トラッシュボックス

日々の思いをたまに綴るブログ。

秋本治『超こち亀』(集英社、2006)

2006-12-01 23:16:02 | マンガ・アニメ・特撮
 「著者 秋本治」となっているが、「こち亀」30周年記念の豪華本。
 地元の書店の店頭で目について、別にそれほどファンでもないのだが、つい買ってしまった。ちなみに私はアニメは見たことがない。
 30年に及ぶ歴史の紹介のほか、他のマンガ家による1頁「こち亀」や、秋本と他のマンガ家との合作、ジャンプ出身マンガ家ほか著名人と秋本との対談、秋本のロングインタビュー、CD-ROMデータベースなどで構成。読んでいて楽しい。Amazonの評価が非常に高いのもうなずける。9月に発売されたのだが、未だに売れ続けているようだ。
 印象深かったのが、ロングインタビューで秋本が次のように述べている点。
「ジャンプ自体は絶えず変化していて、(中略)今のジャンプだと絵が上手でかわいいキャラも多くて、その中での『こち亀』の絵に対する違和感は常に意識していて、かわいい子を入れよう、線を細くしよう、と思ったりもしますね。(中略)決して意固地に自分のやりたいのをやるんじゃなく全体を通してみて、『こち亀』だけ異様にならないようにもやってますね。そこはジャンプと足並みを揃えて、スタイルを合わせていきたいとも思ってます。」(p.315)
 なるほどなあ。
 どんなマンガでも、連載が長期になるにつれ絵柄が変わっていくものだが、私はバカだから、ああいうのは自然に変化していくものだとばかり思っていた。しかし、このように戦略として変化させていく場合もあるのだなあ。このへんの配慮も長寿マンガの秘訣なのかな。
 「こち亀」については、昔の、劇画であることにこだわっていたころの絵柄が好きだった。しかしそれは、昔からの読者であるからそう思うので、現役読者の主力である現在の少年層にはまた別の好みがあるのだろうし、それに合わせていくのは当然だろう。
 15周年くらいのころから少年マンガを読むこともほとんどなくなり、この作品とも遠ざかっていたのだが、いろいろ設定も変わっているというし、その後の作品もちょっと読んでみようかなという気持ちにさせられた。