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能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

息子・尚生の初面の能『経政』

2009-11-16 14:44:00 | マジメ能楽 楽屋表話
昨日、社中の会は無事盛会に終わりました。

中でも、91歳の長田美枝子様が無本で『隅田川』を謡われたのは
驚きです。
「すごい!ご立派!」の一言に尽きます。
会員も観客の皆様も、味のある謡いに、
「う~~ん」と感心させられてしまいました。

今回は番外能として、長男尚生(たかお)に能を舞わせました。
久しぶりの能のシテに、かなり緊張していたようです。

まあ、まだまだ未熟ではございますが、彼なりに精一杯頑張って
勤めてくれたと思っています。

このような機会に恵まれたのも、
参加会員の皆様、またお手伝い下さいました喜多内の方々、
三役の方々、そしてあの世の父のお陰と深く感謝しています。
皆様、有難うございました。

尚生は今回が、はじめて面をつけて(初面)の舞台となりました。
私は15歳で初面でしたが、面をつけるとそれまで自由に、活発に
動けていたのが、急に視界が悪くなり、身動きの不自由さを覚えるのです。

面を顔に近づけ、面紐を縛られ、
「オアタリは?オシマリは?」と面を付けてもらい
「あ~これが能の世界か~!」と肌で感じる瞬間です。

尚生の身体は細いので、綺麗に装束付けするには、
いろいろと詰め物(胸コミ)をつけて調整します。

調整の具合が難しいので、厚板と大口袴は親の責任として
私が着けましたが、あとは従兄弟の粟谷浩之君にお任せしました。
着附の写真が、これです。



さて、出番まであと20分、はやめに面をつけて、
ウケも調整して、さあ~あとは出るだけ~と
鏡の間にて緊張しながら出番を待つ尚生です。



尚生は現在、早稲田大学で勉強とテニス部と能、と三つを
両立させながら、青春時代を過ごしています。

能楽師になるなら能だけにしていればいい・・・、
という考え方は間違いではないと思います。

しかし、私は能楽師といっても様々。
人それぞれの修行過程があってもいいと思っています。
もちろん最後によい結果を出さなければ、落第ですが。

いろいろなアプローチがあってもいいと思い、
テニスと勉強にも力を入れて頑張れ!
と励ましています。

能役者は身体が大事基本です。
身体、特に足腰を鍛えることは大事なことです。

昔、父が「スキーをやれ、スキーを」
と言ってくれたことを、思い出します。
そしてスキーが、今ものすごく私の舞台に役立っています。

よい謡を謡うにも、
やはり健康な身体が不可欠です。

日柔な身体からは、観客の心に響くような声は出ない
そう思って、私は運動推進派として息子を応援しています。

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