本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

付と附の字義

2019-03-23 09:12:14 | Weblog
 つい最近、『漢字は日本語である』という本にもの申した。その本に次の記述があったので、また、ちょっかいを出す。
 
 「付属品の「付」と附属高校の「附」。違いがよくわからないこの二字がともに当用漢字表に選ばれたのも「附」が憲法に出て来る字だからだ。「付」と「附」がどう違うのかはどの字典を見ても書かれていない。」
 少し引用が長くなったが、ふたつは要するに違いがわからない字ということだ。

 この違いについて、ブログで何度か書いているのだが、また書こう。
 どちらも「フ」という音読みと「つく」という字義はあるが、漢和辞典に使い分けがあると書いているではないか。字典にこだわらず辞典も調べてほしかったものだ。
 
 その漢和辞典に基づけば、もとの「付」の字義には、授ける(例:交付)、渡す(例:配付)、与える(例:給付)などがある。一方、「附」は主体なるものに「つく」ものの意味だ。だから本体である雑誌につくのが「附録」であり、法律の本則につくのが「附則」であり、大学にくっつくのが「附属」である。このように違いがあるということだ。
 仮に「給付」を「給附」と書けば間違いだろう。それなのに「附録」を「付録」と書いても正しいとすれば納得いかない。

 このことに初めて違和感を持ったのは、2001年の小学生の無差別殺傷事件の「大阪教育大学附属池田小学校」の新聞の扱いだった。
 この小学校の「附属」をどの新聞も「付属」としていたからだ。「附」の代わりに「付」を用いるのは新聞用語懇談会の取り決めらしい。

 しかし、全国の「附属」とある学校は正しい学校名である。それを取り決めで勝手に変えるのは乱暴というものだ。