恩師の御著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第一章 或る愚か者の生涯
◆初めて世間の風に当たり、お金を稼ぐ◆
先の続き・・・
船に乗る時にお世話してくれた人の家が事情があって
とても貧乏になって年も越せぬほど
つらい生活をされていると聞いた時、
まだ十代でしたが、当時のお金で二万円(当時の
月給が六千円ですから四カ月分ほどですが)
を正月のお餅でも買ってくださいと送りました。
非常に喜んでくださいました。
その喜びはその方にとって亡くなるまで忘れられなかったようです。
もらうのはあまり好きではなく、
出してしまうのが好きというのは幼い頃から
見てきた布施の習慣からも来ていたのでしょう。
布施の行いが自然に身につき、
子供の頃からの積み重ねがあって、今日の私があります。
日銭を稼ぐという言葉がありますが、
それも自分の生活のためというよりも、
気がついてみれば一生懸命働いて得たお金は
結局は誰かのために役立ててもらったり、
また善い事に使ってもらったりして、
そのこと自体に私は喜びを味わってきました。
人生を振り返ると、実に多くのお金の出入りがありました。
人に信用を裏切られたことはたくさんありまあした。
信用して貸したお金が反ってこなかったこと、
人にお金を融通させてもらいながら、
なんの挨拶もなかったことなど挙げたらきりがありません。