外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

今の為替取引環境に思うこと

2013-01-10 22:25:10 | ☆外国為替を読む

よく相場は、上がるか下がるか確率は2分の一だと言う話を聞く。

ある意味で正しいのかもしれないが、相場が如何に勝率が高いゲームだと言わんばかりのフレーズにも聞こえる。もしこれが事実なら、相場をやり続ければ大損はしない代わりに、大勝もしない代物だということになる。余程のことが無い限り、2人で数多くのジャンケンをすれば大体の勝率は五分五分に落ち着くのと同じだ。

私が外国為替取引の仲介業務に就いた1985年のドル円相場は、1ドル200円以上だった。例えば200円で取引したとして、2013年の今が88円だとすると、ドルを売っていれば1ドルにつき112円の含み益、買っていれば同額の含み損となり、僅か10000ドルを取引しても、112万円の損益の違いになってくる。確かに両方を観れば確率は2分の一ではあるが、実際はゼロサムだ。なぜなら実際に取引する自分はどちらか一方だからだ。

ここで幾つかの共通認識が必要になりそうだ。

上の例では28年間、たった一度の取引を継続した場合の話だ。ドル売りを維持してさえいれば収益が増える状況の中で、28年間持ち続けることは可能だったかもしれない。しかし、損失がどんどん増える側では、少なくとも今現在112万円の損失を埋められる資金が無ければそもそも維持することすら成り立たない話だ。
最初から例えば資金が10万円だけでドル買いをした場合、今となっては確かに負けは負けだが、112万円という損失を抱えることもまた不可能な訳だ。1ドル190円の時に気を取り直してドルを売りさえしていれば、含み益こそ102万円だが、正に勝率は1勝1負の2分の一になり、結果はトントン以上のものになっている。一回だけでは例えジャンケンでもゼロサムだ。

この話は奥が深く、またいつか詳しく考察してみたい。

ところで、先ほど1985年の入社時期の話を出したが、新人研修の時、9時50分ごろになると数日間だけだったが必ず現場のスポットデスクに見学に連れて行かれた。スポットデスクとは、為替相場が大きく動くと今でもたまにテレビニュースの背景になる、良く解からない何かの紙を飛ばし合っている台、正しくそれがスポットデスクだ。

その場で暫く仕事の様子を観察したあと、当時のトレーナーの方から、必ず当日の仲値(なかね)当てクイズが出された。そのトレーナーはことごとく相場の方向を当て、価格までをも殆ど言い当てたのであった。確率は2分の1どころか全勝だった。

今考えれば予想が当たるカラクリがあった訳だが、このクイズの裏には、例え数分先でも相場が上がるか下がるか常に興味を持つことで何かを学び、そして結果としての自分の考えを表現することの重要性を教える目的があったのだと、今でも思っている。

人は何をするにも、最初は誰もが初心者だ。だが、人は学びながら経験を積むことで成長し成功する可能性を持っている動物だと確信している。

為替初心者の皆様に申し上げたいのは、どうせ相場に関わるのなら、成功するとは限らないまでも、せめて成長が望める体験を積んで欲しいと願っている。たとえ相場経験が長くても学ばなければ成長は無く、いつか大失敗をするものだと思っている。昔は経験を積もうにも、為替は特殊な職業でしか触れる機会さえ無いに等しかった。
しかし、今はその特殊な職業と概ね同じかそれ以上の取引環境が皆の周りには溢れている。そんな中で成長につながる経験をするかしないかは、もはや環境が理由にはならず、今は全て自身に掛かってくる問題だと思う。

先の例で言えば、190円でドルを売り直す考えを持てるか持てないかは、ここで述べるところの経験を、するかしないかにかかっていると、自分を戒めている。



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