能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

パチンコから能「西行桜」

2020-05-10 08:37:54 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
新型コロナウィルスの収束はいつだろうか?
緊急事態発令はいつ解除されるのだろうか?
収束、解除に向けて必死にルールを守る人もいれば、そうでない人もいるようだ。
 
「営業を控えて下さい!」
のお願いに
「いや、やめたらウチ困るから、やるわ!」
の、経営者
「うわ〜 やってるなら〜 行こか!」
と、お客人
「あれ!俺 一人じゃないわ」
「コロナちょい怖いが、やること無いしな」
「もう、やらんと気が治らないからな!」
「コロナ なったらなったで、ええやん」
と、集団客
 
パチンコ屋の経営者が悪いのか?
パチンコ屋に行く客が悪いのか?
パチンコ屋へのお願いの仕方が悪いのか?
 
「パチンコ」が悪いのではない。
悪いのは人間で「パチンコ」のせいにしては可哀想だ。
ふと、能『西行桜』が思い浮かんだ。
物語は、西行の庵の桜が盛りと知った下京辺の人々が花見をしに庵に集まって来た。
一人で静かに花見を楽しもう、と思っていた西行だが、花を愛する気持ちを汲んで大勢の花見客を庵に招き入れた。
すると、花見客は次第に大騒ぎ!
西行は思わず
「花見んと、群れつつ人の、来るのみぞ あたら桜の咎にはありける」
と、口ずさむ。
すると、西行の夢の中に桜の精が現れて
「いや浮世と見るも、山と見るも
唯其の人の心に在り、
花に浮世の科は有らじ」
と、花に人間世界の憂き世なんか関係無いよ!
桜のせいにするんじゃない!
と、苦言を呈す。
 
能『西行桜』を「パチンコ」と一緒にしたら、桜の精に叱られそうだが、どうも昔から人間はお粗末ですなあ
 
もちろん、一部のおそ松くん達がイケナイのであって・・・
それは解っている。
 
2020年度の喜多流自主公演はすべて2021年度に番組とシテ方出演者を変えずに先送り、延期となりました。予定しておりました、5月『小塩』9月『鵜飼』は来年に勤めます。今年の演能は7月の『氷室』だけとなりました。
 
この春の
小塩の能は失せにけり
あたらコロナの咎ぞ怨めし
            催業欲し

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