こんにちは、
卒業式ラッシュも一段落した矢先、気候は急に春めいてきました。3月中の開花は難しいのでは…とも思えた先日までの寒さでしたが、このまま穏やかな気候が続いて欲しいものです。
さて、ネットのニュース等では既にご存知かもしれませんが、今週末に中国が人民元の為替変動幅をこれまでの1%から2%へと拡大する決定をしました。自由化の一環として、完全変動相場制を見越した動きだとされています。
週末という事もあり、専門家の意見は中国国内のバンカーやアナリストなどに限られていますが、ロイターの記事の中では“投機筋を封じ込めた”など、投機筋を締め出しに成功したことで、急騰する懸念を持たずに変動幅拡大に踏み切れたと、専門家の指摘をまとめています。
この記事の中で、中央銀行は人民元を売り介入し、投機筋を売戻しに追いやった、という強気な文面まで見えていますが、少し疑問が残りました。これが事実であれば、経済指標などの悪化や社債のデフォルトも政府の企みだとしか思えません。つまり、中国経済の減速リスクを織込んだ2月以降の下落の動きまでをも、政府が演出したことになります。
情報操作を否定しきれないところが中国らしいところですが、個人的には市場の動きに対して、中国の方が乗っかったと思えて仕方なく、逆に人民元を下落しやすくするのが、今回のバンド拡大決定の主目的ではないかと疑っています。つまり、今後も続く可能性がある人民元安を買い支えるリスクを軽減したかったとは言えないでしょうか。
輸出が大幅に落ち込んだ経済指標を信じるとすれば、人民元安は落ち込んだ輸出のカンフル剤として機能するメリットがある一方、通貨下落を政府の意図的なものだったとしておけば、今後の通貨売りがクラッシュにつながるリスクを軽減できる可能性を残せます。本音として、通貨安を歓迎しつつもクラッシュは困るといった微妙なトーンを感じます。
最近の為替の動きを見る限り、中国内の資金は既にかなり流出している可能性があり、介入が本当であれば目的はまんまと成功したように見えます。しかし、変動幅を拡大した時の通貨高を事前にけん制するのが目的だったとするなら、拡大以降の相場は直ちに上限一杯に張り付く動きになるはずです。しかし、来週以降もこうした動きにならなかった場合、市場は中国の景気後退リスクを本格的に織り込んでいることになり、専門家のブラフとは裏腹に、人民元は暫く下落リスクに晒されるほかないでしょう。
いずれにせよ、今回の決定による為替相場の反応は、今後のトレンドを決定付ける可能性も含んでおり、来週も混乱気味な疲れる相場は続きそうです。唯一言えるのは、こうした変動幅の変更がある場合、通常は直前の圧力をかわし切れずに対応を迫られるケースが多く見られます。人民元の直前の動きは通貨安だったことからも、今回の変更は合法的な切り下げとも考えられ、為替に発生していたここ1-2か月のトレンドは継続される可能性が高いと見ています。
それにしても、週末中に発表される中国の重要なニュースは困りものであり、土日くらいはゆっくりさせて欲しいところです。