トラッシュボックス

日々の思いをたまに綴るブログ。

冨田メモについて

2006-07-25 23:51:33 | マスコミ
次期首相の靖国参拝、反対60% 本社世論調査 (朝日新聞) - goo ニュース
先に、このメモの報道については産経より朝日を支持すると書いたが、しかし、こうした世論調査も何とも嫌らしいというか、朝日的というか・・・
朝日が世論調査の数字にさほど意味を認めていないのは、小泉内閣や自民党の支持率と朝日の社説や報道ぶりを比較してもわかるのだが、自分の思い通りの結果が出たときには「これが国民の声だ!」とばかりに大々的に報道するのな。安部官房長官の冷静なコメントが救いだ。

昭和天皇の靖国「不快感」問題について

2006-07-25 00:22:02 | 日本近現代史
たまたまこの問題が報道された翌日である21日付けの『産経新聞』の朝刊を読む機会があったが、「正論」欄の上坂冬子も含め、苦し紛れの弁明に終始しているといった感じで、保守論壇の混迷ぶりを改めて感じさせられた。
松岡、白鳥の名が挙げられていることについて、天皇は彼ら枢軸側に与した外交官に不快感を持っていたのであって、必ずしもA級戦犯全般に対して不快感を持っていたわけではないと言うのだが、メモの文中、「A級が合祀され、その上、松岡、白取までもが」と「その上」とあるのだから、やはりA級全般に不快感を抱いていたと考えるのが自然ではないか。
『昭和天皇独白録』で松岡は酷評されているが東條英機は高く評価されているとも言うが、敗戦直後の時期と、その後30年以上たってからでは、人物評価に違いが出てくるのも当然ではないだろうか。ましてや、ことは人物論ではなく、靖国へのA級戦犯合祀の話なのだから、人物を高く評価していることと、A級戦犯の靖国合祀を認めることは別問題だろう。
昭和天皇は批判したくないが昭和天皇の靖国批判も認めたくない、そんな一部保守派による珍妙な記事だった。このメモの報道だけに限れば、私は産経より朝日を支持する。
なお、私は、戦勝国に敗戦国の指導者を死刑にする権利はないと考えており、その意味で死刑になったA級戦犯は戦死者と同列だと思うので、彼らの靖国合祀には賛成していた。しかし、松岡洋右のように、公判中に病死した者までが合祀されているということを知ったのは最近のことだ。彼のような者までをも合祀すべきだとは思えない。それは、大東亜戦争の全肯定であり、靖国の価値を貶めるものだ。
また、よく東京裁判の不当性を訴えるのに用いられる人物に、文官で唯一死刑になった広田弘毅が挙げられるが、彼の死刑も本当に不当と言うべきものなのか、改めて検証する必要があると思われる。彼を描いた小説に城山三郎の『落日燃ゆ』があり、それによるとまるで反戦政治家だが、果たしてそうだったのか。広田の登場は軍部も支持しており、基本的には右寄りの親軍派外交官ではなかったのか。

ある意味、『買ってはいけない』より悪質? 安部司『食品の裏側』

2006-07-20 23:51:50 | その他の本・雑誌の感想
安部司『食品の裏側』東洋経済新報社、2005.11
 書店で大きく取り上げられているのを見て購入。昨年秋の刊行だが、長期にわたって売れているようだ。かつて食品添加物の商社に勤めていたという著者による、添加物の使用の実態の内部告発的な本。
 知っている話もあったが、たらこやコーヒーフレッシュのことなど初めて聞く話もあり、それなりに役に立った。
 ただ、著者のスタンスには疑問も覚える。
 ひとつは、これまでさんざん添加物の使用を推奨しておきながら、転向して反添加物の伝道師?のような立場になっているという点。講演をしているというが、それって当然お金取るんですよね。添加物で稼いで、反添加物でまた儲けると。結構なことで。クズ肉の再利用的な食品であるミートボールを自分の子供が食べようとするのを見て、添加物の危険性に目覚めたとか言うんだけど、うさんくさい。動機はもっと別の所にあるのでは。
 ついでにミートボールについて言うと、たしかにクズ肉の再利用なのかもしれないが、それで腹をこわすわけでなし、体に悪いと立証されているわけでもなし、昨今はやりの「リサイクル」という点から言えば、むしろいいことなのではないでしょうか。本書を読んでミートボールを食べる気がしなくなったとか言っている人は、ナーバスに過ぎるのではないか。
 ふたつめは、かつてベストセラーになった『買ってはいけない』のような、とにかく添加物を危険視する見方には与しない、添加物それ自体が必ずしも悪なのではないと主張しているのだが、では結局どうすればいいのかが、全く読み取れない点。添加物の名前を覚える必要はない、台所にないものは避けるべきだと言うのだが、保存料や香料や酸味料だのが台所にあるわけもなし、そんなことを言っていたら加工食品は一切食べられなくなってしまうのでは。それならば、どの商品がどういけないのかを具体的に説明しようとした『買ってはいけない』の方がまだしも誠実な態度だと言える(もっとも、その手法に問題があり、また内容的にも事実誤認が多々あったわけだが)。そのくせ、巻末には添加物の危険度別分類表が付いている。全くもって矛盾している。ミートボールの話などで読者の気持ち悪さ、不快感に訴える手法で不安をあおるが、添加物の具体的な危険性には明らかにされず(添加物が複合することによる影響は予測できないとか、舌が壊れるとか、やたらと不安はあおるものの)、また一方で添加物は悪くないともいう(長年世話になった添加物業界への義理立て?)。ある意味、『買ってはいけない』より悪質とさえ思える。
 複合による効果が予測できないというのは、何も添加物に限った話ではない。食物自体についてもそうだろう。添加物の中でも、自然に存在しないものは避けるべきというが、これも理解不能。自然のものでも毒は毒だし、人工のものだからといって悪影響があるとは限らないだろう。加工食品がどのように作られているのかについて、知っておいて損はないと思うが、それと体への危険性は別問題だと思う。

暴論ですかねえ。

2006-07-19 20:40:34 | 現代日本政治
「むちゃくちゃな暴論」 敵基地攻撃で小沢代表 (共同通信) - goo ニュース
暴論ですかねえ。
「今すぐ北朝鮮に攻撃せよ」とか「(実験かどうかにかかわらず)ミサイルを発射する形跡があれば即先制攻撃せよ」とでもいうのなら暴論ともいえようが、単に敵基地攻撃能力を検討するというのがなぜ暴論なのか。小泉政権の終焉が迫っているとはいえ、野党は、火のないところに煙をたてて、無理矢理攻撃材料にしているのではないか。
仮に北朝鮮が日本に宣戦を布告して、そしてミサイルの発射準備をしていることが判明したとする。それでも日本は北朝鮮のミサイル基地を攻撃することはできないのか。ミサイルの被害を受けることがわかっていながら座して待つしかないのか。被害が発生してからの反撃しか日本には許されないのか。国民感情がそれを許すと思うのか。専守防衛という概念を何か勘違いしている政治家が多いのではないか。
もっとも、今回異議を唱えている政治家は、要するに反小泉勢力で、彼らにとっては安全保障問題も政争の具でしかないのだろう。しかし、同じ民主党でも鳩山由紀夫などには敵基地攻撃論を容認する見解もあるという。小沢も鳩山も、見飽きた顔である上、共に自民党と連立した過去があり、今さらトップに出てきてほしくなかった人物だが、鳩山の方がまだしも見識があるらしい。少し見直した。

韓国映画「韓半島」

2006-07-18 21:37:36 | 韓国・北朝鮮
「抗日」描く映画が首位 韓国、愛国心強調と批判も (共同通信) - goo ニュース
記事で挙げられていた、朝鮮日報のサイトも見てみた。
何というか・・・今の韓国にとって、日本は「仮想敵国」と言ってもいい存在なのだなあと気付かされる。それも、心の底から本気でそう信じているわけではないが、表面的には、日本を批判したいという気持ちが先走るというか、そう言っておかないと格好がつかないというか、うまく説明しづらいが。ちょうど、日本では60年安保闘争や、その後のベトナム反戦運動に見られたような対米感情のような。いわば、思春期の男子が親や教師にやたらと反発するような、「甘え」である。
現代の日本が韓国-北朝鮮間の鉄道の所有権を主張することなどありえないのに、あえてそのような想定をして、日本を敵視し、北朝鮮との関係を深めたいというのは理解しがたい。
朝鮮日報のように、こうした動きを批判するメディアもあるというのは救いだが、どうも昨今の情勢を見ていると、少数派に留まるのだろうと思われる。
韓国は、日本や米国と同様に、自由と民主主義を奉じる、昔で言うところの「西側」の国だと思っていたが、どうもそうではなくなりつつあるらしい。行く先が危ぶまれてならない。

山口定『ファシズム』岩波書店(岩波現代文庫)、2006.3

2006-07-15 19:02:10 | その他の本・雑誌の感想
 以前有斐閣から出ていたものの増補新版。旧版は79年刊とやや古いが、以前から読んでみたかったのでいい機会だと思い購入した。著者は政治学者で、思想、運動、体制の三側面からファシズムを分析する。もちろんファシズムを鼓吹する本ではない。
 特に印象に残ったのが、日本の「体制としてのファシズム」について、ドイツ、イタリアとの差異に触れながらも、日本においてもファシズム体制が成立していたとする点。
 私は以前、戦前から戦中期の日本は、ムッソリーニやヒトラーのような指導者も、ファシスタ党やナチ党のような政党もなく(東條英機や大政翼賛会はそれらと全く異なる)、軍部、特に陸軍がなし崩し的に主導権を握った独自の体制で、ファシズムというのは当たらず、単に「軍国主義」と呼ぶべきで、「日本型ファシズム」という呼称を嫌っていた。
 しかし、本書を読んで考えを改めた。
 たしかに独伊との相違点は多いが、共通点もまた多い。当時の日本の指導層がある程度ファシズムに影響され、そのような国家建設を志向していたこともまた事実であろう。
 さらに、日本はドイツ、イタリアと同盟を結び、ファシズム陣営の一員として、英米仏蘭と対立した。「自由主義」という言葉は排撃の対象だった。
 昨今、左翼の凋落にしたがって、日本は植民地解放戦争を戦ったなどと戦時のプロパガンダを真に受けたような主張が普通に見られるようになってきたが、日本は独伊側についたこと、対米英蘭戦も自力で勝つ見通しはなくドイツの勝利を当てにしたものだったということを忘れてはならないと思う。
 そんなわけで、「日本型ファシズム」という呼称についても、私は積極的に使おうとは思わないが、さして抵抗はなくなった。