自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

タケの花!

2021-12-13 | 

ある寺院脇の山林でタケの花を見かけました。

 

今夏,新聞紙上でタケの花が咲いたという話題をいくつか読みました。それが頭に残っていたので,ここでも咲いていたかと納得。実際はかなりあちこちで咲いていたということなのでしょう。

タケは同じ品種なら,それらは自分自身の分身なので,ほぼ同時期に花が咲いて当たり前なのです。ほぼ同時期といっても、周期が60年とか120年とかいわれますので、全体としては開花時期が数年にわたってもなんらおかしくないわけです。

わたしがタケの花を撮影したのは今から50年前です。上に書いたように、タケは60年か120年に一度咲いて林そのものが枯れてしまうといわれています。当時はあちこち竹林が軒並み枯れていきました。その光景はタケが草のなかまであることを象徴的に示す現象に思われました。だから,脳裏に鮮やかに残り続けています。

ここからいえるのは,ここ10年ぐらいはタケの花を観察できる機会があるということです。そして,竹林が一斉に枯れるかもしれないということでもあります。

 

この日に見かけたタケの花は名残りの花で,オシベの葯がこぼれるようにして実からはみ出しているすがたでした。名残りというのは,花のほとんどがとっくに咲き終わっていたからなのです。なにしろ開花時期は夏ですから。

 

まもなくこの竹林は枯れてしまうでしょう。元のすがたを取り戻すには数年かかります。その始まりはまず実生。これが基本です。併せて、地中に残る地下茎の一部が復活の助けにもなります。竹林がことごとく枯れるのではなく、どこかに、そしてあちこちに体の一部がたくましく残り続けているのでしょう。

 

この真実のすがたを見届けるにはほんとうのところはタケに聞くほかありません。それが叶わない以上結局,竹林を徹底的に調査するしかないのです。自然の有りようを解き明かすのは,いつもどこでもたいへんです。