hiyamizu's blog

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鳥飼玖美子「TOEFL・TOEICと日本人の英語力」を読む

2010年01月08日 | 読書2

鳥飼玖美子著「TOEFL・TOEICと日本人の英語力 資格主義から実力主義へ」講談社現代新書1605、2002年4月発行を読んだ。

日本人の自虐的英語観
話題に事欠いたら英語を出すと良い。誰もが苦い過去を背負い、辛い体験を持ち、一家言を持っている。英語が苦手なのを楽しんでいる。
日本人は完璧主義で、相当な英語力があっても、できない、できないとぼやく。そして、少数の人は、「英語道」といえるほど、涙ぐましい修行をかさねる。大多数の人は、英語ができるようになりたいと熱っぽく語るが、奇跡を待つだけで具体的努力はろくせず、「留学でもすれば私だって」と思うだけだ。
私は、顔がひきつりながら笑ってしまう。

資格試験の内容
本屋には、TOFEL、TOEIC対策本が山積み。企業も入社や昇格にTOEICのスコアを条件にするところもある。しかし、英検、TOFEL、TOEICの実際の内容が知られていないことも多い。よく言われるよりは、読解力を見る問題が多い。具体的な試験内容の説明がたっぷり続く。

なぜ日本人のTOFELスコアは低いか。
とくに英語を必要としていない人まで受験する日本と、留学の必要にかられた優秀な少数の人間しかTOEFLを受けない国と、平均点を比較しても意味がない。
日本人はとくにリスニングが苦手と言われるが、韓国などと比較しても、読解や文法など大学受験でも重点的に扱われている筈の分野でも得点差をつけられている。

文法は大切
外国語で内容のある話をしようと思ったら、体系的な文法知識を応用することは当然である。複文を組み立てたり、仮定法を使ったりすることは日常レベルでもある。文章を作り出し組み立てる力を支えるのは基本的な文法・構文の知識である。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

英語資格試験に関心ある人は一度読んでおくとよい。どの試験がどんな内容かを他の試験と比べているような本は少なくとも2002年当時はなかったと言う。

私にとっては、出だしの「日本人の自虐的英語観」が面白かった。「外国で暮らせば私だって」と思っていたが、実際、1ヶ月、2ヶ月暮らしてみて、挨拶や買い物など最低限の会話には慣れるが、自分の考えを述べるときなどは、文法、構文を思い出さないとだめなことを実感した。そもそも、英語以前に、言いたいこと、論理を整理することが最重要だと思った。また、市販薬の説明書、コンドミニアムを借りるときの契約書などややこしい文章を読まないと実害があることもわかった。多少の金銭や時間のロスを楽しむくらいでないと、私のような英語能力ではロングステイはできない。



鳥飼玖美子(とりかい・くみこ)は、1946年東京生まれ、上智大学外国語学部卒業、コロンビア大学大学院修士課程修了。立教大学大学院教授。同時通訳の草分けの一人。1971年から約20年間、ラジオ番組「百万人の英語」の講師。著書に、「異文化をこえる英語」「歴史を変えた誤訳」「『プロ英語』入門」など。


目次
序章 日本人の自虐的英語観と奇跡願望
第1章 英語試験の誤解と勘違い
第2章 三大検定試験の中身はこうなっている
第3章 検定試験は何を判定しているか
第4章 日本人のTOEFLLスコアはなぜ低いのか?
第5章 「資格試験」は万能か?
第6章 本物の実力をめざして
終章 資格主義から実力主義へ



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