外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

FOMC発表を含んだデータ、結果的には不透明感から手仕舞いか様子見主体-IMM分析活字版

2014-07-01 14:58:41 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析をお送りします。
今回使用する最新データは、6月24日のIMM市場が終了した時点のものです。

前回データからここまでのドル円相場は、前週に102円台後半から101円台後半へ下落し安値圏で揉み合う展開で迎えた訳ですが、今回はこの下値揉み合いを、保合い気味に継続するに留まりました。

金融引き締めに対してFOMCの強気な結論も期待されていた中、結果は目新しい材料も無かったため、各相場は方向感を出し切れなかった印象ですが、FOMCを経過したポジションにどんな変化があったのか、…早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>

折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、2週連続して若干下落し、ドルの買い越しは、71,223コントラクトと、前回から僅かにドル買い越しが増えていました。

ここだけのデータからは、依然として混迷状態にある円相場ですが、押し目買いが優勢だったとの推測が成り立ちます。では、追って詳細を見て参りましょう。

<各通貨別ネット残高推移>

次に、各通貨のネット残高のグラフです。このグラフを見ても、ポジションに大きな変化はなかったことが判ります。

強いて言えばカナダの売り越しが、気付いてみると概ねスクエアに近い水準まで縮んでいます。その結果、明確かつ大きく売り越されている通貨は、円とユーロに限られてきました。

このデータから、各通貨共に動きは乏しかったことは概ね正しいとは思いますが、念のため詳細を見てみましょう。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>

こちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

今回のデータは一番色が濃いバーが相当しますが、先ほど指摘したように、カナダの買い越しが目立っています。その他は動きが全く無かった通貨と、前週の方向と反対側に少額が取引されている通貨に分かれており、様子見となったか、或いは僅かに調整が入った程度だったことが判ります。

円のブレークダウンは、ロング・ショート共に出来高を減らしており、前週円買いへシフトした流れを継続できず、手仕舞い中心の一週間だったことが判ります。円買いの手仕舞いが思ったより大きく入ったことで、ブルべアのブルの割合は再び11%にまで縮小しています。

円に並ぶ売り越し通貨のユーロは、ブレークダウンを見ても殆ど動意が無かったことが判ります。動きとしてしてはユーロ買いに傾き調整がやや優勢ですが、ロングショート併せても5000コントラクトにも満たない変動は最近では目づらしい状況かもしれません。ブルベアには影響はなく、7対3でベアが優勢な状況を維持しています。

ポンドのブレークダウンも、殆ど動意が無かったと言って良いでしょう。若干売りへと傾斜していますが、グロスでも3000コントラクト未満と、僅かな調整の範囲です。ブルベアにも変化はなく、御覧のような状態を継続しています。

前回突如として売り越しが急増したNZドルのブレークダウンは、ロングショート共に規模を拡大しており、売り越す動きは一過性ではなかったことが証明されました。ロングの増加は追加利上げも視野に入る高金利通貨であることは納得できますが、ショートが増加する根拠は依然として不透明感が残ります。

最後にカナダドルを見てみましょう。
前回市場規模を拡大させたカナダは、今回買い越し側へ明確にシフトしています。売り越しの減少は、どうやら手仕舞いだけではなく、買い越しを視野にいれた動きに見えます。ドル金利の上昇思惑が後退し、売り戻されたことは想像できますが、買い越しを目指した動きは、中東問題が緊迫した中、資源高に沿った動きだったのかもしれません。

<総括と考察>

さて、前回楽しみにしたFOMC結果を含んだデータは、ある程度の失望感を伴ってか、調整主体という結果でした。欧米の半期末、日本の第一四半期末ということも要因の一つだったかもしれません。

ただ、NZDの売り越しが一過性ではなかったことが今回判明し、悩みは尽きません。前回、RBNZの利上げスタンスは通貨防衛的な側面を懸念してみた訳ですが、表現は極端だったとしても、各国の金利政策は基軸通貨であるドルの金利との距離感を重視する側面は否定できません。

だとすると、ドルの金利先高観が暫く後退した中で、RBNの追加利上げに対するスタンスも和らぐと仮定した場合、それを織り込んで買われているNZDは一時的な売り圧力に晒されるリスクは考えられます。

私としては、ドル金利の上昇は暫く無いと仮定し、低金利通貨に対しては金利差拡大は無く、金利先高観が強い通貨に対しては、先高観が後退しない限り、金利差縮小は無いという立場で相場をウオッチしてみたいと考えています。

となると、今週末に発表予定のアメリカ雇用統計は改善でもドルは戻り売り、悪化であれはドル売り急伸というシナリオを基本に、円やユーロ、ポンドなどのメジャー通貨はドル売り継続、産業基盤が弱いNZDやAUD、ペソなどの新興国を含めた高金利通貨は、雇用統計改善なら上昇後横ばい、悪化ならドル買い調整に入るというざっくりしたストーリーを想定しています。




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