能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
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ちょっとエッチな能『三輪』

2012-07-17 23:08:17 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介

『三輪』のクセは「されども此の人、夜は来れども昼見えず、或夜の睦言に御身如何なる故に因り、かく年月を送る身の、昼をば何と烏羽玉の夜ならで通い給はぬはいと不審多きことなり」とはじまる。

此の人とは男、実は三輪の男神である。

男は女のところに毎夜通いお楽しみになる。女もまんざらではなさそうで、夜だけじゃなくて昼にも来てよ、とおねだりする始末。

こういう男女のエロチックな関係を堂々と謡ってしまうのが能だ。私はニヤニヤせず真面目な顔をしてこの場面を謡うのだが、頭の中はもうエロスが充満して目一杯状態となる。

謡はむずかしい、なにを言っているかわからない、と仰しゃる方に、まずこのようなこともある、と伝えたい。謡の詞章はいきなり聞かされてもすぐに内容はわかるものではない。事前の勉強が必要だ。しかし何が書かれ、どう謡うのか、そこに興味が湧いてきたら能に填まるかもしれない。

今回ここをご紹介したのは、ちょっとエッチな話がきっかけで能に触れていただきたいと思ったから。このあとがまた一段とおもしろいのだ。スケベ心がある、いや失礼、ご興味が湧いて来た方は、是非とも続きを調べられたらよい、屹度ニヤニヤなさるはずだ。

写真 『三輪』神遊 シテ 粟谷明生

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