先日、大阪のお弟子さまとの話の一部をご紹介します。

能『忠度』に
「西海の波の上、しばしと頼む須磨の浦、
源氏の住み所、平家のためはよしなしと
知らざりけるぞ、儚き・・・」
と、謡うところがあります。

この源氏(ゲンジ)を
源平合戦の源家、白旗の源氏軍と思っているお弟子さまがいらした。

しかし、これは大きな間違いです。

須磨といえば、・・・・・

源氏の住みどころ

そう、『須磨源氏』という能の曲があるほどですからね。

これは
光源氏さんのことです。

と、説明すると

「あ~~~~そうか!
センセ!今の今まで、てっきり源家方のことだと思っていましたわ。
そうか、そうですよね~~~」
と笑顔が印象に残った。

須磨は光源氏の流されたところ、
住まわれたところですね、

そう、平家のところではないのですよ、
と、掛詞になっているのが、謡いの面白いところですね。

さあ、本来こう読み取らなくては
こう解釈しなくてはいけないのですが~~~

当流の楽屋裏を暴露すると、意外と現場の能楽師でも
源平の源氏だと思っている人もいるみたいで~~~

で!
白状すると~~~~

実は~~~
私も若いとき、そう思っていたのです。

ひゃ~面目ない

昔、大昔ですね。
父と能楽堂へ行く車中での会話です。

「”また弓箭にたずさわりて~~~”
ここの、正面への一足のシカケは大事にやるんだぞ。

ずっと歌を詠んで遊んでいたかったのに、
戦場なんかに来るはめになってしまって~~

あ~~あ、いやだなあ、という気持ちを込めて
しっかりシカケるんだよ、

源氏の住みどころの拍子は、荒く踏んではだめだよ

あ~~そうだ、

この源氏とは~~

源氏方じゃないからな!

おまえ、判ってるよな?

光源氏のことだぞ!」


「・・・・・・う、うん」

あの時、私は嘘をついていた。

こういう出来事って
いつまでも覚えていますね。

以上、忠度の思いで話。

明日から『安宅』の稽古に入ります!
そろそろ弁慶モードに入り、
延年之舞についても調べようと思います。

頑張って、はりきって勤めます。
ワキは親友の森 常好さん、
囃子方は気心の知れた仲間たちです。
是非、粟谷能の会へのご来場をお待ちしております。

まだチケットを手元に持たれていない、
あなた!

今回の『安宅』は見逃さないでほしいです。

購入の手続きは下記からでも出来ます。
お待ちしております。
akio@awaya-noh.com


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