、「ではいつならご在宅でしょうか」と畳みかける

・・・

かくして、世界中どこにも実在しない私の夫(推定氏名・北大路浩一)を巡り、長浜ノリコと私の闘いは本格的に火蓋を切った。

 

{もう一言}

ノリコとの勝負より北大路浩一の獲得に力を注ぐべきだったのでは、とも思います。

 

私は常に「佐藤浩市がとなりに越してきた場合」を考えて生きている。

 

解説―疑惑と告白 恩田陸

「この人に一生ついていこうと決めました。」と絶賛。「任せなさい、佐藤浩市は!」と悪乗りしている。

 

 

本書は、(「サンデー毎日」連載のエッセイをもとに、)2008年1月毎日新聞社より刊行された作品に、微妙に加筆・修正し、文庫化したものです。(「微妙に」って書いてあったが、何??)

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

ともかく笑える。この時代、本読んでこれ以上深刻になってもしかたない。笑えるのが一番だ。自虐ネタ満載だが、すべてが明るく楽しい。

 

北王路公子(きたおうじ・きみこ)

1963年札幌市生まれ。札幌市在住。大学卒業後、帰郷して祖母の介護をしながら暮らす。その後、フリーライターとして新開の書評欄や文芸誌などに寄稿。

20代の頃に書いた小説が文芸誌の新人賞を。

2001年頃からインターネットで「モヘジ」の名で日記を綴り始める。

2005年に『枕もとに靴』、2006年に『最後のおでん』を寿郎社から出版。

「公子」は北海道に移転してきた日本ハムファイターズから「ハム子」ってことでつけられた。

2006年から「サンデー毎日」でエッセイの連載を開始。

座右の銘は、覇気のなさから「好奇心は身を滅ぼす」。

著書に、『枕もとに靴――ああ無情の泥酔日記』『最後のおでん――続・ああ無情の泥酔日記』『ぐうたら旅日記――恐山・知床をゆく』『石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常』

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

湊かなえ『豆の上で眠る』を読む

2018年02月14日 | 読書2

 

湊かなえ著『豆の上で眠る』(2014年3月30日新潮社発行)を読んだ。

 

新潮社の宣伝は以下。

小学校一年生の時、結衣子(ゆいこ)の二歳上の姉・万佑子(まゆこ)が失踪した。スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微(かす)かな違和感を抱き続けている。――お姉ちゃん、あなたは本物なの? 辿り着いた真実に足元から頽(くずお)れる衝撃の姉妹ミステリー。

 

 

題名「豆の上で眠る」は、アンデルセン童話「えんどうまめの上にねたおひめさま」から。

ストーリーは以下。

 「本物のお姫様」を探し求める王子様のところへ一人の少女がやって来る。お姫様か確かめるために、少女のベッドに一粒のえんどう豆を置き、その上に毛布を何枚も敷く。もし本物のお姫様ならば、感触を感じることができるだという。

 要するに、「本物か、偽物なのか」を確かめたいという話だ。

 

前半は行方不明の姉を、頼りにならない警察を差し置いて家族、とくに母親が異常なくらいな手段をろうして探し求める話。

 

後半は、妹が姉はなぜか本物ではないと疑う話。妹は、いろいろなカマをかけるが、正しい答えが返って来るし、昔の思い出にも矛盾がない。しかも、最新技術で再度DNA鑑定をしたが、父母の子供だと証明される。

それでも妹は、”あのお姉ちゃん”とはなにか違うと違和感を払しょくできない。

  

初出:「週刊新潮」2013年2月14日号~9月19日号

2017年6月新潮文庫化

  

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

話としてはよくできていて、最後のオチ、どんでん返しにも納得だ。ただ、いまひとつ、盛り上がらない。

 

母が周囲の人、近所の人と摩擦を起こしながら、執念であの手この手を駆使して探し回る。ただ、冒頭で成人した姉が出てくるので、読者には姉が結局家に戻ったのだとわかった上での必死の探索だとわかっているので、醒めてしまう。

 

戻ってきた姉が本物ではないという違和感の元がはっきり明示されず、スリルが盛り上がらない。

 

 

湊かなえ(みなと・かなえ)

1973(昭和48)年、広島県生まれ。

2007(平成19)年、「聖職者」で小説推理新人賞受賞。

2009年、同作を収録する『告白』が本屋大賞を受賞。

2012年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門受賞。

2016年『ユートピア』で山本周五郎賞受賞。

他の著書に『少女』『贖罪』『Nのために』『夜行観覧車』『往復書簡』『花の鎖』『境遇』『サファイア』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『望郷』『高校入試』『豆の上で眠る』『山女日記』『物語のおわり』『絶唱』『リバース』『ポイズンドーター・ホーリーマザー』。

エッセイ集『山猫珈琲』など。

 

 

登場人物

 

安西結衣子(ゆいこ):主人公。

安西万佑子(まゆこ):二歳年上の姉

安西春花:母。旧姓楢原(ならはら)。育ちが良く、世間体を気にする。

安西忠彦:父。

ブランカ:結衣子が子供の頃飼っていた真白い猫。

祖母:母・春花の母。

楢原冬実:母・春花の妹。

 

<まるいち>のおばさん:近くの小さな店のおばさん。丸谷一雄の妻。

池上さん:近所の主婦。看護師。

<ホライズン>:自転車で15分位の所にあるスーパー

 

柿原風香:小学6年の女子。白い車の後部座席かの万佑子ちゃんを目撃。

山本奈津美:なっちゃん。小学6年の女子。白い車の後部座席かの万佑子ちゃんを目撃。

 

友田:警察官

 

沙紀:主人公が大学生の時の喫茶店のバイト仲間。

岸田広恵:父・忠彦の中学・高校の同級生。

岸田奈美子:広恵の姉。

遙:奈美子の娘

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東野圭吾『危険なビーナス』を読む

2018年02月12日 | 読書2

 

東野圭吾著『危険なビーナス』(2016年8月26日講談社発行)を読んだ。

 

 

動物病院の獣医・手島伯朗に、弟・明人の妻だと名乗る矢島楓から電話がかかる。誰にも知らせずに結婚したという。しかも、明人が行方不明だと告げる。

 

父・一清は伯朗が5歳のときに病死し、その後、母・禎子は、病院など経営する資産家の息子・矢神康治と再婚し、9歳下の弟・矢島明人が生まれた。その後、伯朗は矢島家からは遠ざかり、疎遠になっていた。

 

伯朗と明人の父・康治が危篤であると聞いて、明人と楓はシアトルから急遽帰国したが、すぐに明人が書置きを残し失踪したという。惚れやすい伯朗は魅力的な美人の楓に協力して、明人を探すことにする。

 

関わりがあると見た矢神家の人たちを調べるため、伯朗は楓をつれて、久しぶりに矢神家を訪れる。

 

伯朗は型破りに明るく、セクシーな楓に思うがままに扱われ、どんどんのめり込んで行く。

 

 

本書は書下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

内容が薄いので、★★★(三つ星)が適切かとも思ったが、「楽しく読めればいいじゃないか」ということで★★★★(四つ星)とした。

 

相変わらずの東野作品は、ともかく楽しく読める。内容がないから楽しくスイスイ読めるのではと思ってしまう。読後感はほぼ何も残らないし、読んでいるときにも引っ掛かりや、感動や、哀しい気持ちになることはない。

 

惚れやすく、それを悟られやすい伯朗の幼さと、魅力を最大限生かして操る楓のコンビがおもろく、次の展開を早く知りたくなってしまう。いかにも怪しい楓だが、溌剌としていて、湿っぽくさ、ゼロなのがいい。

 

一気に読んで、最後に最後でバタバタと意外な犯人が明らかになるといういつもの展開だが、謎解き自体はそれほど感心しない。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

 

手島伯朗:池田動物病院の獣医。主人公。

手島一清:伯朗が5歳の時に病死した父。画家。

手島禎子:伯朗の母。一清の死後に康治と結婚。明人を生む。16年前に事故死。

 

兼岩順子:禎子の妹。

兼岩憲三:順子の夫。数学の教授。

 

矢神康之介:康治の父。病院の創立者で事業を拡張。

矢神康治:禎子と再婚。明人の父。病院の副院長。神経科。膵臓がんで闘病中。

矢神波恵:康治の妹。矢神家を仕切る。

支倉隆司:祥子の夫。

支倉祥子:康治の次妹。

支倉百合華(ゆりか):隆司祥子の娘。清楚系美人。明人が好きで楓に反感を持つ。

矢神牧雄:康治の長弟。偏屈な数学者。

矢島佐代:康之介の養子。実は愛人。銀座のクラブのママ。

矢島勇磨:康之介の養子。実は康之介佐代の息子

 

蔭山元美:池田動物病院の助手

池田幸義:池田動物病院の院長。80歳目前。

 

矢神明人(あきと)伯朗の9歳下の異母弟

矢神楓:矢神明人の妻。魅力的美人。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米津一成『追い風ライダー』を読む

2018年02月10日 | 読書2

 

米津一成著『追い風ライダー』(2012年11月30日スターダイバー発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

「ねぇ、今度連れてって」「え?」「今度の日曜は?」「それは自転車で、という話か?」
「自転車乗りかどうか確かめてから言ってるんだから自転車に決まってるじゃない」
彼女はさらに俺を睨む。わけがわからなくなったきた。今まで何度かおミズから
「食事連れてって」と誘われたことはあったが、これはどういう展開だ?
             ――自転車を通じてゆるやかに繋がる5つの物語

 

 

桜の木の下で

(奥多摩大回りコース90km  武蔵五日市から鶴峠、奥多摩湖を通って青梅まで)

仲良しの旦那さんを事故で亡くした翻訳家の妻(島田)が、走ったコースを紹介していた彼のブログを、更新し続けるため、彼の残した地図を眺めていろいろなコースを走る。最後のページの写真にある廃校前の満開の桜があまりにも美しい。

 

大切なことはそのひとつひとつの事象じゃなくて、どんな時でも、どんなことでも「あなたの味方だよ」というサインを送り続けてくれたことなのだと思う。

 

キャットシッター

(駒沢公園サイクリングコース 1.9km)

高梨杏子は会社に自転車通勤し、同時に、出張などで留守する人の自宅に行って猫の世話をするキャットシッターのアルバイトをしている。仕事できる友人の柴崎一恵が自分について語る。

 

「・・・端から見れば取り入るためにやってるとしか見えないだろうけど。やってる本人は・・・気持ちが通ずるドアを開けるためにやっている感じ。なんでそんなことまでするのかっていうと、あたしが『人』を好きだからなのよね。たぶん」

 

旧友の自転車屋 

(荒川サイクリングコース  笹目橋→大宮運動場 15km)

高梨の会社の課長の田崎純は叔父の見舞いに行く時にふと、荒川サイクリングロードを自転車で走ることを思いつく。途中で小学校の友達で、親の自転車屋を継いだ石山に会う。彼は言う。

「・・・『この商売で食っていけるのか』じゃなくて『この商売で食っていきたい』って気持ちになったのさ」

 

勇気の貯金

(ランドヌールクラブ埼玉 チャレンジ霞ヶ浦200km)

小学4年のとき、土浦から東京へ引越した関口は、家出して土浦の祖母の家まで80kmを自転車で走った。その彼が今、霞ケ浦へのコース設定にチャレンジする。

 

ロードバイクに乗る誰もが最初は「距離」をモチベーションにする。・・・自転車で長い距離を走ること、それは勇気の連鎖だと思う。・・・だからその入口である二百キロのコースで「勇気の貯金」をしてほしいと思うのだ。

 

ブルべ(Brevet) フランス発祥の伝統の長距離サイクリングイベント。規定距離を規定時間内で走破することにより完走の認定が与えられる。一般には200km、300km、400km、600kmの4つの距離があるが、さらに1,000kmを超える超長距離もある。

 

さとうきび畑

ツール・ド・おきなわ 市民210キロレース)

関谷健次はレースに出て恩人の真行寺に大けがをさせて以後、レースには出ていない。ロードバイクに乗って5、6年というオミズ(水商売)の新垣沙紀に、今度サイクリングロードに連れてってと誘われる。沙紀は夢の実現のためにお金を貯めているという。

 

 

2015年、徳間文庫からも刊行されている。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

表紙の漫画チックな絵でわかるように、いわゆるライトノベルなので、文体が軽く、想像通りな展開になるのだが、ともかく気軽に読める。

 

ただ、すべて高速走行用の自転車であるロードバイクの話なので、興味ない人は読みにくい、というか読む気がしないだろう。

ママチャリとマウンテンバイク以外は乗ったことのない私は、読んでいるうちに、「ペダルを軽く踏んだだけですっと走り出し、漕ぐのをやめてもスピードが落ちる感じがしない」というロードバイクに乗ってみたいと思った。

 

 

米津/一成
1959年東京生まれ。ロングライドを中心に自転車を楽しむ。メンバー数3万人を超えるmixi「自転車で遠くへ行きたい」コミュニティ管理人。フランス発祥のロングライドイベント「ブルベ」で2006年に200km、300km、400km、600kmを走りSR(スーパーランドナー)の認定を受ける。オリジナルデザインのサイクリングジャージの制作も行っている

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伊坂幸太郎の履歴&既読本リスト

2018年02月09日 | 読書2

伊坂幸太郎の履歴&既読本リスト

 

 

伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)

1971年生まれ。千葉県松戸市生れ。仙台市在住、1995年東北大学法学部卒業。システムエンジニアとして働くかたわら文学賞に応募
2000年、『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。
2002年『ラッシュライフ』
2003年『陽気なギャングが地球を回す』『重力ピエロ』
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、『チルドレン』『グラスホッパー
2005年『死神の精度』日本推理作家協会賞短編部門を受賞、『魔王』
2006年『砂漠』、『陽気なギャングの日常と襲撃
2007年『フィッシュストーリー
2008年『モダンタイムス 特別版』、『ゴールデンスランバー』で本屋大賞、山本周五郎賞を受賞。
2009年『あるキング』、『SOSの猿
2010年『オー!ファーザー』、『マリアビートル』、『ブラックバード
2012年『PK』、『残り全部バケーション

2013年『ガソリン生活』、『死神の浮力
2014年『首折り男のための協奏曲』、『アイネクライネナハトムジーク
2015年『火星に住むつもりかい?』『ジャイロスコープ』、『陽気なギャングは三つ数えろ
2016年『サブマリン
2017年『ホワイトラビット
2018年『AX』『フーガはユーガ
2019年『クジラアタマの王様』『シーソーモンスター』
2020年『逆ソクラテス』柴田錬三郎賞受賞
2021年『ペッパーズ・ゴースト
2022年『マイクロスパイ・アンサンブル
2023年『777


エッセイ

2010年『3652伊坂幸太郎エッセイ集
2012年『仙台ぐらし


絵本

2017年『クリスマスを探偵と


共作
2010年 伊坂幸太郎/大山誠一郎/伯方雪日/福田栄一/道尾秀介著『蝦蟇倉(がまくら)市事件1
2014年 阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

太田康夫『ギガマネー巨大資金の闇』を読む

2018年02月08日 | 読書2

 

太田康夫著『ギガマネー 巨大資金の闇』(2017年8月23日)を読んだ。

 

資産が100万ドル以上の人は世界に3400万人いて、世界の全資産の45.6 %を占めている。

格差は拡大し、お金持ちば100万ドル以上保有のミリオネアだったが、大金持ちは10億ドル以上保有のビリオネアに変わった。

 

富裕層をお客とするプライベート・バンキングは、マフィア・テロ集団のマネーロンダリングに利用されたり、呼び込んだりして、国際社会から変革を迫られた。その結果、スイスの諸銀行は伝統ある顧客の秘密保持を断念せざるを得なくなった。さらに、パナマ文書が暴露され、タックスヘイブンでの資産隠しにも日が当たるようになってきた。

 

そして、米国など先進国政府との攻防戦が激化している。

例えば、既に1960年代、米内国歳入庁(IRS)は、

スイスからニューヨークに宛てられた返信先が記されていないすべての航空便の封筒の写真を撮って保存した。次に捜査エージェントがスイスの銀行に口座開設申し込みを送り、それに対する銀行からの返信用封筒の消印ナンバーを取得。航空便写真と消印ナンバーを突き合わせることで、スイスの銀行の顧客リストを作っていたのだ。

 

一方、日本では、外資系プライベート・バンキング、クレディ・スイス、シティ・バンク、HSBC、スタンダードチャーター銀行、ソシェテ・ジェネラルなどは次々と撤退あるいは縮小した。原因は、金融庁の資金洗浄の軽度な違反への厳しい処分、銀行・証券業務の壁などがあるが、日本の金持ちは高齢者が多く、保守的であることも響いた。

 

 

目次

第Ⅰ章 謎に彩られた歴史

第II章 不正と規制のせめぎ合い

第III章 勃興するニュー・マネーを狙え
第IV章 大競争――塗り変わるプライベート・バンキングの勢力図

第V章 日本のプライベート・バンキング――周回遅れの「透明化後進国」 
終章 ギガマネーの行方

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

 

事例がずらずら出て来て、読みにくい。私としては、具体例だけでなく、基本的構造を知りたかった。

 

一方では、ビリオネア全体で何名などの数値だけでなく、ヘッジファンド、アラブ系、IT長者がそれぞれ何割などギガマネーを構成する人びと、集団の概要もを知りたかった。

 

 

 

太田康夫(おおた・やすお)

日本経済新聞社編集委員

1959年京都生まれ。1982年東京大学卒業。同年日本経済新聞社入社。外報部、前橋支局、金融部を経て、90年チューリヒ(スイス)支局駐在、94年東京本社経済部、96年同次長、2003年編集委員を兼務。 

主な著書、『金融大国日本の凋落』『グローバル金融攻防三十年』

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ご無沙汰のマンホール

2018年02月06日 | 趣味

 

たまプラーザの「瑞亭でランチ」からの帰り道。


久しぶりにマンホールに目がいった。
何故横浜市がカバ?

横浜市の「環境創造局」の水環境のキャラクターがカバの「だいちゃん」だそうだ。ちなみに「下水道事業」という名を嫌って「環境創造局」と命名しているのだが、局名を見ても何が何だかわからん!

これは前にも見たベイブリッジ。絵的にもいいんじゃない!


私の趣味はかねてから”マンホール”なのだが、最近一部でブームになっていて、「素人が!」と苦々しく、嫌気がさしていた。

マンホールが初めてこのブログに登場した2008年の「下を向いて歩こう」を覗いてみたら、「ベイブリッジ」は登場したが、「カバ」は無かった。

しかし、2010年、初孫が生まれた新横浜の病院へ行った帰り道の「下を向いて歩けば」には「ベイブリッジ」も「カバ」も登場していた。うかつなことに忘れていた。


最近は安価な地方創生策としてマンホールに凝る自治体も多いが、私は既に2015年に海外視察(?)でマンホールの重要性を指摘している(?)。「ドナウ河クルーズ (21)完結編 人のマンホール好きを笑うな


もう一つおまけ。

たまプラーザ駅前で見たミニパトカーに「息子はサギ?!」の字??

近くで見ると、

オレオレ詐欺の警告だった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

たまプラーザの瑞亭でランチ

2018年02月05日 | 食べ物

 

たまプラーザ駅の北西約1kmほどにある瑞亭(ずいてい)でランチした。

駅から平津三差路へ向かう道の途中、ピアニストの辻井伸行氏の実家辻井産婦人科医院の手前約200mにある小さな店だ。
横浜市青葉区美しが丘2-34-7


まず、エビ、ホタテ、菜の花、ワサビなど。

お造りは、クロマグロのトロにヒラメ。絶滅させても食べたいクロマグロ。

メインは、サワラの蒸し物など数々の逸品。

赤だし味噌汁にご飯

デザートに抹茶

目立たぬところにある小さな店だが、凝った美味しい料理を提供する素晴らしい店だ。しかし、予約が必須でも、経営的にはどうなのか、余計な心配をしてしまう。我が家からは遠いのだがエールを送りたい。


カウンターに置いてあったコウロギ


 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『東京メトロのしくみ』を読む

2018年02月04日 | 読書2

 

マイナビ出版編集部編『徹底カラー図解 東京メトロのしくみ』(2017年12月13日マイナビ出版発行)を読んだ。

 

  •  最初に作られた銀座線と丸ノ内線は、電化方式が地上電車の架空線方式でなく、第三軌条方式であり、他と相互乗り入れが難しい。
  •  第三軌条方式は、線路の脇に集電用の1本の線路を設置して台車に取り付けられた集電靴が線路を擦って集電する。トンネルの高さが小さくて良いので採用された。
  • 小さなトンネルで建設できる棒状で変形しにくい剛体架線が日比谷線に開発され、以後多く採用されている。
  • 東京メトロは東京駅を超えて東西、南北に延びる路線もあるため、上り・下りの代わりにA線・B線と称している。
  • 日本で最初の地下鉄は、1927年(昭和2年)12月30日、上野~浅草間2.2Km。世界初はロンドンで1863年(江戸時代)。
  • 上野から新橋へ延伸を目指す東京地下鉄道は資金調達に苦労していた。三越から店の地下に駅を設けてくれれば建設費は全額負担するとの申し出を受け、「三越前駅」が誕生。松坂屋からは半額で「上野広小路駅」、以下、白木屋・高島屋(日本橋駅)、明治屋(京橋駅)、松屋・三越(銀座駅)と続いた。現在も車内放送で、駅名の後に「松坂屋前」(上野広小路駅)、「明治屋前」(京橋駅)などと店名が案内される。
  • 東京メトロは2766車両で私鉄一位。一列車当たり6~10両。一日1 km平均旅客輸送人員は29万人で私鉄第一位(2015年度)。第二位は東急電鉄の28万人。
  • 通常25mのレールを溶接で200m以上つなぎ合わせるロングレール化を現在進めている。

  

東京メトロ:正式名称は東京地下鉄株式会社。2004年、帝都高速度交通営団が株式会社化して誕生した。
東京の大動脈である地下鉄9路線を保有・運行するほか、商業施設「Echika」をはじめとする関連事業を展開。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

鉄女など鉄道ファンでなくてもなるほどと思う豆知識も多く、ほとんどが写真でパラパラ見ていても面白い。ただし、興味を持つのは、路線名を知っている東京に住む人だけかも。

「車両・列車のしくみ」などマニアックな箇所は興味ないので読み飛ばした。 

読んでいて、銀座線について、以下2点を思い出した。

昔、銀座線に乗っていると、突然一瞬、室内灯が消えた。2000系までの車両には電動発電機を持っていなかったので、駅手前やポイント部分のデッドセクション(第三軌道のない無電区間)で瞬間停電が発生していたという。

また、本書の写真にあるが、ばね仕掛けの吊り手、「リコ式吊り手」と言うらしい、も懐かしい。常時、吊り手はばねで網棚側に押しつけられていて、使うときは手前に引き戻して使う。放せば網棚側に戻る。

 

 

目次

本書の見方/東京地下鉄路線図/東京メトロの全体像/路線ごとの特徴/東京メトロの駅のタイプ

第1章 東京メトロの魅力
 銀座線/丸ノ内線/日比谷線/東西線/千代田線/有楽町線/半蔵門線/南北線/副都心線

第2章 各路線の紹介
 車体の構造と外装/車内空間とこだわり/運転席・車掌室のしくみ/日比谷線がルーツの剛体架線/第三軌条方式/トンネルのしくみ/地下鉄の勾配

第3章 車両・列車のしくみ
 銀座線1000系など略

第4章 駅のしくみと特徴
 東京メトロの駅の構造/ターミナル駅の変遷/銀座線の駅/丸ノ内線の駅/以下略


第5章 東京メトロの歴史
 東洋初の地下鉄が開業/デパートと手を組み路線延伸/東京地下鉄道vs東京高速鉄道/帝都高速度交通営団の誕生/営団初の新線開業と路線拡充/私鉄・国鉄との相互直通運転の開始/地下鉄網の再整備・拡充が進む/営団地下鉄から東京メトロへ/地下鉄の父・早川徳次

第6章 東京メトロの豆知識・ヒミツ
 回送のための連絡線/丸ノ内線の幻のホーム/地下鉄博物館/銀座線リニューアル/以下略

第7章 運行のしくみ
 運行にかかわる人々/運転士の仕事/車掌の仕事/駅係員の仕事/総合指令所の役割としくみ/車両検査・線路保守のしくみ/直通運転と連携のしくみ

第8章 安心・安全のしくみ
 東京メトロの車両基地/東京メトロの車両工場/以下略

東京メトロ配線略図
巻末資料
東京メトロの主な年譜

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする