トラッシュボックス

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荒木和博が蓮池薫氏らに対しさらに・・・

2006-12-29 13:37:42 | 事件・犯罪・裁判・司法

 荒木和博が特定失踪者問題調査会のニュースでさらに、蓮池薫氏ら帰国した拉致被害者に対する疑問を述べているという。

 《■蓮池さんのこと
                       荒木和博

  調査会の岡田常務理事から言われて気づいたのですが、蓮池透さんの著書『奪還 第二章』126ページに警察の事情聴取に関する話が出てきます。その中にこんな一節があります。

  「弟夫婦への警察の事情聴取は結局、2004年秋に弟の希望通り実家で行われました。その時、驚くような質問を受けたそうです。

 『北朝鮮のパスポートを所有していますね。日本国内へ工作活動に来たのはいつですか?誰にも言いませんから』

 『北朝鮮で日本語教育というある意味でスパイ養成に加担したわけですが、どういうお気持ちで?』

 弟は、『日本国内になんて、入れるわけがないだろう。日本語教育は、われわれが生き残るためにやったまでなのに…あなた方は助けに来てくれたのか?』と激怒したそうです。状況を聞いた私は開いた口が塞がりませんでした」

 確かに、こう聞かれれば、薫さんが怒るのももっともでしょう。誰も助けに来なかったのに何を言うか、というのは今北朝鮮に残っている拉致被害者からも、私たちはやがて同じ言葉を聞かされることになると思います。

 しかし、それはそれとして、この記述が事実なら、なぜ警察はあえてこういう質問をしたのでしょうか。何も根拠がなくて、皆が腫れ物にでも触るように扱っている帰国した拉致被害者にこういうことを聞くでしょうか。やはり警察は何か極めて重要な情報、捜査上の秘密などという言葉で隠してはならない重要なことを知っていて、そして隠しているのではないかと思わざるを得ません。あるいはそれは警察レベルのことではないのかも知れません。そして隠しているという意味ではもちろん帰国した5人もです(私は少なくとも5人を非難するつもりはありませんし、その資格があるとも思いませんが)。》



 この蓮池透氏の『奪還 第二章』の記述については、ほかにもどこかで指摘されているのを見た記憶がある。どこだったろうか・・・。
 検索してわかった。問題の源である当の横井邦彦氏のブログ「労働者のこだま」ではないか。『週刊現代』の報道後、このブログの蓮池薫氏関係の記事は何故かほとんど読めなくなっているが、この「おもしろい指摘」という記事は何故かまだ残っている。以下全文を引用する。


 《2006-12-06 02:23:00

 おもしろい指摘

  私のブログに興味深いコメントをよせてくれた人がいるので紹介します。 「兄の透氏の『奪還』によると帰国後の警察の事情聴取に『日本に帰ってきたのはこれが初めてではないでしょ?』の問いかけに『帰れるはずがないじゃないか!』と激怒したそうです。また『俺は有名人だったから』とも言っていたそうです。」

  最初に浮かぶ疑問は、「日本に帰ってきたのはこれが初めてではないでしょ?」という警察の問いかけは拉致被害者全員になされたものでしょうか?

  つまり、警察は地村さん夫妻や曽我ひとみさんにも同じ問いかけをしたのか?ということです。

  私はそのような質問はしなかったと思います。

  それに激怒というのもおかしな反応です。「なぜそういう質問をするのですか」と問い返すのが普通でしょう。本当に日本に帰ってきたのが初めてならば。

  取り調べ室で容疑者が激怒でもすれば、取調官は「なんか当たったな」ということで、もっとするどく突っ込んでくるはずですが、そうでないのは新潟県警に人権に対する配慮が行き届いているからでしょう。

  さらに、警察はなぜ蓮池薫氏にだけそのような意地の悪い質問をしたのでしょうか?

  警察がそのような問いかけをしてみたくなるような根拠を何か知っていたのではないですか?  

 「俺は有名人だったから」「帰れるはずがないじゃないか!」という答えも奇妙なものです。  

  彼を日本の官憲にとって「有名人」としたものは、果たして「拉致被害者」であるということでしょうか?

  また「有名人」だから「帰れない」というのは、「有名人」でなければ「帰ること」もできたんだ、という意味を含んではいませんか?  

  だから、この文章は「あることがあって自分は日本の官憲にとって有名人となってしまったので、帰れなくなった」という風に解釈できませんか?  

 もちろんこれは単なる憶測というものですが・・・ 》 



 なんだか荒木と同じようなことを述べている。荒木が言う、「調査会の岡田常務理事」は、この横井氏の記事を見て荒木に指摘したのかもしれない。

  北朝鮮がさまざまな対日工作を行っているのは事実だろう。そして蓮池氏ら5人がそのような活動に何らかの形で関与していた可能性はあるだろう。警察もそのようなことを考えた上でいろいろな質問をするだろう。その中には拉致被害者にとって不愉快なものも当然あるだろう。
 警察に限らず、インタビュアーというものは、当人が聞かれたくない点についても突っ込んで質問するし、カマをかけて反応をうかがったりもするものだ。 『奪還 第二章』の上記の記述をもって、荒木や横井氏が言うように、警察が蓮池薫氏について重要な情報を握っていた根拠と見るのは、どうにも弱すぎるように思う。
(なお、この問題を取り上げている「sokの日記」というブログの「横井邦彦氏の言う「おもしろい指摘」って?」という記事によると、『奪還 第二章』には、「俺は有名人だったから」というくだりはないそうだ。ならば、上記の横井氏の「有名人」云々の記述は、ガセネタに基づいて憶測をたくましくしているだけということになる)

 続いて荒木が述べている、拉致被害者の死亡情報の扱われ方を見て国家権力不信になったという話や、ミッドウェー海戦の大敗を隠蔽したのと同様のことが拉致問題で今も進行しているのではないかという指摘は、わからないでもない。
 おそらく、特定失踪者問題調査会としては、帰国者5人が協力に消極的だと感じているのだろう。
 しかし、


 《私たちはほんの僅かな、不確かな情報でも渇望している失踪者のご家族の思いを背に負っているのですから、多少の無理はせざるを得ません。それが脅迫であるとして罪に問われるならそれも仕方ないと思います。》


 こういう、目的のために手段を正当化するような考え方は良くない。
 それに、帰国者もまた被害者である。被害者間に対立を生むおそれはないか。
 帰国者は、語るべき有益な情報を実際に持っていないのかもしれない。死亡したとされる他の拉致被害者や特定失踪者の問題が解決に向けて進展しないからといって、その不満を帰国者にぶつけるのは筋違いではないかと思う。