hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

角田光代「愛がなんだ」を読む

2010年01月05日 | 読書2
角田光代著「愛がなんだ」2003年3月メディアファクトリー発行を読んだ。

宣伝文句は、こうだ。
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」―OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。


どこがいいのか分からない男に惚れて、友達から注意されながら、自分を捨てて相手に合わせ、利用されてというより、利用してもらうように努力して、尽くして、尽くして、避けられるテルコ。
彼と会ってから、
単一だった世界は、「好きである」と「どうでもいい」とに二分した。「好きである」ものを優先しようとすると、ほかのことは自動的に「好きなものより好きではない」に変換され、つまりはどうでもよくなってしまうのだった。
この結果、彼以外との約束は、彼の電話でドタキャンし、そのうち仕事もいい加減になる。

最終的には、彼の恋愛を手助けするようになり、
私を捉えて離さないものは、たぶん恋ではない。きっと愛でもないのだろう。私の抱えている執着の正体が、いったいなんなのかわからない。けれどそんなことは、もうとっくにどうでもよくなっている。
と思うようになる。



私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)

恋愛物が好きな方は、ストーカーじみたこんな話を読んでみたらよい。ご縁のない私でも「これが愛なの?」「自分こそではなく、自分を捨てて相手のためだけを考えるのが愛?」などと考えてしまう。しかし、正直いって、読んでいてダルクなる。こんな女性に見つめられたら気持ち悪い。まあ、縁のない話だが。

女友達が言う。
三十歳が近くなって私しみじみ思うの。ファミレスでごはん食べてたらファミレスが似合う顔になるのよ。百円ショップで生活雑貨そろえたら百円ショップの顔になるの。


確かに、七十歳近くなって私の顔はスーパーの“20%引きシール”顔になった。それにしても、レジで、「何円引かせていただきます」と大きな声で言うのはやめて欲しい。

本作品は、「WEBダ・ヴィンチ」2001年10月-2002年9月に大幅加筆訂正した。



角田光代さんは、1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、1996年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、1998年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、1999年「キッド・ナップ・ツアー」で産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石賞、2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞、2005年「対岸の彼女」で直木賞、2006年「ロック母」で川端康成文学賞、2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞を受賞。なお、2006年芥川賞を受賞した伊藤たかみさんと6年間の同棲を経て2005年春に婚姻届を出した。
その他、「水曜日の神さま」「森に眠る魚」「何も持たず存在するということ」「マザコン」「予定日はジミーペイジ」「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」を執筆。





    




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