ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

《ニュースとよばれる日々の破片が、》

2019-06-16 06:18:58 | 日記
どんよりとした雲。
雨が降ったり止んだり、と梅雨らしい日です。
きれいな柄模様の傘をさして出かけました。
街路樹も家々の庭先の花木の緑も生き生きしています。
こんなに剪定伐採されて、人間なら立ち上がれないかも・・・と思えるほどだったプラ
タナスなども、大きく葉を広げています。
すごい生命力に乾杯です。

『年金にかかる2000万円報告書』の受け取り拒否については、与党内からも疑問の
声が上がっている様です。
まったく国民を愚弄したやり方です。

 《安倍晋三首相が出席する衆参両院の予算委員会が26日の会期末まで
  開かれない見通しとなっている。
  予算成立後に首相が質疑に応じる予算委が一度も開かれなければ、2013
  年通常国会以来6年ぶりだ。夏の参院選を前に、老後資金の問題などで
  首相が追及される場面を作らずに「逃げ切り」を図ろうと与党は懸命だ。》
                     (毎日新聞2019.6.15)
と、報じられています。
民衆主義の原則は、しっかり論議することです。
分の悪い事柄は無いことにしてしまう、こんな政治であっていいものでしょうか。

ニュースを見ていると疲れてきます。
何か、ほっとしたものに触れたくなった時、私は長田弘さんの詩集を広げます。

    『世界はうつくしいと』
                       長田弘
    うつくしいものの話しをしよう。
    いつからだろう。ふと気がつくと、
    うつくしいということばを、ためらわず
    口にすることを、誰もしなくなった。
    そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。
    うつくしいものをうつくしいと言おう。
    風の匂いはうつくしいと。渓谷の
    石を伝わってゆく流れはうつくしいと。
    午後の草に落ちている雲の影はうつくしいと。
    遠くの低い山並みの静けさはうつくしいと。
    きらめく川辺の光はうつくしいと。
    おおきな樹のある街の通りはうつくしいと。
    行き交いの、なにげない挨拶はうつくしいと。
    花々があって、奥行きのある路地はうつくしいと。
    雨の日の、家々の屋根の色はうつくしいと。
    太い枝を空いっぱいにひろげる
    晩秋の古寺の、大銀杏はうつくしいと。
    冬がくるまえの、曇りの日の、
    南天の、小さな朱い実はうつくしいと。
    コムラサキの、実のむらさきはうつくしいと。
    過ぎてゆく季節はうつくしいと。
    さらりと老いてゆく人の姿はうつくしいと。
    一体、ニュースとよばれる日々の破片が、
    わたしたちの歴史と言うようなものだろうか。
    あざやかな毎日こそ、わたしたちの価値だ。
    うつくしいものをうつくしいと言おう。

    幼い猫とあそぶ一刻はうつくしいと。
    シュロの枝を燃やして、灰にして、撒く。
    何一つ永遠なんてなく、いつか
    すべて塵にかえるのだから、世界はうつくしいと。
                (長田弘 詩集「世界はうつくしいと」から)
                     ※文字の色替え、筆者

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする