外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

円の売り越し解消進まず、逆に買い越し解消が優勢-IMM分析活字版

2014-03-31 18:03:44 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、先週アップできなかったIMM取組残高分析の活字版をお送りします。

今週番組で使用するデータは、3月25日のIMM市場が終了した時点のものです。

今回、データの対象になった期間のドル円相場は、前週の急落を帳消しにする急騰となりその後は小幅に揉み合う展開でした。再度売り越す動きが活発になった可能性が在りましたが、実際のIMM残高にはどのような変化があったでしょうか。

では早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。

先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフからです。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
前回のドル買い越しは、目を見張る解消となりましたが、やはり昨年中盤まで揉み合った時期の最低水準は底堅かった模様で、今回は68,887コントラクトの買い越しと、若干ながら買い越し残高が回復しています。

火曜日の終値ベースの相場は、一時ドル買いか大きく解消される前に揉み合った、102円台前半までの円安に留まっていますが、ドルの買い越し額はまだその水準まで余裕がある状態です。

<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

今回目立ったのは、カナダドルの売り越しが急激に縮小したことです。前回増えすぎたカナダの売り越しに対する反動とも言えそうですが、3週前を下回る動きになっており、カナダ売りは一旦、ピークを打ったことが示されています。

また、買い越しに勢いが付いていたユーロも調整が入った模様で、相場が反落気味に推移したことを裏付ける格好となりました。

今回ブルベアのグラフは、後程のブレークダウングラフに譲りますが、前回、急激な動きを見せた、円、ユーロ、カナダは調整される動きが中心の一週間となったのは明白です。その一方ではポンドや豪ドル、ニュージードルが順調なトレンドを見せており、そのトレンドを伸ばせるかどうか…といった展開に見えます。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

先ず円ですが、前回大きく買い越された動きは、今回その片鱗もなく、僅かな売り越しとなりました。ここまで極端な動きになったことから類推すると、3週前の動きを含めた目先の売り越しは大方手仕舞いとなった可能性があり、再び売り越す余地ができたという見方も出来そうです。

ブレークダウンをみると、今回は円の買い越しが減少した方が目立っており、どちらかと言えば円高を見込んだ筋は、既に利食いなどで手仕舞いが進み、円売りを解消する動きには全くつながっていなかったとが判ります。

次にユーロですが、これまでの買い越しから一転して売り越しになった今回は、ブレークダウンを見ても、買い越しが取り崩されたのが大きな要因になっています。ロングは早々と手仕舞われ、若干ユーロ売りにシフトしていることから、目先のピークを打った可能性も示唆されているように思われます。

最後にカナダドルは、前回進んだ売り越しを倍返しする程の買越しになっています。ブレークダウンでも、カナダ買いに強くシフトしており、前回強まったカナダ売りは否定されたかのような動きを見せています。これは調整の域を越えた動きにも見え、カナダ売りは完全にピークを打った可能性が示唆されています。

<総括と考察>
さて、今回は円の売り越しが若干増える動きがありました。これを除くと、かねてから指摘してきたドル売りの流れは、依然として継続しているように見受けられました。ポンドやオセアニアが順調な強さを見せていますが、データが締め切られた段階では、まだ底堅いという程度で、その後の上昇に対するデータは次回確認できると思います。

そんな中で注目したのは、最初のグラフのところで触れたように、円のネット水準は売り越しがかなり解消された状態が2週続いたにも関わらず、円高を見通す買い越しの動きは増えるどころか、直ぐに解消されていました。

過去のブルベアと単純に比較はできませんが、円の買い越しが現在と近い状態にあった当時のドル円相場は、現在よりも円の売り越しがもっと多かったにもかかわらず、ずっと円高水準だったことが判ります。つまり、100円以上の円安に対して、市場は相当な消化が進んだことになります。

そんな状況の中で、投機筋はブルベアの比率が僅かに変化した際の市場の動きを敏感に感じ取り、反応が良い方向に大きく傾けてくる可能性は充分あります。
3週前の売り越しは結果的に失敗した格好ですが、これまでの動きから見て、円買いより円売り余地の方が拡大している印象は、先週から変わらない結果となりました。

以上の内容は、実際にグラフを使った動画で視聴できます。


※上の画像をクリックすると、ForexTVジャパンのIMMチャンネルにアクセスします

動画でご覧いただくと、尚解りやすくなっています。是非一度ご覧いただき、チャンネルのご登録などを頂ければ幸いです!



【PR】