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フリッチャイ同曲異演、同演異盤 その68

2024-08-16 08:34:34 | フリッチャイ
○チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
セッション録音2種とライヴ録音1種の3種があります。
(1) ベルリン・フィル 1953年7月1~4日(セッション録音、DG)(M)

(2) ベルリン放送交響楽団 1959年9月17~19、22日(セッション録音、DG)(S)
 ア DG盤 
 イ mythos盤

(3) バイエルン放送交響楽団 1960年11月24日(ライヴ録音、Orfeo)(M)


演奏時間
 (1) Ⅰ 17’15 Ⅱ 7’41 Ⅲ 7’46 Ⅳ  9’12
 (2) Ⅰ 21’10 Ⅱ 9’16 Ⅲ 8’48 Ⅳ 10’58
 (3) Ⅰ 20’10 Ⅱ 9’14 Ⅲ 8’54 Ⅳ 11’49(1楽章冒頭6小節、40秒程度欠け)

演奏について
(1)、(2)、(3)ともに素晴らしい演奏と思います。
(2)は、フリッチャイが生死をさまようような重篤な病気から回復して最初の演奏会で演奏した曲で、その直後に録音されました。しかし、フリッチャイが第1楽章の一部の録り直しを希望していたもののそれが実現しないまま死去したため、長い間、お蔵になっていました。それを日本のグラモフォンがシルヴィア夫人の許可を得て世に出たのが1996年。たちまちフリッチャイの代表盤の一つ、そして「悲愴」の名盤の一つに数えられるようになりました。
出だしからほの暗く青白く病的な感じで進行していきますが、第2主題ではとてもゆったりしたテンポで一音一音いつくしむように演奏していて、この演奏の白眉といえるのではないかと思います。展開部や3楽章後半でテンポをぐっと落としているところがあり、それがとても効果的です。2楽章では中間部がすすり泣いているようで、悲しみが伝わってくるようです。
そんな素晴らしくまた評価の高い演奏ですが、私は(1)のほうが好きです。(1)は、(2)や(3)と比べると約8分も速い演奏です。ベルリン・フィルを駆使して能う限りの速さで驀進していく演奏は、聴いていて爽快です。フリッチャイは1948年12月のベルリン・フィル・デビューでこの曲を指揮し、批評家のハンス・ハインツ・シュトゥッケンシュミットが第3楽章について「まるでボーデン湖を越えて突っ走って行くような勢い」(「フェレンツ・フリッチャイ 理想の音楽を追い続けて」)と評しましたが、この演奏もまさにそれを思わせます。一方、(2)と同じようなテンポの変化もあり演奏に変化をもたせています。
(3)は(2)の1年後の演奏会のライヴ録音で、似たような演奏ですが、(2)より堂々として伸びやかに演奏しているように感じます。ただ残念なことに冒頭が40秒程度欠けており、名演なだけに残念でなりません。

(2)の音質等について
アのDG盤はとてもよい音質で、フリッチャイの録音の中でもベストといえるのではないかと思います。ただ、同じ時期の「新世界より」や「大ミサ」などと比べるとあまりに良い音なので、音質をかなり改善したのではないかとも思います。アが発売された後、アメリカのmythosというレーベルが高音質盤としてイを発売しました。LP復刻と銘打っていたように記憶していますが、そもそもこの音源はLPで発売されたことがなく、DGのカタログにも番号が存在(どこかの国でLP化したのか?)しないので、ちょっとおかしいです。音は確かにLPから復刻したようにブツブツ音がいくらか入っています。
(CDジャケットの中に入っているもの、LPのジャケットのコピーか?138 135という番号があるが、DGのカタログには存在しない)

(ドイツ・グラモフォン完全データブックP151から)

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