hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

舞城王太郎「ビッチマグネット」を読む

2010年01月11日 | 読書2
舞城王太郎著「ビッチマグネット」2009年11月、新潮社発行を読んだ。

宣伝文句は、こうだ。
優しくて逞しい、最新作はネオ青春×家族小説。
なんだか妙に仲のいい、香緒里と友徳姉弟。浮気のあげく家出してしまった父・和志とその愛人・花さん。そして、友徳のガールフレンド=ビッチビッチな三輪あかりちゃん登場。成長小説であり、家族をめぐるストーリーであり、物語をめぐる物語であり…。とにかく、舞城王太郎はまたひとつ階段を上った。


初出誌は「新潮」2009年9月号。

舞城作品にはつきものの、猟奇的な連続殺人も、血糊も、おどろおどろな現象も出て来ない。舞城王太郎が、新潮社によって、あの過剰さを抑えて芥川賞を取りに行かされたと邪推してしまう。そもそも表紙が、無垢なかわゆい女の子がピンクの背景に立っている絵で、これで舞城王太郎?

父が浮気をして家に帰って来ない。母は沈んでいて痩せていく。壊れそうな家庭の中で、弟思いの姉は、必死の弟を守ろうとし、弟のどうしようもない彼女とも戦う。

ラスト近く母親が「・・・最近可愛い息子を取り戻して・・・」と言うところで、姉が「キモ!」と言うのだが、「キモ!」の字がページの半分位に大きくなっていて、ここだけ舞城らしかった。

題名の、ビッチ bitch は不平や愚痴を言うという意味だが、主人公の弟が変な子に好かれやすいことから、ビッチ(困り者子?)ばかり引き寄せる磁石ということで、“ビッチマグネット”と言われたことからきている。



舞城王太郎(まいじょうおおたろう)は、1973年福井県生れ。覆面作家。2001年「煙か土か食い物」でメフィスト賞受賞してデビュー。2003年「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞受賞。ほかに「暗闇の中で子供」「世界は密室でできている。」「熊の場所」「九十九十九」「山ん中の獅見朋成雄」「好き好き大好き超愛してる。」「みんな元気。」「SPEED BOY!」などの作品がある。



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)

この作家の登場は、一部批評家から高い評価を受け、大多数の作家からまったく否定された。私は、ふざけた題名、変な文体で、ヤングアダルトという印象があり、毛嫌いしていた。しかし一方では、将来大化けを期待したのだが、なかなかそうならなかった。徐々に純文学にも手を伸ばし、2003年「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞受賞。私も無視できなくて、2004年に「九十九十九」を読んだが、ばかばかしくてつきあえないと思った。その後も、精力的に活躍し、「好き好き大好き超愛してる。」が2004年上半期の芥川賞候補作となった。その後、話題が聞こえてこないと思っていたら、図書館の新書リストでこの本を見かけたので、読んでみた。この本も子供向けだし、どうも私には肌があわない。ところが、なにげなく文藝春秋のHPを見ていたら2009年度下期の芥川賞候補にあげられていた。もう、芥川賞ってワカンナイ!


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