自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

今冬のマンサクと昆虫(21)

2017-03-21 | マンサク

からだが花に入りきれない大きさの,ハエらしいものが一匹。黒っぽいのでそこにいることがわかりました。長い触角と脚が印象的! 


感づかれてはたいへん。もったいない,もったいない。そう思いながら,頭部が見える位置から写真に収めました。カモノハシの口のような口をしています。オドリバエの一種のようです。見たのは初めて。 

 
もっと近づいて撮りました。胸部のでこぼこしたつくりが強烈です。頭部は複眼が大部分。口吻には短い毛が並んでいるのが見えます。触覚のかたちがとてもユニーク。もうすこし撮影を,と思った瞬間,どこかへ。


時間をおいて,また花で発見。たぶん同じ個体でしょう。


今度は,まさに摂食行動を見せてくれました。葯に口吻が届いています。ペタペタ舐めているのです。

 
なかなかおもしろい昆虫とその食餌風景に出合え,ラッキーな観察になりました。

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~真正種子編~(4)

2017-03-20 | ジャガイモ

3月17日(金)。播種後2週間が経ちました。こんなに発芽しました。発芽率は80%を超すはず。根毛が見事です。


根冠が伸びるにしたがって,根毛が増えます。根の先端に近いほど新しく生まれた根毛なので,まだ短めです。


3月18日(土)。黄緑色の色素がわずかに見え始めました。葉緑素が準備され自立に向けた態勢が整ってきたようです。古い根毛は勢いを失っていきます。


どの芽生えも似通った様子です。


根の先端は下方向に向かい,種皮側は体を起こしていきます。

 


今冬のマンサクと昆虫(20)

2017-03-19 | マンサク

からだが棘で覆われた,どうやらヤドリバエの一種らしい個体が一匹。花に関心がありそう。

 
やっぱり! 頭を花に埋めて,摂食行動に移りました。

 
できるだけ近づいて激写するのがわたしの流儀。もちろん,ハエに感づかれないように慎重にカメラを寄せて行きました。カメラがぶれないようにしないと,元も子もありません。

 
こうして我が作戦がうまくいったときは,わくわくしてきます。

ヤドリバエには微かな芳香もまた,重要な目印になっているはずです。撮影中,わたしの鼻先にも微かな匂いが届いていました。 

 

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~真正種子編~(3)

2017-03-18 | ジャガイモ

3月15日(水)。どんどん発芽しています。

 


観察容器中の種子は,まず横向きに幼根が伸びています。


下方向に向かう根もあります。


3月16日(木)。根毛が生え始めました。幼根の中ほどに,ほんのわずか突起状のものが見えます。これが根毛の出始めた姿です。湿り気があれば,地表でも出てくるのです。早く水分と栄養分を摂り入れなくちゃという意志表示の現れです。

 
中には,こんなに生えた根もあります。

 
根毛の出始めからずいぶん生えたものまで,段階的に観察できます。


幼根の先,根冠はとにかく地中を目指します。 


容器中の発芽を横から見ると,種皮が持ち上がっていく前段階だとわかります。 

 


変化が見えるとたのしいものです。

 


今冬のマンサクと昆虫(19)

2017-03-17 | マンサク

2,3年前にこのマンサクで見かけたとき,強烈な印象を受けたことがよみがえります。花弁が幅2mmなので,体長はせいぜい5mmまで。色が初々しい黄緑。たぶんヒメアオズキンヨコバイでしょう。

よくもまあ目についたなあと,自分でもびっくりするぐらい目立たない小ささです。黄緑色をしているのは,若葉の周辺でくらしていることによるのでしょうか。そうなら,葉の汁を吸って栄養源にしているのでしょう。その話から類推すれば,ここにいるのは花の汁を吸うためと考えられます。実際,口器を花弁に突き立てているようにも見えます。 

 
すこしだけ動いて位置を変えました。それでも,やっぱり口器を刺しているみたいです。

 
カメラを近づけると,その雰囲気を感じて葉の裏側に隠れることがありました。それで,撮影にはとても慎重にならざるを得ません。

 
逃げはしませんが,身を隠して安全を確保しようとする行動はウンカそのもの。大きさといい,色といい,かたちといい,ほんとうにふしぎな昆虫です。


数日後,同じ昆虫を1匹見かけました。ラッキーなことに,吸汁中の姿をとらえることができました。「ほ,ほーっ!」とうれしくなった瞬間です。この一枚を撮り終えたとき,さっと花弁の裏側に移動しました。貴重な画像となりました。

 


地域ミュージアムで考える(56)

2017-03-16 | 随想

小さなまちのミュージアムは,いくらユニークな取組を試みても,来館者の増加をそうそう見込めるものではありません。背伸びをするより,地域の施設としてまずはほんとうに市民,地域に親しまれるものとして生まれ変わる必要があります。運営予算も配置スタッフも限られているなか,いずれの地域ミュージアムも大なり小なり似通った事情があるでしょう。

市民・地域に親しまれるとは,ミュージアム運営の目線が市民本位に転換していくということです。運営はわたしたちに委ねられているのですから,わたしたち自身が率先して市民目線に立てなくてはなりません。というか,市民の発想なり交流なりがミュージアムの風通しをよくしていく,そういう視点に立たなくてはならないのです。市民の間に「おらがまちのミュージアム」意識が醸成されない限り,あってもなくても大差がないお荷物施設になるだけでしょう。そういう危機感を,そこに身を置く者が持つことが重要です。

運営に責任のない人たちは,たとえば私の身近な人でさえ,「入館料を払ってまでして行くのはなあ」「もっと人が入りやすい工夫をせな」などと感想を語ることも。勝手ないい方だなあと思うことがありますが,その人たちが収める税金が運営予算になっているのですから,どんな声にも耳を傾けないわけにはいきません。声に出して発言していただくのは,逆にありがたいことです。

わたしは,まさに声なき声から危機感を感じ,ミュージアㇺを❝交流ひろば❞にしていくという発想に立たなくちゃと強く思っています。交流ひろばをいい換えると市民参加です。もっと平たくいえばリビングです。そこには気取りがありません。あるのは普段着の思想です。本年度から始めた市民ギャラリーの設置(下の上写真),ボランティアの募集,プラネタコンサート(下の下写真)の実施などはその具体策です。


策を打ち上げた以上,地道に継続できるように手を打つ必要があります。他のスタッフに任せるのは不可能です。余力がないからです。それはわたしのしごとになります。わたしは,統括係でもあり,渉外係でもあり,案内係でもあり,学芸員風小道具係でもあります。一人数役は当たり前のこと。

つい先日は,市民オーケストラのリーダーであるYさんに連絡して,プラネタコンサートへの出演を依頼しました。これは渉外係としてのしごとです。Yさんは近頃は趣味としてバイオリン演奏を楽しんでいらっしゃるとかで,その音色を聴かせていただこうと思ったのです。

わたしが説明する構想にのってくださり,出演を快諾していただきました。7月に『七夕の調べ』(仮題)と銘打って開きます。ご夫婦での出演になりそう。なんともありがたい話です。こういうお誘いがきっかけになって,バトンタッチ風に次々と出演者層が厚くなっていくことを期待しています。

月に1回のペースでコンサートを開催します。時間帯は夜間です。これで10月まで予定が埋まりました。

ミュージアムが地域づくり,まちづくりのお手伝いができることを逆にたのしめたらいいなと願っています。こんなわけで,ミュージアムは少しずつ,そして確かに変わっていきつつあります。 

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~真正種子編~(2)

2017-03-15 | ジャガイモ

3月13日(月)。播種後,10日が経過。なんらかの発芽兆候が現れると予想していた日にあたります。しかし,どうしたことか変化なし。

3月14日(火)。しごとは休み。播種後,11日目です。午前のこと。見ると,一斉に発芽が始まっていました。昨日はまったく気づかなかったのですが,種子内部では満を持していたようです。種子から顔を覗かせているのは,大抵の種子と同じように幼根です。種子は横たわっているので,根はまず横方向に出ます。子葉は種皮に包まれています。実はこの種子は2年前に採種したもの。今回の発芽から,ジャガイモの種子は複数年生き続けることがわかります。


幼根は,重力の法則にしたがい下方向に伸びていきます。


これまでは地上部分を観察していただけ。地中の生長ぶりも見たくて,透明プラスチック容器に数粒移し替えました。うまくいけば撮影もたのしめます。さて,うまくいくかどうか。

たくさん発芽しているので,昨年と同じようにご希望の方にお分けできるでしょう。一緒に栽培の醍醐味を味わえるって,おもしろい! くわしくはいずれ……。 

 


地域ミュージアムで考える(55)

2017-03-14 | 随想

いよいよ六方晶系構造の立体に地図を描く段階です。

拡大地図を立体に載せ,描き写していきます。

 
これで出来上がり。

 
陸地を緑にすることにしました。細筆を使い,周辺から着色。

 
日本については強調気味にしたくて,白で表現しました。


南半球の海洋部を空色に。 

 
塗ってから陸を緑に。そうすることで,陸地と海洋の境がくっきりしてきます。

 
北半球の海洋部はそのままに。あとは赤道を表示しました。

 
なかなかたのしい立体地球が出来上がりました。これも完成までに日数がかかりました。それだけに愛着があります。 

今回の作品で,段ボールを使ってつくりたい立体地球はほぼできました。原図が手元にあるので,あとは,大きさを変えるとか色を変えるとかして工夫を加えれば各種の作品づくりに対応できます。たくさんのノウハウが蓄積でき,ゆかいなしごとになりました。ハッピー! 

 


今冬のマンサクと昆虫(18)

2017-03-13 | マンサク

もう春なので,ほんとうならタイトルの❝今冬❞を外すべきなのですが,今シーズンという意味でこのシリーズを続けます。

3月⒔日(月)。今冬,マンサクは十分わたしの目をたのしませてくれました。そろそろ花弁が散りかける頃です。そんな今日,キアシブトコバチが訪れているのを目にしました。なんと懐かしい! 黒地に黄色い斑点紋様が特徴的で,後脚が大胆に膨らんだ姿。一度見たら忘れることはできません。花にぎゅっとつかまって,なにやら栄養を補給している模様です。摂食行動にちがいありません。

 
移動中に写真を撮ると,顎に餌が! 前脚も使って口にしている様子です。これは花の一部のようで,たぶん削り取る感じで剥がしたのでしょう。

 
食べ終わると,別の花に入って行きました。ここでも鋭い顎で花の組織を剥がしているのでしょう。


出て来たら,頭部には花粉がどっさり。蜜に関心がなくとも,送粉者のはたらきをちゃんと果たしています。 

 
また移動して行きました。こんな風景をじっくり撮影させてもらえるなんて,ありがたいありがたい。

 
かなりの時間,この花の集団で食餌行動を続けました。そうしてある瞬間,萼片に登って行き,翅をパッと広げました。その瞬間,目にもとまらぬ早業でどこかに消えて行きました。

 
これらの写真はコンデジを使って写したものです。コンデジには昆虫の動きに手早く応じていけるよさがあります。今回,このすぐれもののありがたみを痛感しました。

 


地域ミュージアムで考える(54)

2017-03-12 | 随想

六角形構造をもった立体は六方晶系と呼ばれています。整った構造をした立体には各種あり,この六方晶系のうち,六角錘が底面で合体したかたちをしたものに自然界では高温石英があります。水晶ということばからイメージするかたちをした(低温水晶)結晶から柱部分を取り除いたかたちです。

これから記事にするのは,もちろん,この立体地球をつくる話です。

はじめに地図を6葉完成させておきます。


次に,この三角形を比例拡大した展開図を段ボール紙に描き,のりしろを各辺に付けて,切り抜きます。

 


切り抜くといっても,厚さが8mmあるので,すいすいというわけにはいきません。


組み立ては,六角錘を順につくるところから行います。のりしろ同士の接着道具として大きなクリップを使いました。


2つの六角錘が完成すると,錐同士に接着に入ります。のりしろがぴったり合うとよいのですが,微妙にずれている箇所が必ず出て来ます。それについては,一方ののりしろを大きくしたり小さくしたりと微調整を加えながら,できるだけズレが感じられないように手直しします。

そのうえで,両立体を重ね,上側から重しを載せて密着させながら接着します。こうしてある程度乾くまで放置。


しっかり接着できると,今度は隙間にボンドを埋め込みます。併せて,頂点のうち穴が見える部分には段ボールパルプを詰め込みます。


これで立体が完成しました。

 

この続きは本シリーズ次回に取り上げます。