Gikuri

ギクリのブログ。たまに自意識過剰。

JMCで検索したら日本モンキーセンターが出てきた

2021-08-14 | 走る若人が好き
5月からずっと陸上記事ばっかり
なのに気づきました。コロナ禍で
旅行できない一方で、レースの
動画配信が増えてネット観戦には
不自由しないからでしょうなあ。
で、今日まで陸上ネタです。
来週あたりから昨年GoToトラベル
した記事を投下予定(たぶん)。

パリ五輪のマラソンも選考レースを
設けることが7月に発表されました。
もしMGCの目的が「最も本番で活躍
できる選手を選ぶ」ことであれば
東京五輪終了後に結果を踏まえて
MGCの検証・総括をして改善点を
見直してから決定すべきところ、
東京五輪を待たずに決定したと
いうことは、やはりMGCの目的は
「選考の公平性・透明性を高める」
ことであったと改めて確信。

五輪終わるまで読まずに放置してた
けど月陸の記事見て勉強。
陸連の説明資料はこれですかね。
来年度選考要項の掲載ページはこれ
長くてまとまらないから見出し付き。

■ JMCシリーズの基本ルール

まずJMCシリーズというのを新設し、
直近1年4か月~2年を「シリーズ」の
期間として、毎年各シリーズの
ポイントを選手に競わせる仕組みを
作るそうです。出場大会のタイムや
大会の格でポイントを算出し、
上位3大会(シリーズ1のみ2大会)
の合計値でランク付けします。

シリーズ1から4の対象大会は
1…2020年度12月~2021年度末
2…2021年度11月~2022年度末
3…2022年度初~2023年度末
4…2023年度初~2024年度末
に開催されたものとなります。
(前後のシリーズとは重複する
期間があるのが分かります)。
ただし、必要大会中最低1大会は
期間内の最後の年度(シリーズ1
のみ2021年11月以降)の大会で
なければならず、前年度で
ポイントを多く稼いだら当年度
全く走らなくても大丈夫という
わけではないようです。
どの大会に出てもOKではなく
ポイントの付く大会は今後発表
ですが、これまで代表選考会と
なっている大会(3大会前後)
よりは拡大すると思われます。

世界陸上やアジア大会のマラソン
日本代表の選考にも関わり、
シリーズ1は2022年オレゴン
世界陸上と同年杭州アジア大会、
シリーズ2は2023年ブダペスト
世界陸上の代表選考において、
JMCシリーズの成績で1人は
必ず代表選手を選ぶ仕組みです。

シリーズ1と2はポイントによって
ランク付けをしますが、シリーズ
3はパリ五輪選考のMGCを2023年
秋に開催するため、その成績で
ランク付けをするそうです。
MGCの1位2位を最優先で選考し
あとの1人はその後のファイナル
チャレンジを加味とのことなので、
東京五輪のMGCと大枠は一緒かと。
五輪代表はMGCで選考し、JMC
シリーズのポイントでは選ばない
ですが、シリーズ3の2023年度に
稼いだポイントは無駄にはならず、
翌シリーズ4のポイントとして
2025年世界陸上の選考に影響する
ことになるでしょうか。
この制度が継続すればですが。

■ JMCシリーズの創設意図

JMCシリーズでは上位3大会の
ポイント合計値でランクが決まる
ルールのため、選手がシリーズに
参戦するには2年間に最低3回は
大会に出場する必要があります。

毎年冬1回走るだけだと3回に
満たないですが、12月にある
男子福岡が2021年限りで廃止
されることが決まったため、
男子2月(別府大分が入れば
2月上旬で入らなければ新設の
大阪がある2月下旬)~3月上旬、
女子1月下旬~3月中旬の国内
主要冬大会から年2回走るのは
日程的に厳しく、選手は自然と
北海道などの夏マラソンや
春秋の海外マラソンを1~2年に
1回は走ることになるでしょう
(国内外のどの大会が指定される
かは現時点で分かりませんが、
海外は1大会まで認められます。
おそらく国際大会の夏マラソンも
含まれるので国際大会の代表選手が
ポイントで有利になる年もあるかも)。

「高速コースの東京マラソン以外
走りません」という選手では
この制度に参加することができず、
夏マラソンなり海外なりの経験を
積むことが要求されます。

なので、制度創設の意図としては
  • 選手には毎年冬1回に限らず
    定期的にマラソンを走ってほしい
  • 世界陸上などの代表選考で、
    一発屋でなく経験を積んだ選手を
    1人は入れられるようにしたい
ってところかと推測します。
後述しますが、JMCシリーズのみで
代表選考するのではなく一発屋の
選手も選考対象になりますので、
経験が浅いものの急速に成長して
結果を出せた若手に対して門戸を
閉ざすものではありません。

■ 世界陸上の代表選考

来年2022年世界陸上では
シリーズ1の、再来年2023年
世界陸上ではシリーズ2の
チャンピオン(ポイント1位)が
最優先で代表1人目に選ばれます。
1位が辞退した場合は2位に回る
など、JMCシリーズの上位からは
必ず1人選ぶようです。

2人目以降はJMCシリーズではなく
選考大会の成績を基に選びます。
2022年世界陸上に関しては、
①派遣記録突破
 (男子2:07:53、女子2:23:18)
②選考大会で、代表1人目を
 除いた日本人2位以内
の条件を満たす選手から
記録(=タイム)、順位、
レース展開、タイム差、気象条件
等を総合的に勘案して選ぶ
ということになっています。
つまりJMCのポイントなどの
数値で自動的に決めるのではなく
複数あるはずの選考大会の
複数の上位選手の中から
陸連の人達が考えて決めます。
派遣記録の設定がありますが、
MGC以前の伝統的な選考方法に
近いイメージです。

なお、派遣記録を突破している
対象者が2人に満たない場合は
「選考大会で日本人2位以内」
の選手(これは代表1人目を
除かない2位以内なので、代表
1人目に敗れた3位の選手は
ノーチャンス?)の中から
JMCシリーズのポイントランク
上位の選手を追加で選びます。
女子はともかく、男子は気象
条件が最悪でない限り東京で
2:07:53を突破する選手は
今や何人も出てきそうですが。

補欠は「必要に応じて」選考と
書いてあるので選考しないのも
可能ですが、一方で「補欠が
正選手となる」ことについての
記載もあるので、基本的には
選考しそうな感じです。
後からJMCシリーズ1位が故障で
辞退した場合、シリーズ2位
以降の選手が繰り上がるのか
(2位3位がもし2人目3人目で
選ばれてたら4位の選手?)、
補欠の選手と交代するのか。
これは辞退のタイミングにも
よるのでしょうか。例えば
発表後の辞退なら補欠とか。

2022年アジア大会の代表選考も
おおむね同じルールを予定してる
ようですが、同年開催になった
7月世界陸上と9月アジア大会で
同じ選手がフルマラソンをガチで
走るのは、川内選手でない限り
事実上困難と言えます。
「選考大会で代表1人目を除いた
2位以内」の選手は、例えば
3大会なら計6人いるはずなので、
世界陸上の選考から漏れた選手を
敗者復活的な形でアジア大会の
代表に選ぶのでしょうか。

■ 課題1:制度が選手に広がるか

課題もなくはありません。
2022年世界陸上の2人目以降の
「派遣記録突破者から選ぶ」
代表選考方法が今後も続く場合、
JMCシリーズに参加しない
(=規定した数の大会に出場
しない)選手でも、選考大会
1回のみ出場して一発決めれば
代表になれる可能性があります。

シリーズ1は2大会だけなので
毎冬マラソンを走る選手なら
大会数を満たしますが、
特に規定数が3大会に増える
シリーズ2以降、世界陸上の
選考方法が同じであると仮定
して、「2年間に3回もマラソン
走るのは面倒、2人目以降で
代表に選ばれればいいや」と
JMCシリーズに参加しない
選手が続出してしまうと、代表
1人目にあまり強くない選手が
選ばれる可能性が出てきます。
特に派遣記録を突破できる
選手が多そうな男子ですね。

JMCシリーズの存在を無視する
選手が増えると、制度実施の
意義も薄れてしまいます。
例えばチャンピオンに賞金を
出すなど、JMCシリーズに
みんな参加してくれるような
メリットを何か提示できると
いいのかなと思います。

■ 課題2:五輪前年の世界陸上の軽視問題

パリ五輪MGCを2023年秋に
行うと、東京五輪MGCと2019年
ドーハ世界陸上の時と同様、
MGCを優先し2023年8月開催の
ブダペスト世界陸上の代表に
なることを受け入れる選手が
極端に少なくなることが予想
されます(自国開催の五輪じゃ
ないから東京五輪MGCよりは
ましかもしれないけど)。
五輪前年の世界陸上の軽視
問題が再発することを許容
するということになります。

MGCの2位以内に入れなかった
3人目枠でブダペスト世界陸上
代表選手の救済措置があるか
資料からは読み取れませんが、
世界陸上代表になることで
MGCに出場できなくなっても
3人目の選考でパリ五輪に
挑戦できるようなルールに
なれば、誰も世界陸上に
出てくれないという事態を
回避できるかなと思います。

ただ、3人目は誰が出ても
本番への調整が難しそうです。
大迫選手曰く、MGC出場権を
得るための大会、MGC本戦、
MGCの半年後代表3枠目を
勝ち取った東京マラソンと、
必死で戦わなくてはいけない
レースが続いたため、さらに
東京マラソンの僅か5ヶ月後に
延期なく予定どおり五輪本番を
迎えていたら正直きつかったと。
大迫選手ですらそう言うの
ですから、耐えられる選手は
なかなかいないかもしれません。
好タイムを出せば出すほど
体へのダメージが残りますし、
3人目は本番で結果が出なくても
やむを得ないかなあ…。

「3人目こそJMCシリーズの
シリーズ3のポイントで決めたら
よくない?」とふと思った(笑)。
MGCや2023年世界陸上にも
成績に応じてポイントを付けて、
MGC後の冬マラソンで好記録を
出せばポイント逆転できるように
したら、世界陸上組もチャンスが
貰えるし(MGCにも世界陸上にも
出てない選手はポイント最上位に
なっても選考対象外にしてOK)。
各大会で付けるポイント数は事前に
うまく考えなきゃいけないけど。
まあ今更変更しないでしょうが。

■ 課題3:新型コロナ流行への対応

あと懸念される点としては、
コロナで競技会がことごとく
中止になったときに代表選考を
どうするか(どんな選考方法に
しても問題となりますが)。

エリート向け大会であれば
参加人数が制限されており、
お祭り気分で感染対策が緩む
ランナーも少ないと思いますが、
市民マラソン型の大会の場合は
人数が多くランナーの行動の
コントロールも困難であり、
観戦が拡大すると中止に
なりやすい傾向にあります。
エリート向け大会は資金不足で
廃止や市民マラソン転向が
相次いでおり、主要大会で
エリート向け大会というと
今年限りの男子の福岡以外では
女子の大阪くらいしか残って
いないかもしれません。

ワクチン接種がもっと広がって
コロナの脅威レベルが既存の
インフルエンザ程度となり、
コロナと共存(もう撲滅は無理
だからね…)した生活が可能に
なれば、多少流行しても大会を
開催可能でしょうが、世界的な
ワクチン争奪戦もあり冬までに
若年層を含めた国内希望者への
接種を完了できるかは怪しいと
思いますし、変異株への対応や
効果持続期間から3回目以降の
接種が必要という説もあります
ので、当面は安心できない
状況が続きそうです。

世界陸上の選考対象の大会や
JMCシリーズポイント対象の
大会がまだ発表されてないのも
コロナで大会中止決定がないか
様子見してるのでしょうか?
選手は出場大会を決めて準備を
しないといけないため、早く
発表してほしいでしょうが…。


この制度、まだ陸上ファンに
あまり周知されていない気が
します。次もMGC続けるべきとか
やめるべきとか主張している
ファンをたまに見かけますが、
たぶん方針決まったのが知られて
ないのかと(五輪前のタイミング
での発表だったので、私含めて
みんな五輪に関心が行ってて
見向きしなかったかな)。
対象大会やMGC出場権獲得方法の
細部が決まってからでもいいかも
しれませんが、発信力のある
メディアや個人が分かりやすく
解説してくれたらいいですね。

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8/22追記。

2022年世界陸上の選考対象の
大会が先日発表されました。
今冬の対象大会は、男子は
福岡+別府大分+新設大阪
+東京、女子は大阪国際+
東京+名古屋。女子は東京を
走ってもOKになりました。
これらはJMCシリーズの
ポイント対象大会にもなり、
他のポイント対象大会は
世界陸連ラベルレース
(防府とかも該当しそう)
や女子の新設大阪は決定で
今後追加発表予定とのこと。

「必要大会中最低1大会は
期間内の最後の年度(シリーズ1
のみ2021年11月以降)の大会」
のところは国内のJMCシリーズ
加盟大会とのことで、海外大会
だけではダメなようです。
先日の五輪や世界陸上などの
国際大会もポイントが付く模様。
途中棄権はダメ。そりゃそうだ。

ポイント表や現在のポイントも
陸連サイトに掲載されてました。
勿論シリーズ1は現時点で
日本記録の鈴木選手がトップ
ですが、2位が福岡の吉田選手
で順位点が結構効くのかも。
格の高い大会ほど順位点が
増えるけど、海外大会だと
外国人選手込みの順位になり
点を稼ぐのが大変そうなので、
冬は素直にG1の国内主要大会を
走る方が点を取れるかな。
五輪はタイムを問わず完走一律
1200点+順位点になってた。
まあ大迫選手は引退するから
ポイント争いに関係ないですが。
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