能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

『采女』には「鎮魂の中世」のご一読を

2008-06-30 07:07:52 | おススメ書籍
鎮魂の中世―能伝承文学の精神史
鳥居 明雄
ぺりかん社

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写真の書籍は「鎮魂の中世」鳥居明雄著 
ぺりかん社から¥2400で出版されています。

実は、著者の鳥居明雄氏は「粟谷菊生能写真集」を
出版なさいました我が家にとっての恩人、
大事なお方です。
ですから、宣伝も兼ねまして~~
ご紹介させていただきました。

この本は能『求塚』の分析からはじまり、『養老』『紅葉狩』
そして入水について『綾鼓』『采女』『清経』の三曲が
取り上げられています。

他に『芦刈』『三井寺』がありますが、『采女』はー王権と御霊ー
と副題がつき、大阪・大槻自主公演での小波之伝の創作に参考資料と
させて戴いています。

今回、これを参考にさせていただき、
9月5日(金)大槻自主公演
『采女・小波之伝』の創作に取りかかっていきたいと思います。

今回の小波之伝のあらすじは下記の通りです。
かなり、常の采女より短くしましたので、ご来場の前にご一読下さい。

『采女・小波之伝』のあらすじ
都の僧が奈良・春日の里に着くと、
猿沢の池を尋ねようと人を待ちます。
そこにひとりの女が現れます。

僧が猿沢の池を尋ねると女は池に案内し、
昔、帝の寵を失った采女の女が、
悲嘆のあまり身を投げた池であると語ります。

女は僧に読経を勧め、自分がその采女の女の霊であると告げ、
池の底に姿を消します。

(中入)
僧は里人に池の由来を聞き、夜、女の霊を弔おうと読経を始めます。
すると采女の霊が池の中から現れ、弔いを受けた喜びを感謝し、
今、成仏して極楽に生まれ変わったことを述べます。

そして昔、宮廷の酒宴の場で興を添えたこと、
遊楽の有様を思い起こし、解脱出来た報謝の舞を見せます。
そして重ねての回向を頼みながら、池の中へと姿を消すのでした。

以上、

チケットのお申込は下記まで
akio@awaya-noh.com

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