外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

PM外国為替テクニカル分析-8月12日、ポンドドル相場

2010-08-12 18:50:04 |    -ポンドドル

こんばんは、ForexTVジャパンの浅野です。

数日前に、閃きFXの動画で、ポンドの下落相場に取組み、安値を1.5600前後としましたが、実際に1.5611まで下落した相場は現在、戻し調整を行っているように見えます。

どこまでを短期トレンドの戻し相場とし、あるいは下落を再開するとすればどこまで行くのか、今日は浅野のコメントをご紹介します。
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8月月初のドル売りの流れで、心理的節目にもなっていた1.6000の大台を幾度か挑戦したものの突破できませんでした。上値が重くなり始めていた10日は、FOMC発表を受けて再度上昇したものの1.59台が既に遠く、昨日のドル買い相場で1.56台前半まで一気に下落しました。

1.6000の突破を試した時の高値1.5995と、10日の安値1.5708を第一波動として、その値幅分を、FOMC後の高値1.5906から下ろした、いわゆるN計算値は、1.5619となり、昨日の安値の1.5611と概ね一致します。
つまり、今回の下落はN波動を完成したことになり、一旦の達成感はあるものの、FOMC後の高値である1.5906を上回らない限り、短期的な下落トレンドは継続すると見ています。

ご覧のチャートはプロスティックスチャートの時間足です。



一目均衡表の雲は上値レジスタンスとして重要ですが、FOMC以降の下落幅の50%戻しと、13日以降の雲の上限が、1.5760前後で一致していることから、相場が戻すようなら、この水準でポンドを売ります。下落相場で一旦揉み合った1.5800前後の上限となる1.5820を越えるようなら一旦はストップです。下値目標は7月27日の上昇のきっかけになったと見える1.5500前後を想定します。
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さて、二匹目のドジョウは住んでいるでしょうか。

見方によれば、陰線4日目となる今日、下げきれなければリバーサルパターンに見えなくもありません。ただ、週足などでは、今週は包み足となっており、こちらの下落リバーサルが勝っているように見えてしまいます。今週を先週の始値より安く引けた場合、来週は週足雲の下限となる1.53台半ばへ向けた、下落相場が想定できます。
ここ数カ月の上昇相場は、週足雲の下限を割り込まない限りまだ可能性を残しており、ここ数日の下落はその調整相場との判断も成り立つだけに、意外とその水準までは落ちやすいというのは、良くある話です。

ForexTVジャパン
浅野 敏郎


浅野のつぶやき-不可解なドル買い

2010-08-12 12:18:24 | ☆外国為替を読む
こんにちは、ForexTVジャパンの浅野です。

昨日は久しぶりに更新ができず、失礼しました。

早速ですが、昨夜はドルが急騰しました。このところリスクを回避する動きは、ドル売りが定説になりかけていましたが、本来の、ドル買い円買いが噴出した格好です。いくつか解説等に目を通したものの大方は、米国の景気後退懸念が欧州にも飛び火し、世界的な懸念がドル買い債券買いを促した・・・という内容が目立ちました。

特段の材料もなく、FOMC明けだっただけに、確かに唐突感は否めません。そこで、自分なりに要因を時系列に探ってみました。

1つ目として、東京時間中に発表があった、豪州の消費者信頼感が大きく下落したことで、オージーが下落して円高基調が再燃したことに加えて、中国の生産者物価指数の低下で、中国の経済成長が弱まるとの懸念が連想されたこと。

2つ目に、英国のインフレレポートでは、目先の金利上昇は抑えられるといったやや弱気な内容だったことで、ポンドが下落したことに加え、欧州圏からは一部の銀行の損失額が急増する類の報道がユーロ売りを誘ったこと。また、一部からは、欧州の中央銀行は、今後可能性がある日銀の介入について、批判的な内容のコメントがあったとの報道も、円買いを誘い、クロス円の売りがパニック的に持ち込まれた印象があります。

3つ目には、米国時間に入ってFOMCの声明を裏付けるように期間が中期程度の債券価格が上昇。終盤に発表があった先月の財政赤字が大きく減少したことも、債券買いを支援した可能性があります。

このように、特に決め手はないものの、総合的に昨日はドルが買われやすい材料が重なったことが指摘できますが、強気だった米株市場までもが大きく崩れたのは、やや意外でした。欧州の下落までは納得はできるものの、通常であれば米株へシフトすべき資金が、ついつい債券に流れてしまったような印象さえあります。たしかに、資金需要がさほど高くないとされている中での金利の更なる低下は、デフレ懸念に満ち溢れており、そのあたりが株価下落の主要因とする見方は、納得できます。

いずれにしても、ドル安懸念で下落し、低リスク投資が選好される中で円買いを受けていたドル円は、苦難のスパイラルに突入した観があります。まだ何もアクションを起こしていない日銀に対して、介入をけん制してきた欧州ですが、コメントの内容は、好調なアジア市場の恩恵を大きく受けるのは日本であって、その通貨が上昇するのは当然だというニュアンスで、もはや“ねたみ”に近いトーンになっていますが・・・
本当にそうなのでしょうか。

さて、その国民である私たちはどう感じますか?

恩恵を受けている企業は山ほどあるのは事実でしょう。しかし残念なことに、その恩恵は国全体に還元されている状況ではなさそうです。加えて一層ガメつくなった企業は、企業減税を脅迫状に、国からさらにガメようとしているのが現状です。どうせ恩恵が還元されないのであれば、円高低金利の今こそ恩恵を受けている企業からしっかりと税金をいただき、、400兆の借金を返す良い機会だと思いますが、いかがでしょうか。もうそろそろ、輸出大国日本の呪文から目を覚ますべきと考えます。

ForexTVジャパン
浅野 敏郎