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間違いだらけの国籍法改正反対論(下)(過去記事転載)

2019-06-14 22:49:08 | ブログ見聞録
(この記事は、2009年9月20日に私のYahoo!ブログに掲載したものです。
Yahoo!ブログが本年12月にサービスを終了するため、こちらに転載するものです。
引用部分の表示の仕方がYahoo!ブログとgooブログでは異なるため、そのままではわかりにくい箇所があるので、本文を若干修正しました。
文中敬称略)


(前回の記事はこちら

 さて、問題とされている12月4日の参議院の法務委員会での発言阻止ですが、この記事中の賛成派議員による

《賛成派議員 「理事会で決まってんでしょ」》

《賛成派議員 「自民党どうするんですか!国対委員長!国対で話し合ったでしょ !」
 賛成派議員 「理事会で決まってるでしょ!国対委員長!委員長しっかりしなさいよ!」》

といった発言からは、法務委員会の理事会や、各党の国会対策委員長による協議により、既に結論は出ており、採決を待つばかりという段階だったことがうかがえます。

 なお、この改正案に対する質疑は、11月27日に行われています。
 その内容は、国会会議録検索システムで確認することができます(丸山和也議員も発言しています)。

 無宗ださんは、このパピヨンさんの記事を転載した自分のブログで、

日本には言論の自由があったはずだが…


とコメントしていますが、言論の自由とは、いつなんどきでも、いかなる場所においても、自由に発言できるという趣旨ではないことは言うまでもありません。

 この法務委員会では、記事にあるように、改正案は全会一致で可決されました。ということは、丸山和也議員も賛成しているわけです。何かしら、発言したいことはあったのでしょうが、反対意見を封殺されたというわけではなさそうです。

 記事がリンクを張っているYouTubeの動画のタイトルには「「音声とめて!」 民主党、千葉景子が国籍法をゴリ押し」とありますが、自民党の反対を押し切って民主党が採決を強行したというわけではなく、単に予定外の発言を封じたというだけですから、「国籍法をゴリ押し」という表現は不適切でしょうし、仮に発言封じを批判するにしても、その責任は議事進行役である澤雄二委員長(公明党)にあります。千葉批判は筋違いです。

 可決後、この動画にも収録されているように、理事である千葉景子が、附帯決議案を提案しています。これは、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党の各派共同提案です。

 この附帯決議の全文は、次のとおりです。

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 本法の施行により、生後認知された子も胎児認知された子と同様、届出のみで我が国の国籍を取得することができることとなることにかんがみ、本法の趣旨について十分な周知徹底に努めること。
 二 我が国の国籍を取得することを目的とする虚偽の認知が行われることがあってはならないことを踏まえ、国籍取得の届出に疑義がある場合に調査を行うに当たっては、その認知が真正なものであることを十分に確認するため、認知した父親に対する聞取調査をできる限り実施すること、当該父親と認知された子が一緒に写った写真の提出をできる限り求めること、出入国記録の調査を的確に行うこと等につき、調査の方法を通達で定めること等により、調査のための万全な措置を講ずるよう努めること。
 三 本法の施行後、改正後の国籍法の施行状況について、当分の間半年ごとに当委員会に対し報告するとともに、その施行状況を踏まえ、父子関係の科学的な確認方法を導入することの要否及び当否について検討する等、虚偽の届出を防止するために必要な措置を講ずること。
 四 ブローカー等が介在して組織的に行われる虚偽の認知による不法な国籍取得の動きが生じてはならないことを踏まえ、入国管理局、警察等関係当局が緊密に連携し、情報収集体制の構築に努めるとともに、適切な捜査を行い、虚偽の届出を行った者に対する制裁が実効的なものとなるよう努めること。
 五 本改正により、重国籍となる子供が増加する事態が起こり得ることにかんがみ、重国籍に関する諸外国の動向を注視するとともに、我が国における在り方について検討を行うこと。
   右決議する。


 前回引用した衆議院での附帯決議と比較すると、趣旨は基本的に同じであり、かつ偽装認知防止策について強化したものであることがわかります。
 この附帯決議も賛成多数で可決されました(全会一致ではない)。

 法案は、翌12月5日に参議院本会議で可決、成立しました。
 その投票結果は、会議録によると、

  投票総数         229
  賛成           220
  反対            9

だったそうです。反対者の内訳はわかりませんが、自民党も大多数は賛成していることがわかります。

 パピヨンさんの記事の本文に戻ります。

民主党・公明党は、どうしても在日韓国・朝鮮人・中国人、つまり特定アジア・反日3カ国の人々に参政権を与えたいわけですね。


 上記の最高裁判決は、いくつかの事例についてまとめて違憲だと認めたものですが、いずれも母はフィリピン人です。
 ウィキペディアには現在〔転載者註:2009年9月20日当時〕「国籍法改正騒動」という項目があり、その中で偽装認知を試み逮捕された事例があったと書かれていますが、その外国人とはペルー人です。

 この記事の筆者の頭の中には、日本国籍を取得したい外国人といえば中韓朝の3か国しか思い浮かばないようです。
 この3か国の国民に日本国籍を与えることに反対なのであって、それ以外の国民による偽装認知はどうでもいいようにも受け取れます。

 記事にはこうもあります。

麻生内閣が議論もせずに通してしまったように言っていますが、例によって売国政策を推進する民主党と公明党が主導なので、自民党が悪いわけではありません。


 繰り返しますが、内閣提出法案ですから、当然麻生内閣に責任があるのです。
 それでも自民党は悪くないと言い張るこの記事の筆者の姿勢からは、問題の本質を理解する意志はなく(能力もないのかもしれませんが)、ただ民主党・公明党叩きと外国人排斥ムードを作り出すためにこの騒ぎを利用したいだけだという意図が読み取れます。

 さて、偽装認知の問題は確かにありますし、それへの厳正な対処は必要でしょう。
 しかし、ではDNA鑑定を要件とすべきだったのでしょうか。
 この騒動の当時、衆議院の法務委員会のメンバーだった自民党の稲田朋美議員(弁護士)は、2008年11月27日付産経新聞「正論」欄で、最高裁判決を批判しながらも、DNA鑑定を要件にすることには慎重な姿勢を示しています。

【正論】「国籍付与」は国会の重い課題
〔前略〕
 今回改正について多くの反対意見が寄せられた。ほとんどが偽装認知の横行への不安から、DNA鑑定を必須条件にせよというものだ。偽装認知は防がなければならない。だがDNA鑑定を要件とするのは、日本の家族法制度に変容をきたす恐れがないか慎重に検討しなければならない。

 昨年自民党内で民法772条の300日規定が見直されようとしたとき、私はDNA鑑定を法制度にもちこむことの危険性を主張した(昨年4月17日本欄)。民法は「親子関係=生物学的親子」という考え方をとっておらず、法的親子関係は子の安全な成長を確保するための法制度である。安易にDNA鑑定を取り入れることは、生物学的親子関係をすべてとする風潮につながりかねない。

 これに対し、国籍付与の前提としての認知にDNA鑑定を行うことは「血統主義」をとる我が国では当然であり、民法の親子関係に直接影響を与えるものではないと主張する人もいる。

 しかし仮にDNA鑑定を要件とすれば、今までなら父の認知後、父母が婚姻をして準正により当然に国籍を付与した場合にも鑑定を要件としなければ平仄(ひょうそく)が合わない。なぜなら最高裁は「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かは、子にとっては自らの意思や努力では変えることのできない身分行為」である。これによって区別することは憲法14条の差別としたのだから、認知しただけの非嫡出子にDNA鑑定を要件とするのなら、父母が結婚した嫡出子にも鑑定を要件としなければ再度憲法違反をいわれる恐れが大きいからだ。

 しかし、父母が結婚している場合にまでDNA鑑定を要件とすることは、婚姻中に妻が懐胎した子を夫の子と推定している民法772条についても、真実の父を確定するためのDNA鑑定を持ち込まないとつじつまがあわなくなる恐れがある。

 そもそも国籍法上の「血統主義」は子の出生時に母または父が日本国籍であることを要求することである。そこにいう「父」は生物学上の父ではなく法律上の親子関係の発生した父を指す。つまり血統主義だから鑑定を義務付けるのが当然とはならない。

 むしろ国籍付与の条件としての父子関係と民法上の父子関係とは違うとして、国籍付与の場合にのみ鑑定を要件とするという考え方は、法的父子関係を複雑にし、理論上はありえても法制度として妥当とは言いがたい。


 私はこの稲田の記事を読むまで考えもしなかったことなのですが、要するに、わが国では法律上の親子関係は必ずしも生物学的に親子であることを意味しない(ということは、そうでない実例があるということなのだろう)から、そうした現状に波及しかねないDNA鑑定の要件は妥当ではないというのです。
 もっともな話だと思います。

 DNA鑑定を要件とすることによる偽装の防止と、民法の家族制度のあり方への影響は慎重に検討しなければならない。衆議院の付帯決議には課題として『父子関係の科学的確認を導入することの要否、当否を検討する』との文言が入った。現時点では届け出の際認知した日本人男性との面談を義務付け、母と知り合った経過を確認するなどして運用面での偽装防止策を充実させる方途を模索すべきである。


 私もこの稲田の結論に同意します。

間違いだらけの国籍法改正反対論(上)(過去記事転載)

2019-06-12 22:30:32 | ブログ見聞録
(この記事は、2009年9月20日に私のYahoo!ブログに掲載したものです。
Yahoo!ブログが本年12月にサービスを終了するため、こちらに転載しておくものです。
 なお、引用部分の表示の仕方がYahoo!ブログは独特であり、そのままgooブログで表示すると本文とのつながりがわかりにくい箇所があるので、本文を若干修正し、ついでに言葉足らずの点に補足を加えました。)


 以前から交流のある無宗ださんのブログで、次のような記事を見つけた。

「速記止めて!音声止めて!」参議院での国籍法改悪の瞬間

 これは転載記事で、オリジナルはこちら。パピヨンさんという方の「木漏れ日の中で 」というブログの記事である。

 この国籍法改正は昨年12月に成立し、本年1月1日から施行されているのだが、民主党叩きのために未だにこの問題をむしかえしたい人々がいるらしい。

 私はこの国籍法改正にそれほど詳しくないのだが、それでも、この記事が間違いだらけであることはわかる。

 記事にはこうある。

民主党、公明党が推進していた、国籍法改正。

例によって民主党と公明党が推進していました。


 違います。
 この改正案は内閣提出法案です。議員立法ではありません。

 では、何故内閣が提出したのか。
 法務省のホームページに、この国籍法改正案の要綱や本文、理由、新旧対照条文が載っています。
http://www.moj.go.jp/HOUAN/houan40.html
 その「理由」の全文を次に掲げます(太字は引用者による。以下同)。

出生後日本国民である父に認知された子の日本の国籍の取得に関する国籍法の規定は一部違憲であるとの最高裁判所判決があったことにかんがみ、父母が婚姻をしていない場合における認知された子にも届出による日本の国籍の取得を可能とする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


 この最高裁判決とは、2008年6月4日に言い渡された以下の2件

平成19(行ツ)164 国籍確認請求事件  
平成20年06月04日 最高裁判所大法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=36416&hanreiKbn=01

平成18(行ツ)135 退去強制令書発付処分取消等請求事件  
平成20年06月04日 最高裁判所大法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=36415&hanreiKbn=01

を指します。

 裁判所には、違憲立法審査権があります。最高裁で違憲判決が確定したら、その違憲状態を解消するために所管官庁が法律を改正しようとするのは当然のことです。
 別に民主党と公明党が推進していたのではありません。

 いわゆる外国人参政権の問題で両党が導入に積極的なのは事実です。しかしこの国籍法改正はそれと全く別の話です。

 パピヨンさんの記事はこう続きます。

日本国籍を得るために嘘をついた場合の罰則は、懲役一年以内。20万円以内の罰金。日本国籍のパスポートは世界でも信頼性が高く、日本国籍を得られることのメリットと比べれば、ほとんど罰則の意味をなさず、抑止力にもなりません


 それだけではすみません。
 法務省民事局のホームページにある「改正国籍法Q&A」には次のようにあります。

Q3 なぜ罰則が設けられたのですか。

A3 今回の改正により,日本人男性と子の間に実際には親子関係がないのに,親子関係があると偽って認知届をし(偽装認知),その認知事項が記載された戸籍謄本を添付書類として国籍法第3条の国籍取得の届出書を法務大臣に提出して不正に日本国籍を取得しようとする事案が発生する懸念があります。

そこで,改正法では,虚偽の国籍取得の届出書を提出した者(本人が15歳未満のときは父母などの法定代理人)に対する制裁として,1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する刑罰が設けられました(国籍法第20条)。

なお,虚偽の認知届を提出する行為及び虚偽の国籍法第3条の国籍取得届によって不正に取得した国籍証明書を添付して戸籍法第102条の国籍取得届をする行為についても,公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)等により,それぞれ5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。


 パピヨンさんはこうも述べています。

DNA検査などは特に必要なく、「自分の子だ」と認めればいいだけですから。


 では、DNA鑑定を要件にすべきなのでしょうか。
 この点については、後述します。

 さらに、パピヨンさんはこう続けます。

さて、ろくに審議もされずに衆議院を通過してしまいましたが、そのあと、その危険性を感じた多くの国民が抗議して、考えなしに法案を通してしまった衆議院でも、慌てて対応を取りました。付帯決議を付けたのです。

1.本当に二人の間の子であることを科学的に証明する必要性があるのではないか

2.罰則を現実的な効力を持ったものにした方が良いのではないか

この2点について参議院で議論して欲しい、ということでした。


 附帯決議というのは、法案の可決に伴って決議するものです。「そのあと」「付けた」のではありません。

 そして、「参議院で議論して欲しい」というものではありません。法律の施行に伴い政府に対して要望する事項などを明記したものです。

 この記事を書いた人が、何もわかっていないことがわかります。

 ちなみに、衆議院での附帯決議の全文は次のとおりです。

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 日本国民から認知された外国人の子が届出により我が国の国籍を取得することができることとなることにかんがみ、国外に居住している者に対しても、本法の趣旨について十分な周知徹底に努めること。

 二 我が国の国籍を取得することを目的とする虚偽の認知が行われるおそれがあることを踏まえ、国籍取得の届出に疑義がある場合に調査を行うに当たっては、その認知が真正なものであることを十分に確認するため、調査の方法を通達で定めること等により出入国記録の調査を行う等万全な措置を講ずるよう努めるとともに、本法の施行後の状況を踏まえ、父子関係の科学的な確認方法を導入することの要否及び当否について検討すること。

 三 ブローカー等が介在し組織的に虚偽の認知の届出を行うことによって日本国籍を取得する事案が発生するおそれがあることを踏まえ、入国管理局、警察等関係当局が緊密に連携し、情報収集体制の構築に努めるとともに、適切な捜査を行い、虚偽の届出を行った者に対する制裁が実効的なものとなるよう努めること。

 四 本改正により重国籍者が増加することにかんがみ、重国籍に関する諸外国の動向を注視するとともに、我が国における在り方について検討を行うこと。


 パピヨンさんが述べる付帯決議の内容とはだいぶ違うようですね。

 なお、この法案は11月18日に衆議院法務委員会を全会一致で可決し(この際に附帯決議も可決されました)、その日のうちに本会議も全会一致で可決しています。
 言うまでもなく、当時の衆議院は自民党が圧倒的に多数です。
 議員全員が出席する本会議はともかく、分野別に設けられている委員会では、出席者が審議すべき法案の内容を理解しているのは当然です。でなければ職務怠慢でしょう。
 衆議院の会議録によると、この日の法務委員会のメンバーは次のとおりです。

   委員長 山本 幸三(自民)
   理事 大前 繁雄 理事 桜井 郁三
   理事 塩崎 恭久 理事 棚橋 泰文
   理事 谷畑  孝 理事 加藤 公一
   理事 細川 律夫 理事 大口 善徳
      赤池 誠章    伊藤 忠彦
      稲田 朋美    近江屋信広
      木村 隆秀    笹川  堯
      清水鴻一郎    杉浦 正健
      平  将明    丹羽 秀樹
      萩山 教嚴    早川 忠孝
      町村 信孝    武藤 容治
      村田 吉隆    森山 眞弓
      矢野 隆司    柳本 卓治
      若宮 健嗣    石関 貴史
      枝野 幸男    河村たかし
      中井  洽    古本伸一郎
      神崎 武法    保坂 展人
      滝   実

 自民党では法相経験者や派閥の領袖、党3役、保守派の「青年将校」と呼ばれた人物などの名が目につきますが、彼らの目が皆節穴だったと、この記事を書いた人は考えているのでしょうか。

(続く)

BNN365北海道の外国人参政権に関するアンケートについて(過去記事転載)

2019-06-11 19:56:05 | ブログ見聞録
(この記事は、2010年1月31日に私のYahoo!ブログに掲載したものです。
Yahoo!ブログが本年12月にサービスを終了するため、こちらに転載しておくものです)

 無宗ださんのブログの記事「民意って何?」で、次のようなコメントをいただきました。

たとえば、
「永住外国人の地方参政権」に関してアンケートをとって
http://www.hokkaido-365.com/news/2009/11/post-563.html

・必要 169票
・不要 1万4053票

なんて、結果がでたとすれば、
「民意は永住外国人の地方参政権付与に反対している」といっても構わないと考えますけど。


 本題の「民意って何?」についてはあちらのコメント欄で書きましたが、このアンケートについていくつか思うところがあったので、こちらで記事にすることにしました。

 外国人参政権についての世論調査は時々見かけます。
 例えば、朝日新聞が今年の1月16日と17日に行った調査では、永住外国人への地方参政権の付与について、賛成60%、反対29%とされています。
http://megalodon.jp/2010-0130-2043-29/www.asahi.com/politics/update/0118/TKY201001180431.html
 また、フジテレビの系列局によるネットワークであるFNNが昨年11月21日と22日に行った調査では、「実現すべきと思う」53.9%、「思わない」34.4%となっています。
http://megalodon.jp/2010-0130-2332-08/www.fnn-news.com/archives/yoron/inquiry091123.html

 こうした結果については聞いたことがあるので、それに比べると、この無宗ださんが引用したBNN365北海道によるアンケートの結果は、ずいぶんと偏っているなと思いました。

 無宗ださんが示しているURLを見てみました。
 おや、ページの下の方にこんな注意書きがありますね。

※このWebアンケートは統計手法に基づくものではありません。そのため、集計結果は必ずしも世論を反映した内容になるとは限りません。

 そのようですね。
 答えたい人だけが応募する単なるアンケートですから。調査ではない。
 こんなものが「民意」の名に値するわけがないでしょう。

 アンケートの質問も誘導的ですね。
 普通は「賛成」か「反対」かを問うものだと思いますが、「必要」か「不要」かを問うていますね。

 誰にとって「必要」なのか「不要」なのかは明示されていませんね。
 これでは、多数派であろう日本国民にとって「不要」であるという答えが導かれやすいでしょうね。
 仮に外国人参政権に賛成するとしても、「必要」か「不要」かと問われれば、「必要」とまでは言えないな……と考えてしまうのではないでしょうか。

 また、このアンケートは、毎週さまざまなテーマについて行われているようですが、最近の回答数を見ると、

1月18~24日 「小沢幹事長が"続投"、あなたの意見は?」 3014人

1月11~17日 「ゴン中山が札幌に入団、あなたが望むことは?」 107人

1月4~10日 「たばこ税が大幅値上げ、あなたはどうしますか?」 126人

12月28日~1月3日 「国債依存度が加速、消費の引き上げは必要ですか?」 144人

となっており、この

11月9~15日 「永住外国人の地方参政権は必要ですか?」 1万4280人

とは大幅に差があるのですが、これはどうしたことでしょう。

 組織票によるものではないのでしょうか。

 検索していたら、右派系の有力ブログである「博士の独り言」が昨年11月16日にこのアンケートを取り上げていました。
http://specialnotes.blog77.fc2.com/blog-entry-2891.html〔転載者註:現在はリンク切れ〕

「BNNプラス北海道365」の最新アンケート

 表題に参照する「BNNプラス北海道365」とは、「北海道にまつわるニュースを既存メディアとはひと味違った切り口で、即座にお伝えするニュース専門サイト」とのことだ。そのサイトが、「毎週新たなテーマを設け、読者のみなさんが参加する「365アンケート」を月曜日から1週間のサイクルで実施しています」と題する最新アンケートとして、「永住外国人の地方参政権は必要ですか?」と設置しておられる。云く、「今週の365アンケートは「永住外国人の地方参政権は必要ですか?」です。実施期間は11月9日から15日までの1週間です。ぜひ、ご参加ください」、と公示されているので、小稿の場を借りてみなさまに紹介し、意識ある方の投票をお願いする。

 設問は次の通りで、地方参政権の要・不要の回答には「自由記述」の理由を記すことができるので、ご意見、指摘すべき事柄などを記されるのも有意義かと思う。併せて、同アンケートの結果は、Web上での1つの発言力となるに違いない。


 こうした呼びかけに応じて、「不要」票が集中したと言えるのではないでしょうか。

 ちなみに、私は永住外国人への地方参政権付与に反対です。
 しかし、こんなアンケートの結果をもって

「民意は永住外国人の地方参政権付与に反対している」といっても構わない


などと述べる人の頭の程度を疑います。