ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

「300」mlの“贈りもの”

2015-12-26 06:22:25 | 日記
煙突からではなく、チャイムを鳴らして玄関から入って来たのは、今年22歳になる孫でした。
時計は8時半を回っていたのです。

『ハイ、じいちゃん』
クリスマスイブでしたので、じいちゃんの好きなお酒(会津地方の銘酒・「300」mlビン入りの生酒)を持ってきてくれました。

じいちゃんこと私の連れ合いは、今日、クリスマスイブの日、先だって受けた「生検」の結果を、
私と共に医師から聞いて来たのです。

無事解放とは言えませんでしたが、病とも共存しなければいけない年齢です。
医師の薦める治療を受けることに決めてきました。

クリスマスイブです。
教会では、キャンドルサービスが開かれます。
クリスマスにちなむ讃美歌を歌って、お祝が持たれますので、私も出席したいところでしたが、
連れ合いと共に家で食事をとることにしたのでした。

お酒も入り、私たちも休もうかと思ったところでの孫の訪問でした。
連れ合いも部屋から出てきて、小さな瓶を孫と共に傾け、お気に入りの黄瀬戸のお猪口で、乾杯。
連れ合いは、めっぽう喜びました。

20年前のクリスマスイブには、私が病を得て同病院へ入院していたのです。
見舞いに来た幼い孫たちの姿を目にした私は、
「あぁ、これからは、このいのち達が生きて行くんだな」
と思った時、少し早すぎるかもしれない「死」も受容出来そうに思えたのでした。

30分程して帰って行った孫を、門扉のところで見送りました。
「寒いから、中に入っていいよ」
「うまい酒、飲んだよ」
と言って、にこにこ顔で帰る後ろ姿にジーンとしました。
“あぁ、大きくなってくれたものだ”と。

たった、「300」mlの 生酒でした。
お猪口で二、三杯のお酒です。
でも、ひと樽のお酒を貰うに勝る嬉しいクリスマスの“贈りもの”でした。

『今度、一緒に酒を飲もうな』
と、連れ合いが嬉しそうに言いました。
20年前の私が、〈これからは、このいのち達が生きる〉と納得して、日々を生きてこられたように、
連れ合いにも「300」mlのお酒は、明日を生きる力を与えてくれたことでしょう。

お月さまが出ていました。
「シリウス」も、「オリオン」も、「子犬座」も輝いていました。
お月さまにも、
星たちにも、
「メリークリスマス」
と、ご挨拶しました。
                                   〈ゴマメのばーば〉
コメント (2)
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