能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

活きのいい奴

2013-05-03 07:09:51 | 言いたいこと・伝えたいこと 
車に水槽を取り付け、生きた魚を水槽に泳がせ消費者に届ける業者がある。生きた魚を死なせないために工夫がほどかされている。

さてどんな方法かな? 

それは天敵を水槽に入れる方法。魚は喰われてはたいへんと終始逃げ回るので死なないと言う。逃げ回る緊張感が活きのよさを生む。もちろん天敵は満腹の状態にさせておかないといけない。本当に食べてしまったらシャレにならないから。

能でも同様。本来楽屋には年長者から若い衆まで、ひとつの部屋に待機していて、先輩がいつも目を光らせている、それが理想だ。部屋には上座と下座があるから、当然目上の方は上座に、若輩者は出入口近くなり、成長と共に場所も動いていけばいい。そしてシテ方から三役まですべての楽屋が一望できるような設計がいい。国立能楽堂はそうなっている理想形だ。

残念ながら喜多能楽堂は狭い土地を活用して建てたため、楽屋はいくつもの部屋に分散している。各部屋は年代順に分けられているから、中にいる者は気兼ねなく、神経を使わなくて良いから楽だろう。だが緊張感はなくなる。

狭い部屋はいじめも生じやすい。満腹じゃない者は弱い者を食い散らし、そして平気な顔をする。どこの世界も同じだろう。世の中からいじめはなくならいが、ただ減らすことは可能だ。いろいろな目が光っていればいい。

活きのいい能楽師の集団を作るにはここは一工夫必要だと思う。楽屋は同じ階で、区切りは襖にする。喜多能楽堂も国立能楽堂のようにしたい。もし将来喜多能楽堂が改築、改装することになったら、このような観点からも改善したいと思う。

文責 粟谷明生

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3 コメント

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Unknown (方丈安穏)
2013-05-03 08:42:23
「う~ん」と唸らせて頂きました。
私の世代は既に、本山の寮は2人部屋でした。
勿論、先輩と後輩という組み合わせです。
昔は、大部屋で数十人の学僧が、
寝起きを共にしていたと聞きます。

宗門で開設される修行場や研修所は、
会場となるお寺を数週間貸し切りますので、
大部屋で、雑魚寝です。
確かに、良いことが沢山あります。
尊敬出来る先輩の、技術だけでなく、
その普段の生活の様子にも接することが出来ますので、
得るものが多いと思います。

無理強いは出来ませんが、
そう言う場所を、いつまでも残さなければなりませんね。

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お返事 (粟谷明生)
2013-05-03 09:25:09
コメント有難うございます。

そう無理強いはダメですね、己がそこに進んで入る気持ちがなければね・・・これ、なまけもの君に提言しても無意味ですね(笑)
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なかなか! (どうきゅうせい)
2013-05-03 09:30:25
此の度も説得力100% ・・・

さらに大部屋、襖等のアイデアも、そのまま比喩と取れるようになれば、今後の日本の教育界にも大きく波紋を投げかけることとなりましょう。
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