○ドヴォルジャーク ピアノ三重奏曲第3番 スーク・トリオ 1977年5月2、3日
6月14日、高崎シティギャラリーで高(ガオ)さん、ファニーさん、ユリアさんのトリア・アンファリアの演奏会が開催されますが、その演奏会でこの曲が演奏されるので、予習も兼ねて久しぶりに聴きました。
この曲が作曲された頃のドヴォルジャークは、交響曲第1番(現在、6番)が出版され、作曲家として名声が高まってきたときであり、さらに国際的に認められるには、「オペラの題材に〔チェコではなく〕もっと普遍的なものをえらばなければならない」と友人たちから勧められていました。「高まっている民族運動のさなかに、この誘惑に屈することは、彼が奉仕を誓った民族への裏切りを意味した。彼は悩んだ。はげしい葛藤の末に、彼をチェコの心に落ち着けされたのは、母の死という悲しいできごとも手伝っていた。・・・この悲しみは、翌1883年に書きあげられたピアノ三重奏曲ヘ短調(作品65)にあらわされた。」(渡鏡子「スメタナ/ドヴォルジャーク」より、〔 〕内注釈は私です。)ということです。
引用が長くなりましたが、この時期の作品には、昨日紹介した「フス教徒」や交響曲第7番などがあり、どの曲も他のドヴォルジャークの作品とは違い、葛藤に満ちています。
スーク・トリオの演奏は、一分の隙も見せないような完璧で高潔な演奏で、却って、人を寄せ付けない印象も受けます。
ちなみに、トリオ・アンフェリアの演奏会のチラシには、「口ずさむほど有名な作品からプロも珍しがるほどの作品をお愉しみ下さい。」とありますが、この曲はどちらの部類なのでしょうか?