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 「人生に計画をたててはなりません」ヘッセの手紙残像となる

枕草子(2)~鬼子母神~

2007-01-18 17:20:49 | 気になる動物・植物
 “ミノ虫は、きっと鬼が生んだ子なんです。”
この発想がどこから生まれたのかとても疑問に思いました。
枕草子を読んでいると、清少納言は根拠のない言葉は
使わないのではないかと考えるようになった。

ミノ虫は「鬼の子」でその親に捨てられた可哀そうな子
という発想の根拠が何かあるはずと考えて探しているうちに
「鬼子母神」の話がでてきた。

鬼子母神は「法華経」のなかに説かれる神様ということだそうです。
そこで、手元にある「法華経新講・久保田正文著」を調べてみた。
ありました、「陀羅尼品(だらにほん)第二十六」に
「鬼子母(きしも)」という言葉がありました。

『その時に羅刹女(らせつにょ)等有り。是の十羅刹女、鬼子母、並びに其の子、及び眷属(けんぞく)と倶(とも)に仏所に詣でて、同声に仏にもうして言(もう)さく・・・』

解説によると、「羅刹」とは食人鬼と訳してあり、今でいえば
食人の習慣をもつ民族のことで、その民族の中の女の人たちがあったというのです。ここに十人の名前があげられています。
それは、藍婆(らんば)、毘藍婆(びらんば)、曲歯(こくし)、華歯(けし)
黒歯(こくし)、多髪(たはつ)、無厭足(むえんぞく)、持瓔珞(じようらく)
このような、十人の食人種の女達がさらに鬼子母と名づける人およびその子
とその仲間たちと一緒に仏のところへ参りまして、一同声をそろえて
仏に申しました。

 鬼子母とは、サンスクリットでか利帝母(かりていも)というのを
鬼子母と訳し、また愛子母とも訳す、といわれています。

伝によりますと、初め、千人の子供を持っていたが、常に他人の子を
奪ってこれを食べた。ということです。
仏がこれを戒めようとして、千人の子の中の一人をかくしました。
鬼子母は、それによって母の子に対する愛情に目覚め、
そのときより悔い改めて、五戒を受けて仏の教えに帰依し
仏法と子供たちを守る神となったものといわれています。
〈以上法華経新講・久保田正文著より〉

 枕草子のミノ虫の話は、この話を逆に
子供の側から、捨てられた子供が親を慕ってどれほど
悲しがるのか、ということを書いたものと考えました。

清少納言は「法華経は『一乗の法』と言っています。
法華経に精通していたのではないかと思います。

清少納言が枕草子を書くたびに宮中で
読まれていて、名前が有名になったと書かれています。
宮中の方達は教養があるので、法華経の
鬼子母の話を分かっていてこの物語が生まれたことを
理解し、一つの教訓として読まれたのではないかと
考えました。そうでなかったら、あまりにも
唐突な空想でしかないと思いました。

この考えは正しいのかそうでないのか分かりませんが
これで、解せなかった部分が私なりに
解けたような気がして、すっきりしました。
コメント
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