恩師の御著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第一章 或る愚か者の生涯
◆念力から祈りへの転換◆
先の続き・・・
十歳の時には太平洋戦争が始まりますが、
兄が出征兵として戦地に赴いてからというもの、
兄の無事の帰還を祈願するため、
両親の代参として一キロほど離れた山のお宮さんに
日参するようになりました。
雨が降っても雪が降っても、山の中腹にあるお社に
お参りすることを欠かした日は一日もありませんでした。
そうして、六年の歳月が流れ、
ついに兄は無事に中支から帰還いたしました。
やっとそれが成就した喜びで足が地につかず、
天にも昇ったような気持ちでした。
ありがたさに身を置く所もないほど嬉しかったものです。
六年間毎日一生懸命に兄の無事を祈りながら、
自分と兄とは一体だと感じていました。