トラッシュボックス

日々の思いをたまに綴るブログ。

野田首相の解散表明の報を聞いて

2012-11-15 01:13:01 | 現代日本政治
 昨日の朝日新聞朝刊1面の記事はこう報じていた。

民主、年内解散反対は「総意」
首相は踏み切る意向

 民主党常任幹事会は13日、年内の衆院解散について「総意として反対する」ことで一致し、輿石東幹事長が野田佳彦首相(党代表)に伝えた。首相は自公両党の要求を踏まえ年内解散に踏み切る意向だが、首相支持派からも反対論が噴出している。14日夜には政府・民主三役会議を開き、今後の対応を協議する。

 野田首相は13日の衆院予算委員会で「近いうちにと言った意味は重たいと自分も受け止めているので、近いうちに解散をするということだ」と明言した。

 だが、その直後の常任幹事会ではベテラン議員から年内解散への反対論が噴出。後見役の藤井裕久税調会長も「任期満了までいくべきだ」と主張。中山義活衆院議員は「自民党のために解散するのか。代表を代えて選挙するのが自民党にとっては一番嫌なのでは」と述べ、首相の退陣に踏み込んだ。

 海江田万里元経済産業相、荒井聰元国家戦略相、前田武志元国土交通相ら中間派のベテラン・中堅の有志も13日、国会内に集まり、解散反対を首相に申し入れることで一致。政権運営に批判的な議員グループが13日に開いた会合では、中川治衆院議員が「一日も早く飛び出して新しい政党をつくりたい」と述べるなど、解散を急ぐ首相への反発は急速に広がっている。

〔後略〕


 2面でも。

〔前略〕

 「いい条件で選挙を行うべきだ」。13日の民主党常任幹事会で赤松広隆元農林水産相がこう口火を切ると、菅直人前首相も「内閣不信任以外は解散しないのが本来の姿だ」。離党予備軍ではなく、この日はベテラン中心に約10人が年内解散に異論を唱えた。渡部恒三最高顧問も常幹後、「百人が百人、(解散反対の)同意見だ」と記者団に語った。

 首相から11日に年内解散の意向を伝えられた輿石東幹事長も13日の参院幹部会で「いま年内解散したら完全に政権を失うという認識が足りない」と指摘。13日夜の赤松氏のパーティーでも「どじょうは泥水でも生きていける。金魚が水槽から飛び出したら死んじゃう」とあいさつし、民主党議員が大量に落選することに強い懸念を示した。

 年内解散への反対は三権の長からも上がる。横路孝弘衆院議長は12日に与党衆院議院運営委員会メンバーとの懇談で「年内解散なら違憲」との紙を配布。そこには解散は一票の格差で「0増5減」の選挙制度改革法案の成立だけでなく、新たな区割り画定が必要と記されていた。「国民の憲法上の権利を回復したときから(解散の)カウントダウンが始まる」と、区割り画定前の解散に踏み切ろうとする首相を牽制した。

 首相が目指す衆院選での環太平洋経済連携協定(TPP)の争点化にも反発が拡大。超党派の「TPPを慎重に考える会」は13日、国会内で農業団体との意見交換会を急きょ開催。民主党議員十数人が参加し、山田正彦元農水相は「命がけで反対する仲間が半数を超えれば、交渉参加は阻止できる。党から6人以上の賛成者が出れば、内閣不信任案が通る」と首相に退陣を迫ることを示唆した。

 火の手は足元の閣内にも及ぶ。13日の閣僚懇談会で、早期解散に慎重な樽床伸二総務相が「新聞は解散一色になっている」と首相を牽制。小平忠正国家公安委員長もTPP争点化に「自民党を利するだけ。慎重に議論を尽くさないと禍根を残す」。ほかの閣僚からも発言が相次ぎ、首相は押し黙ったまま。20分近い議論を、閣僚の一人はあきれ顔で「まるで党内のケンカだ」と表現した。

〔後略〕


 ほとんど四面楚歌である。
(2面の記事に添えられた図では、民主党内でも前原国家戦略相、岡田副総理、枝野経産相は、野田首相とともに早期解散に前向きとされている)

 にもかかわらず、午後の党首討論での解散表明。

 すごいなあ。

 私はこういう政治家が好きだ。

 「重大な決意(決心?)」と口にしながら、金丸信の鶴の一声で解散を断念した海部俊樹の体たらく。


 選挙の顔を期待されて総裁に当選しながら、解散の機を失い、ずるずると任期満了近くまで引っ張ったあげく大敗した麻生太郎。

 少しでも「攻めの姿勢」で解散に持ち込もうとした野田の意欲を私は評価する。

 解散反対論者は、では仮に任期満了まで引っ張ったとして、民主党にどのような展望が開けるのか目算があるのか。
 どのみち、大量落選は避けられまい。
 輿石は「いま年内解散したら完全に政権を失う」と言うが、そうだろうか。参議院では過半数には満たないものの依然民主党・国民新党が第一会派である。自民党と公明党の合計はこれを上回るが、それでもやはり過半数には満たない。
 むしろ、任期満了まで引っ張った方が、かえって「完全に政権を失う」ことになるのではないか。

 小沢鋭仁が日本維新の会に加わるという。山田正彦らTPP反対派も離党するのかもしれない。それはそれで仕方あるまい。
 TPPは民主党がアドバンテージを持つ数少ない争点だ。これを利用しない手はない。
 選挙対策であることがあからさまな「第3極」への転身が、そう簡単に選挙民の理解を得られるとも思えない。

 ただ、「ねじれ」解消のためには、任期満了まで引っ張っての衆参ダブル選挙が望ましかったとは思うが、情勢がそれを許さない以上、やむを得まい。

 民主党は大敗するだろう。しかし自民・公明が過半数を得られるとは限らない。仮に得られたとしても、参議院では半数に満たないのだから、いずれかと連携せざるを得ない。
 その場合、解散の経緯からいって、相手は民主党となるのではないだろうか。

 大連立ができるかどうかは別としても、とりあえず来年の参院選までは、民自公3党を中心とした体制で、定数是正をはじめとした、協力し得る懸案の解決に邁進していただきたいものだ。

「石原新党」の始動に思う

2012-11-14 08:21:00 | 現代日本政治
 新党の立ち上げが迫ったと聞いて、こんなことを思った。

 党名はどうするんだろう?
 「保守党」とか「国民党」のようなシンプルでわかりやすいのがいいなあ。
 まあ、クラシックなこの2つが実現することはまずないだろうが、少なくとも、口にすることが恥ずかしくない、すっきりした名前にしてもらいたいものだ。
 みんなの党、たちあがれ日本、新党きづな、国民の生活が第一……およそ政党らしからぬふざけた名称にはもううんざりだ。

 ところが、昨日の記者会見で発表されたのは、「太陽の党」。
 事前に、石原の代表作『太陽の季節』にちなんだとの報道もあったが、石原はこれを明言せず、「閉塞する日本を再び太陽の昇る国にしたい」と説明したという。
 しかし、発案者だと石原が言う園田博之衆院議員は「『太陽の季節』も頭にあった」と述べているという。

新党名は「太陽の季節」から=太陽の党

 「『太陽の季節』も頭にあった」。石原慎太郎前東京都知事の新党結党に参加した園田博之衆院議員は13日夜のBSフジの番組で、新党名「太陽の党」が石原氏の芥川賞受賞作「太陽の季節」にちなんだものであることを明らかにした。
 園田氏は命名の理由について、小説のタイトルに加え、「とにかく明るくという思い。それに衆院選に突入するとしたら、簡単でどんな人でも覚えやすい名前がいい」と説明した。石原氏によると、新党名を発案したのは石原氏自身ではなく、園田氏だという。 (2012/11/13-21:58)


 世代的にズレているので、『太陽の季節』は聞いたことはあるが読んだことはない。私は文藝に関心がないので、読んでみたいとも思わない。
 私はむしろ、1996年に新進党を離党した羽田孜元首相らが結成した「太陽党」を思い出した。
 1年余りで民主党(新)の結成に加わった短命政党であったことを思うと、あまりいいイメージは湧かない。

 太陽と言えば日の丸にも通じるし、皇室の祖である天照大神も太陽神だ。
 たしかに「簡単でどんな人でも覚えやすい名前」ではあるし、保守政党としてはまあまあ上出来のネーミングなのだろうか。

 もっとも、第3極の結集を掲げる石原にとって、この新党も所詮過渡的なものなのだろう。
 記者会見でも「太陽の党は一過性にすぎない。必ず衆院選前に大同団結する。(新党は)消えたってかまわない」と述べたそうだから、そんな新党の党名を云々してもせんなきことかもしれない。

 それでも、「太陽の党」では具体的に何のイメージも湧かないという違和感は残る。
 党名はその党の政策やスタンスを象徴するものであってほしいと考えるのは、もはや時代錯誤なのだろうか。

 発表された新党の綱領の要旨には、

太陽の党綱領(要旨)

・日本の歴史、伝統・文化を尊び、自由で繁栄した国際社会を築き、わが国の独立と平和、国民の生命と財産を守るため、自主憲法を制定する

・東日本大震災への対応を反省し、危機管理体制を立て直す。機能する2院制を担保する選挙制度の抜本的改革を通じて政治に強い統治能力を取り戻す

・内外の多様な危機を見据え、わが国の発言力と防衛力を倍増させる

・大規模な財政出動による被災地復興などを柱に徹底して内需の発掘と雇用の拡大を図る。デフレ克服と成長力強化により豊かさを実感できる経済社会を実現する

・優れた環境技術輸出を背景に、地球環境や水・資源問題の国際的取り組みを主導する

・農林水産業による活力ある地域振興を図る

・現行の社会保障制度を改革し、安定した財源と雇用を軸とした持続可能な医療・保育・介護・年金制度を構築する。「中福祉-中負担」のもと活力ある安心社会を実現する


とあるが、これはいったい自民党の主張とどう違うのか、理解に苦しむ。
 少なくとも、石原が大同団結を目論んでいる日本維新の会やみんなの党よりは、自民党の方がはるかに近いのではないか。

 石原は昨日の記者会見でこう述べたという(太字は引用者による)。

必ず大同団結で新しい関ケ原の戦いに勝つ。自民党、公明党がこのまま過半数を取るのは許せない。雨後の竹の子みたいに群生している小さな政党でも、志が同じなら、団結すべきだ。民主党、自民党、公明党を含めた既存の大政党に対抗し、新旧の戦いを挑む。


 しかし、新旧というなら、新党の面々はむしろ「旧」の側に属するのではないか。

-第三極でどう連携するか。
 石原氏 野合だと言う人がいるが、自民党だって民主党だって、野合と言えば野合だ。それが政党というものだ。(日本維新の会などとの)衆院選候補者のすり合わせは着々とやっている。



 たしかに、自民党も民主党も野合だった(拙記事「自民党に背骨はあったか」参照)。自民党は、議会主義に立ち、資本主義体制を維持し、社会主義革命を防ぐための野合。民主党は、その自民党の永続的な政権に反発し、政権交代を成し遂げるための野合。
 「それが政党というものだ」と私も思う。共産党のような強固なイデオロギー政党、公明党のような宗教団体を基盤とする政党を除き、さまざまな勢力、見解を内包するのが普通の政党だろう。
 だがそれにしても、政策面で自民党と民主党はそれぞれあまりに幅がありすぎて、両党の差異が不明確になっていると思う。

 しかし、では石原は、第3の野合勢力を築き上げようとしているにすぎないのだろうか。
 野合勢力が3つに増えて、それで何がどうなるのだろうか。「決められない政治」を変えられるのだろうか。
 民主党の迷走の主因は、よく言われるように彼らが反・自民の野合だからだろう。それが新たな野合勢力にとって代わったとしても、また同じことが繰り返されるおそれはないか。

 そんなことを考えていたら、自民党の石破茂幹事長が記者会見でこう語ったとの記事を見た。

「政策の深化・純化、新党に必要」会見で石破自民幹事長

 ■石破茂・自民党幹事長 「太陽の党」はたちあがれ日本がベースなわけで、たちあがれ日本は小政党ながらも、それぞれ自民党のベテラン議員たちによって作られた政党だ。政策的に近似する部分も多く、私は新党がその政策を、いつも使うフレーズだが深化・純化させることが、これから先の政治の発展のために必要なことだ。

 小異を捨てて大同につくという、よくわからない言葉を使って、政策の深化・純化を妨げることは、かえって政治の混乱を招く。その新党が、一つのピュアな政策を出すことで、政治全体を良くしていくというような、そういう使命を持った党であっていただきたい。小異を捨てて大同につくという言葉のもとに、政策が異なるところと組むのは、日本政治のため決して良いことではない。深化・純化させた政策に賛同する方を呼び集めるというか、そういう政党であってほしい。(記者会見で)


 石破は幹事長就任以前からこうした主張をしていたと思うが、私もこの見解を支持する。
 石原が目指すべきは、党利党略の産物である第3極の大同団結などではなく、彼の本来の立ち位置である保守勢力の結集ではないだろうか。
 それが、「保守-リベラル」「中央集権-地域主権」といった、新たな対立軸による政界再編のきっかけとなり得るかもしれない。



 関係ありませんが、私はここ↑が大好きです。

「中道」騒ぎに思う

2012-11-13 08:31:06 | 現代日本政治
 7日の朝日新聞夕刊の記事。

民主「中道」路線 安倍総裁が批判

 自民党の安倍晋三総裁は7日朝、東京都内で講演し、次期衆院選で「中道」路線を打ち出す方針の民主党について、「自分の信念、哲学、政策もない人たちのことを中道の政治家という。堕落した精神、ひたすら大衆に迎合しようという醜い姿がそこにある」と批判した。
 臨時国会の代表質問で仙谷由人元官房長官が「民主党は民主中道。首相にはど真ん中の中道を突き進んでほしい」と述べたことを受けた発言。〔後略〕


 これに対して仙谷は公開討論を求める申入書を内容証明で安倍に郵送。すると安倍はフェイスブック(以下FB)に申入書を写真付きで公開し、仙谷にコメントを書き込むよう求め、自分もコメントすると述べたという。

 FBのアカウントを持っていない人も多いのだから、公開討論にはならないのではないか。
 それに、FBは言わばホーム。お互いがアウェイでないと、対等とは言い難いのではないか。
 相手にする気がないのなら、ただそう言えばいい。
 わざわざ自分の土俵でないと勝負しないなんて、器の小さいことを言わない方がいい。

 この「中道」批判の内容自体もよくわからない。
 菅内閣発足直後の「陰湿な左翼政権」という批判もそうだが(これも機会があればいずれ取り上げたい)、この人は時々、批判したいという思いが先行してか、妙なことを言う。

 「中道」それ自体を何としてでも批判しようとすれば、確かにこうした表現になるだろう。保守政党たる自民党の面目躍如と言えるだろう。
 しかし、では「自分の信念、哲学、政策」があればいいのか。
 例えば、共産党は社民党より「自分の信念、哲学、政策」がより強固なのだろう。だから社民党は「自分の信念」を曲げて自民党や民主党と連立し得たのに対し、共産党は議会進出以来万年野党である。それは、精神が「堕落」しておらず、「ひたすら大衆に迎合しよう」などと考えていないからだろう。
 だが、それは何か評価すべきことなのだろうか。
 安倍は、仮に次期衆院選で過半数にわずかに満たない場合の連立相手に、社民党よりも共産党を選ぶのだろうか。

 それに、立ち位置によって「中道」の中身は容易に変化する。
 一口に保守と言っても、さまざまなスタンスがある。
 いわゆる極右から見れば、安倍もまた「中道」となるのではないか。「堕落した精神、ひたすら大衆に迎合しようという醜い姿」と言われかねないのではないか。

 実際、共産党の志位和夫委員長は、「言葉で中道といっても民主党は立派な保守、右翼政党だ」と述べたという。
 こんな曖昧な用語に対する批判に、さしたる意味があるとは思えない。
 ためにする批判というやつではないか。

 また、自民党は果たして、それほど明確な保守政党だったのだろうか。
 以前にも書いたが、結党時の自民党の綱領や「党の性格」「党の使命」「党の政綱」といった党の基本文書のどこにも「保守」の文字はない。綱領では「個人の創意と企業の自由を基底とする経済の総合計画を策定実施し、民生の安定と福祉国家の完成を期する」とし、「党の性格」では、「わが党は、進歩的政党である。」と自己規定している。
 麻生内閣で、与謝野馨経済財政担当相は「自民党は実は社会民主主義の政党だと思っている」と答弁した。
 一昨年の平成22年綱領でようやく「保守」の文字が登場するが、そこでも「我が党は常に進歩を目指す保守政党である」とされている。
 「進歩を目指す保守政党」とは形容矛盾であろう。煎じ詰めれば「中道」と何が違うのだろうか。

 もっとも、民主党が今「中道」を唱えるのも、よくわからない。
 民主党との対抗上、自民党が保守色を強め、安倍総裁の誕生となった。また、やはり保守系と見られる石原新党や橋下維新の会の動きもある。それらとの違いを鮮明化するために「中道」の語を持ち出したと解説されている。
 しかし、「中道」とは元々、55年体制の下で、公明党や民社党を指して用いられた言葉だ。
 自民党による資本主義体制の堅持にも、社会党や共産党による社会主義革命にも与しない、第3勢力を指した用語だ。
 しかし、共産党も、社会党の後身である社民党も、既に社会主義革命を実行する力量も意欲も持ち合わせてはいない。
 左右の一方が凋落した今、「中道」の語に何の意味があるのだろうか。

 8日付朝日新聞朝刊は、民主党内の綱領をめぐる議論を次のように伝えている。

「中道」議論 民主、難航の様相
党綱領策定へ、会合

 民主党は7日、党綱領の議論を本格的に始めた。党執行部が自民党や第三極との対立軸として打ち出そうとしている「中道」を明記するかをめぐり、議論が噴出。〔中略〕今年8月に執行部が示した原案をもとに議論した。1998年の結党時につくった「私たちの基本理念」という文書にあった「中道」の文言は原案から消えたため、五十嵐文彦・前財務副大臣は「民主中道の民主は市民中心の政治。中道は穏健リベラルをさすことで、民主党独自の言葉で愛着がある」と主張。宮崎岳志衆院議員は「どういう国を目指すのか明確に分かるワードは残すべきだ」と、「中道」の明記を求めた。


 「民主」は自民党、社民党も党名に用いているから、民主党独自とは言い難い。
 リベラルを主張したいのなら、「保守」と「リベラル」の対立軸を打ち出すべきで、「中道」などという曖昧な言葉に今さらすがる必要はないのでは。
 しかし、

 一方、「綱領に中道リベラルと書いた瞬間に選挙で戦えない」と懸念する意見も出た。鹿野道彦副代表は「右や左や真ん中ではなく国民を守るのが政治の要諦だ」と異論を唱えた。(岡村夏樹)


といった声が出るのは当然だろうし、私はこちらの見方に同意する。
 使い古された右派・中道・左派ではなく、新たな対立軸で国民に信を問うてほしい。

 ところで、元祖中道である公明党は次のように語ったという。

民主党の中道は「ご都合主義」 公明・井上幹事長
2012年11月9日(金)16:43

 公明党の井上義久幹事長は9日の記者会見で「中道主義をうたった唯一の政党は公明党だ。民主党は選挙対策の意味合いが強くご都合主義だ」と批判した。自民党の安倍晋三総裁と民主党の仙谷由人副代表の「中道論争」に、党綱領で中道主義を掲げる公明党が名乗りを上げた。

 民主党執行部は自民党や第三極との対立軸として「中道」を打ち出す方針。安倍氏が「堕落した精神、ひたすら大衆に迎合しようとする醜い姿」と批判し、仙谷氏が安倍氏に公開討論を求めている。

 井上氏は「信念、哲学、政策もない人たちのことを中道の政治家という」と語った安倍氏については「選挙対策として民主党が中道と言っているのなら、そういう批判は当たる」と述べ、自民党との関係に配慮して批判は避けた。


「中道の元祖は公明だ」…民主公約づくりを批判
2012年11月10日(土)09:00

 公明党の井上幹事長は9日の記者会見で、民主党が衆院選の政権公約(マニフェスト)で「中道路線」の盛り込みを検討していることに関し、「綱領で『中道主義』をうたっているのは公明党だ。民主党は(石原慎太郎前東京都知事がつくる)『石原新党』をきっかけとした右傾化に対する差別化として、突然言い始めた。選挙対策の意味合いが非常に強い」と批判した。

 公明党は1994年に策定した党綱領で、「いかなる主義・主張であれ、機構や制度、科学や経済であれ、すべて人間に奉仕すベきだ。これが〈生命・生活・生存〉を柱とする公明党の人間主義=中道主義の本質だ」と掲げており、元祖は公明党だと強調したかったようだ。

 民主党は、98年の基本理念で「民主中道」を掲げている。細野政調会長は、この路線に着目して、次期衆院選の公約づくりにあたることを検討している。ただ、野田首相は8日夜、首相公邸で、各府省の政務官と会食した際、「『中道を使え』と言われるが、私は使いたくないんだ」と漏らしたという。


 民主党は批判できても安倍は批判し得ないのは「ご都合主義」以外の何物でもない。まさに「堕落した精神」、大衆ではなく自民党に「迎合しようという醜い姿」と言えよう。

 検索したら、件の仙谷の申入書が掲載されている安倍のFBのフォトアルバムが見つかった。
 これはアカウントがなくても読めるのか。

 コメントが現在1650。多くが安倍支持。こんなところでどうやって討論ができようか。

 写真に添えられている安倍の文に暗然とした(太字は引用者による)。

先般、フェイスブックに載せた私の「政治家としての『中道』とは何か」という考えに対して、仙谷由人議員から内容証明郵便で申し入れ書が届きました。
内容証明郵便での厳重な配達だったので最初は、またどこかの左翼弁護士からかな(笑)?と思いましたが、いまや中道の仙谷大先生でありました。

〔中略〕

お申し込み頂いたのに、大変申し訳ないのですが、私は自由民主党総裁として民主党の党首である野田総理と来週党首討論を行いますが、パフォーマンス目当ての議員(仙谷さんは違うと思いますが(^O^) 因みに野田総理、安住幹事長代理、細野政調会長、岡田副総理の名前を挙げましたが、仙谷議員の事にはまったく触れていません。その事が淋しかったのでしょうか(^_^;))達から注目を集めたいと申込まれた場合、いちいち公開討論を行う余裕は有りません。

近いうちに解散総選挙の陣頭指揮を執らなければならない私といたしましては、残念ながらその為に時間を費やすことはできません。
〔後略〕


 笑えない。

 この文が実際に安倍本人の手によるものか、それともスタッフによるものかは問題ではない。「安倍晋三」名義である以上、それは安倍サイドが安倍によるものとして発信したことに変わりはない。
 この子供じみた文が、半世紀にわたってわが国政を担い、今また政権奪還を図る、巨大政党の総裁のものだというのか。

 自民党の再生は未だ遠いようである。