能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

粟谷能夫のヒット作『源氏供養』を謡って

2006-08-03 08:29:55 | カルーク面白楽屋裏話

昨日、国立定例公演 『源氏供養』シテ・粟谷能夫の地謡を謡った。

会場は超満員、人気者の野村萬斎さんと、息子さんの裕基君、そしておじいちゃまの野村万作氏の『井杭』となれば、当然だ~~~

しかし、
その人気にも負けじと、昨日の粟谷能夫の『源氏供養』はいい舞台だった!
屹度、能夫の生涯の演能の中でもヒット演能の一つに入ることは~~
間違いない。

ではその『源氏供養』について~~

使用面は本来の小面ではなく「柳孫」という孫次郎系統の面だ。
(写真参照)

前シテを花帽子に数珠を持ち、後シテは緋の長袴と常の装束と替えて、
通常、ワキ(安居院の法印)が懐中する経文を、後シテ(紫式部)が
安居院に手渡す演出だ。
これにより弔いを願う気持ちが明確に表せたのではないかな?
と思うのだが~~。
ご覧になられた方はどうだろうか。

長袴は動きにくいもので、常のクセの仕舞所も少々替えの型を入れていたが、支障もなく、かえってより丁寧に、華やかに謡うことに繋がっていき、よい結果となった。

クセの地謡は、
夕顔や末摘花など数多の女性達を花にたとえるならば~~~、
紫式部がひとりずつ気持ちを込めて供養しては~~、
花も嬉しいのか~~それにこたえるように喜んでいる~
そんな風に、謡いながら感じた私って~~ヘンかな?ヘンかもしれない。
こんな経験は今までには~~~無い。

地謡は父の地頭に友枝昭世氏の副地頭、そして出雲康雅氏に私、
前列には長島 茂氏がいて~~~、
能夫がいう、
「今、自分の考える中で、最強、最高のメンバーを揃えた」
という。

「プロならプロらしい地謡を!」
と、お叱りを受けることの多くなってきた昨今だが~。

昨日の地謡に、駄目だしを出すようならば~~~
その
方は観賞場所を替えていただくことをオススメする。
もうあれ以上は無理!

物事に限界を決めるのは、好きではないが~~~
今の現状の喜多流にこれ以上求めても、応えられない!
それが現実なのだ。

で~~~~問題はというと
この技術力をどのように伝承させるかにあるのではないだろうか?
生意気言ってしまったかな。。。。。。。。

(追加)
粟谷能の会ホームページのニュースを更新しました。
こちらもアクセスお願いします!と
いいながらも、最近こちらのお熱が一寸冷めてているアキ君ですが。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
至福の坩堝 (素人らるら)
2006-08-03 12:19:30
全て とろとろ 美しく溶け合って

 おシテに心奪われてしまいました。

  こんな気持ちになるなんて

 凄い技の絡み合いを拝見致しました。

  邪魔するもの争うもの無く…

淡々・・・拍手強要なさるあの雰囲気を超えてしまわれた。

 ジワジワ まだ 余韻に酔っております。



 
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Unknown (おがわ)
2006-08-03 14:49:18
明生先生、ご無沙汰しております。6月にウクライナから帰ってまいりまして、昨日能楽堂で拝見させていただきました。



脇正面で見ていたこともあって、おっしゃるとおり地謡の凄まじさはビンビン感じました。



秋の粟谷能の会を楽しみにしています!
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粟谷能の会チケットは~~ (粟谷明生)
2006-08-03 16:47:14
おがわ様



昨日はご来場有難うございます。



第80回粟谷能の会はすでにお申し込みになられていますか?



もしまだでしたら~~~

至急下記にご連絡下さい、お待ちしております。



akio@awaya-noh.com
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花のゆかりは・・・ (玉手)
2006-08-03 18:36:11
私も拝見しました!



良い源氏供養でした!!



特に、

 よくよく物を案ずるに

で、現のうき世から観世音菩薩の荘厳へと

世界が一瞬にして変わってしまう地謡のすばらしさ!!!



紫式部も石山の観世音もよろこんでいることでしょう。
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よくよくは~~ (粟谷明生)
2006-08-04 10:57:56
あそこは心配していたところでしたが、うまくいきました。



うま~く、世界を変えていくように謡うのは、ムズカシイんですね。



ご指摘のコメント、有難うございます。

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