原人論・・その4
「・・・続いて華厳経は次のように説く「仏陀が覚られたとき、仏陀は広くすべての生命あるものを観察されてこのように言われた。『不思議だ、まことに不思議だ。生命あるものたちは悟れる仏陀の智慧を内に備えながらどうして迷妄の世界に惑わされて真実を見ることができないのであろうか。この世界でわたし仏陀は人々の為聖者への道を教導し、生命ある者たちが永遠に妄想から解放されて自己の心身の内に仏陀の広大なる英知の働くことを自覚しその点では全く仏陀と人々とが相違していないという真実をどのようにしても納得させよう。・・(華厳経巻三十六寶王如来性起品第三十二ノ三「・・如来の智慧・無相の智慧・無礙の智慧は、具足して衆生の中にあるも、ただ愚痴の衆生は顛倒の想に覆われて、知らず・見ず・信心を生ぜらるのみ。そのときに如来は・・一切の衆生を観察し終って・・・各の次の如き言葉を為し給はく。『奇なるかな、奇なるかな。如何ぞ如来の具足せる智慧は身中にあってしかも知見せざる。)』まさしく仏性と呼び如来蔵と名つ゛けるこの真実の心は迷妄の中の人々にあっても悟りを開いた仏陀にあっても同一である(迷悟同一)と理解すべきである。偉大なるかなこの一乗顕性の霊妙な法門こそ人間性の根本を原たずねる道(原人の「原」とはこの意味)であり、いまその究極に到りついたのである。・・・」
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