能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

『小袖曽我』からイロイロ

2010-05-16 00:10:06 | カルーク面白楽屋裏話
昨日は「仙台青葉能」に行って来た。
もう、13回も続いているらしいが、
私、いつから伺うようになったの?

過去のこと、思い出せない
思い出せても、すぐ忘れる、残念 

加齢のせい?
いや、もともと、その程度の頭の構造なのかも

楽屋で、森 常好君と『小袖曽我』で地頭を勤める大村定さんと


今回の演目は『小袖曽我』と『蝉丸』。

『小袖曽我』といえば~~すぐにあの未熟な幼いツレ時代を思い出す
昭和44年14歳の時、
シテは能夫20歳。

きゃ~~恥ずかしい
兎に角、あの時は謡が苦手でして~、

苦手だから嫌いになる訳で、
嫌いだと、どうしても避けてしまうから
勉強しない

故に、幼稚な未熟な謡になっちまうっていう訳さ、

また誰もご懇切にご丁寧に
「こうしたら~~どう? こうするといいよ~」
なんてやさしく教えちゃくれない。

と、他人のせいにするアキオ

『小袖曽我』は能のツレ役が一度、
あとは舞囃子を数回勤めてきたが、シテは毎回、
能夫さんだった。

だから~
私、この曲のシテをしたことはない。

いつも能夫さんが兄で、私はず--っと弟役。
巡り合わせ?
まあ、仕方がない、6歳も離れていると
逆はどう見てもおかしく見えるだろうからね

昨日のシテ・佐々木多門君とシテツレ・大島輝久君は
立派に舞われました。

ただ、「物着」の小書、あれは、どうしても好きになれない
直垂を脱いで、厚板を坪折にして羽織る格好が~~
ダサイ。

やはり真の男舞には掛直垂の袖(袂)を
風が舞うように颯爽と動かすのがいい、それがお似合いなのさ。

「物着」にした理由を聞くと、
「今回二度目という事なので、
ちょっとチャレンジしたかった」
と、その気持ちは大事、大切にして~
でもダサかった。

能は、はやり謡が大事、大切だな~~
『小袖曽我』の若者達は、野球の投手でいえば
直球勝負の、いや直球しか投げられないタイプ
真っ直ぐに謡うのはいいが、それだけでは物足りない
そういう年齢でしょう、変化技ほしい、じゃなきゃ味気ない

それとは対照的に
『蝉丸』のシテ・友枝昭世氏とツ・内田安信氏は大人の謡、
いろいろ変化球が投げられて謡力が利いていた。

流儀の若者は、もっともっと謡に関心をもってほしい、
上達には時間がかかるが、期待しているのですよ。

「どうしたら謡が上手くなるのか?」
と考えたことって何度もある。

で~~結局~~~
謡への探求心を忘れないことが大事みたい、

現状に満足しちゃいけない、
生まれつきだから、なんて諦めない

常に、向上心を持って、

「こんなんじゃない」

「もっと、感情を上手く表現して相手に伝える謡があるはずだ、
それは~~」
と研究・追求する、その意識なんだな~~~

昔、昔、父と宝生 閑先生に
「おまえたち、声が悪いし、謡をもっと勉強しろ!」
と、亡くなった野村万之丞(耕介)君と叱られたことがあって~~~


「は、はい・・・・・・・・」
と首をたれて・・・・・

そのあと

ふたりで、

「バキャ野郎、わかってんだよな~~
クソ、上手くなってやろうぜ~~」
と、グデングデンに酔っぱらって、クダ巻いてたな~~~


さて、会が終わると、
恒例の東北大の学生さん達がデマチしてくれて
本年度の新入生を紹介してくれた
男子3名、女子3名と

大漁だ~~~~

うれしい、あとはやめないように、飴と鞭でガンジガラメにして

あ~~~
長文になりまして、すいません。
長いのは良くないね

@@@@ 粟谷明生の舞台活動 @@@@

5月23日
喜多流自主公演 『吉野静』シテ 粟谷能夫 地謡 粟谷明生
喜多能楽堂 

5月25日
五体風姿 DVD動画公開録画の会 舞囃子『羽衣』 シテ 粟谷明生
国立能楽堂

5月30日
広島明生会 番外仕舞『玉之段』粟谷明生
広島アステールプラザ能舞台

6月6日
日立秋の会 レクチャー講義 『采女』と『綾鼓』の見どころについて
講師 粟谷明生 入場無料 日立シビックセンター

6月12日
国立定例 能『梅枝』シテ 粟谷能夫 地謡 粟谷明生
国立能楽堂

6月23日
一鼓の会 舞囃子『枕慈童』 シテ 粟谷明生
梅若能楽学院

7月19日(祭)20日(火)
奉納祭 喜多流能の美 黒澤明生誕100年祭イン宮島
19日 半能『八島』シテ 出雲康雅 地謡 粟谷明生
20日 能『羽衣』舞込 シテ 出雲康雅 地謡 粟谷明生
厳島神社舞台

9月5日
ひたち能 秋の会 能『綾鼓』シテ 粟谷明生
ひたちシビックセンター

9月18日
川崎能 能『籠太鼓』シテ友枝昭世 地頭 粟谷明生
川崎能楽堂

10月10日
粟谷能の会 能『白是界』シテ 粟谷明生
国立能楽堂

12月19日
喜多流自主公演 能『鉢木』シテ 粟谷明生
喜多能楽堂

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (morimori)
2010-05-16 09:33:45
流石にアッ君はアップが早いね
僕だけ黄色のシャツで
なんだかダサイ感じ・・・

今日は暇なので某所へ行き
友達とカラオケ祭りです
返信する
お返事 (粟谷明生)
2010-05-16 09:58:01
morimoriさん
昨日はお疲れ、
ありゃ~疲れるね(笑)

お疲れモードみたいだから
そういう時は友達と遊ぶのが一番

特異、ひゃ間違い
得意ののど自慢して来て下さい。
返信する
青葉能を拝見して (佐々木)
2010-05-17 21:20:29
先日の青葉能の興奮未だ冷めやりません、東北大学の佐々木です。
青葉能の演目はどれも素敵で、とてもいい経験になりました。
新入生も、思い思いに初めての能を楽しんでいたようでした。

また、舞囃子で舞わせていただく小袖曽我をお能で見られたことは本当に幸運だったと思います。
自分が舞うかと思うと嬉しくて、つい身を乗り出して見てしまいました。

そして、先生の『直球しか投げられない』という言葉に、そうかもしれない、と納得してしまいました。
小さい兄ではありますが秋には自分なりに精一杯舞おうと思いますので、ご指導よろしくお願い致します。
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お返事 (粟谷明生)
2010-05-17 22:19:08
佐々木君
コメント有難う。

野球の直球はいいですが、
謡いではね~~

変化球が投げられる佐々木君になってね
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ありがとうございました。 (こんどう)
2010-05-18 14:51:24
東北大学喜多会の近藤です。

先日の青葉能では、小袖曽我に蝉丸と両方ともなじみ深い作品だったこともあり、大変楽しみながら、勉強させていただきました。

また、青葉能後のお忙しい中、ご挨拶をさせていただき、ありがとうございました。みな、明生先生に会えることが出来、嬉しそうでした。

5月から新入生とのお稽古も始まりました。
新入生に能楽を楽しいと思ってもらえるよう、頑張ります。そして、教える私も、もっともっと向上心を持って、自分の演目をはじめ、稽古に励もうと思います。

今週のみちのく明生会には、新入生も一緒に参加させていただきます。新生東北大学喜多会を、今後ともよろしくお願い致します。
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お返事 (粟谷明生)
2010-05-19 07:53:10
こんどう様
コメント有難う。

土曜日は新人5名?
あれ6名入ったんじゃないかな?

新入生に「湯谷」をやりながら基本動作を教えたいと思います。


夏合宿があっという間に来そうですね
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