中岡慎太郎関連の書籍で手に入るものは数が少ないようです。
この本は10年以上前に買って、いつか読もうと思っていたのですが、なかなか読む気にはなれませんでした。
今年は龍馬伝の年なので、これを機に読もうと思いました。
ページの紙は黄色く変色しています。
今年になって、新しい版の本が二巻に分かれて発売されています。
この赤い表紙の講談社の文庫本はページ数が760ページを超えています。
読むのにけっこう時間がかかりました。
漢字と固有名詞が多くて、こういう漢字の多い本は読みづらい感じもするのですが、中岡慎太郎の足取りを知るにはうってつけの読み物だと思います。
この書籍は、どの程度史実に基づいているのかは分からないですが、『龍馬がゆく』のようなものだと考えればいいと思います。
登場人物が多く、龍馬に負けず劣らず、慎太郎の交友関係がいかに広かったのか分かります。
この物語は、慎太郎が土佐を脱藩して、長州に向かうところから始まります。
ほとんど、慎太郎は、長州人とともに行動をしているようなものです。
慎太郎の信念は攘夷であり、そして、討幕です。
慎太郎のこの信念は基本的に、近江屋で暗殺されるまで、変わっていなかったのではないかと思います。
慎太郎のこの信念と、龍馬の信念とは相反するものがあったように思います。
龍馬の場合は、ひとつの方向性に固執することなく、誰かが言った事のいいところと、また別の誰かが言った事のいいところを取って、臨機応変に新しいアイディアを考える、いうなれば、いいとこ取りのハイブリット的考え方をしていたようです。
とにかく、慎太郎は、よく動きます。
船を使い、馬を使い、足を使い、九州の太宰府から京都まで、時間をむだにせずに、動きます。
インターネットも、電話も車も飛行機もなかった時代には、情報が伝達するには時間がかかりました。
だからこそ、正確で速い、情報の伝達が必要だったと思います。
めまぐるしく情勢が変わる幕末はある意味、情報戦だったともいえます。
正確に、速く、情報を伝えることによって、先手、先手の策略を図ることができたわけです。
龍馬もよく動いているのですが、それよりも、はるかに慎太郎は動いています。
慎太郎はいうなれば、諜報活動と、遊説をしながら、西へ東へと動きまわっていたような感じです。
慎太郎に関して少しでも、知識のある方はこの本は面白く読めると思います。
この本で、気になるのは、慎太郎のしゃべる土佐弁です。
『ほたえな』という言葉と、『たかで』という言葉がよく出てくるのですが、『ほたえな』はいいとしても、『たかで』という言葉は土佐弁ではあまり使わないのではないかと思います。
他の地方の方言と土佐弁が混じっているような気もします。
慎太郎が、龍馬に呼びかけるときに、『龍馬どん』と言うのですが、土佐弁では、『どん』などという言葉は使いません。
九州の方言をわざと使ったのか、そのところは分かりません。
他にも慎太郎関連の書籍で手に入るものがあるので、読んでみておこうと思います。
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