hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

楡周平「Cの福音」を読む

2010年01月30日 | 読書2

楡周平著「Cの福音」角川文庫、2008年10月、角川書店発行を読んだ。

1996年2月宝島社から出版され、2005年5月に宝島社文庫から刊行された。

裏表紙にはこうある。
父の転勤に伴い渡米し、フィラデルフィアのミリタリースクールで聡明な頭脳と強靭な肉体を造り上げた朝倉恭介。その彼を悲劇が見舞う。航空機事故で両親が他界したのだ。さらに正当防衛で暴漢二人を殺害。以来、恭介は、全身全霊を賭して「悪」の世界で生きていくことを決意する。彼が創出したのはコンピュータ・ネットワークを駆使したコカイン密輸の完璧なシステムだった。「朝倉恭介VS川瀬雅彦」シリーズ第1弾!


両親を失い、異郷アメリカで天涯孤独となった朝倉恭介は、NYマフィアのボスの後ろ盾を得て、おのれの全知力と肉体を賭けて「悪」の世界に生きることを決心する。大手商社の日本人駐在員の稲田は、ある目的をもって、麻薬に溺れさせられる。



楡周平は、1957年東京生まれ。慶應義塾大学大学院修了後、米国企業日本法人に入社。本書犯罪小説「Cの福音」を書き、30万部を売り上げる。作家専業となり悪のヒーロー・朝倉恭介ものなど、スリラーとハードボイルドとアクションを取り入れた作品を出版する。現在は経済小説を主に執筆。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

ベストセラーになったのは、感情もなく人を殺す、冷徹な悪人を主人公とする目新しい小説ということなのだろう。気楽に寝転がって読むにはよいかも。

それほど深くはないが、米国事情、銃や麻薬の知識などを散りばめた冷酷な悪のヒーローを主人公とする徹底したエンタテーメント小説。巻頭の謝辞に、米国の更生施設にいる麻薬中毒患者たちへの取材、銃に関する情報収集へ協力してくれた友人に感謝している。そんなことまでしないと、リアルぽさが出ない種類の小説なのだ。

文章もハードボイルドのような突き放した簡潔なものでなく、著者自身が入れ込んでおり、説明が多く、すっきりしない。

初出が1996年とはいえ、ニフティのパソコン通信があたらしげなものとして出てくるには笑えた。当時、日本でも大手の会社ではインターネットや、E-mailは使っていたと思うが。


コメント
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