今週の『週刊ダイヤモンド』は「解雇解禁」と題した雇用の特集でした。
予想通り決して楽しい内容ではありませんが、
極めて重要な問題を孕んだ特集で、必読の号として強く推奨します。
ただタイトルはやや誇張し過ぎの観があり、
「労働貴族が日本を滅ぼす」や「労働格差の闇」
の方が的確なのではないでしょうか。
既得権にかじり付き、日本経済にさして貢献していない者に
不相応な高給が払われていることこそ、この社会の深刻な病巣のひとつです。
また、『東洋経済』と比較すると日本の世代間格差の実態が
衝撃的なほど鮮やかに浮かび上がってきます。
ダイヤモンドのP31の図表では、
「失われた20年」の間に50歳以上の労働者が勤続年数を伸ばす一方、
それ以下の年代では勤続年数が縮まり、非正規雇用が急増したことが分かります。
東洋経済の表紙にあるような優雅なリタイア後の生活は、
新卒採用を削り非正規社員を増やすことによって生まれた
「汚れたカネ」によって支えられている可能性があります。
(しかも自らは強固な労働既得権に守られてきたにも関わらず)
私は今週号を見て、『東洋経済』は石橋湛山の精神を失ったと判断しました。
石橋湛山はかつてアジアへの軍事侵攻と植民地拡大政策を批判し、
自国の力に奢る愚かな世論や政治家等の支配的勢力と勇敢に闘いました。
もし現代に石橋湛山が生まれ変わったら、
低成長と政府債務累増にも関わらず、利己的な既得権層が
この社会の未来にも次世代育成にも関心が薄く
「不安」を口実に家計金融資産を積み上げてゆくのを見て、
口を極めて痛烈に批判するに違いありません。
◇ ◇ ◇ ◇
「いまや、日本の雇用問題においては、労使対立よりも
こうした様々な労働者間の不平等の方が遥かに根が深い」
とするメイン特集に関しては、
「世代」「雇用形態」「性差」「企業規模」「産業」「地域」の
6つの「労労対立」を巧みに纏めています。
「雇用形態」「性差」の問題は実はもっと複雑なのですが
(非正規労働を意図的に選択し満足している労働者が意外に多い)
概ね的確な分析でしょう。
しかし、「地域差」よりも「官民格差」の方が遥かに深刻です。
正確に言えば官民格差こそが地域差を拡大させている。
次回は是非とも存分に追及して欲しい。
◇ ◇ ◇ ◇
為替投資家はP21を絶対に見逃せません。
野村證券の田中泰輔ストラテジストが米ドルの「金利差仮説」と
「8年サイクル仮説」を鮮やかに解説されています。
先月ダイヤモンド誌のコラムで「為替は投機」と放言した山崎氏が素人レベルで、
精緻な理論で的確に予言する田中氏が筋金入りのプロであるとすぐ分かります。
そう言えばP67の山崎氏のコラムは先週に引き続き勉強にならないですね。
投資教育においては「自分は意識しなくとも既に金融市場と結びついている」
という事実とその仕組みを教えるのがまず優先です。
ピントがずれ過ぎているのではないでしょうか。
年金基金がさまざまなPFで市場運用されていること、
株式・為替市場の変動が実体経済に影響を与える理由、
自分たちの預貯金がいつの間に国債を買う資金に化けていること。
あとできれば政府債務と金融市場の関係も。
投資教育の適任者であれば、まずはこの辺りの話をすべきでしょうに。
視野の狭い教育は偏見を強めるだけで時間の無駄です。
予想通り決して楽しい内容ではありませんが、
極めて重要な問題を孕んだ特集で、必読の号として強く推奨します。
ただタイトルはやや誇張し過ぎの観があり、
「労働貴族が日本を滅ぼす」や「労働格差の闇」
の方が的確なのではないでしょうか。
既得権にかじり付き、日本経済にさして貢献していない者に
不相応な高給が払われていることこそ、この社会の深刻な病巣のひとつです。
『週刊ダイヤモンド』2010年 8/28号 |
また、『東洋経済』と比較すると日本の世代間格差の実態が
衝撃的なほど鮮やかに浮かび上がってきます。
『週刊東洋経済』2010年 8/28号 |
ダイヤモンドのP31の図表では、
「失われた20年」の間に50歳以上の労働者が勤続年数を伸ばす一方、
それ以下の年代では勤続年数が縮まり、非正規雇用が急増したことが分かります。
東洋経済の表紙にあるような優雅なリタイア後の生活は、
新卒採用を削り非正規社員を増やすことによって生まれた
「汚れたカネ」によって支えられている可能性があります。
(しかも自らは強固な労働既得権に守られてきたにも関わらず)
私は今週号を見て、『東洋経済』は石橋湛山の精神を失ったと判断しました。
石橋湛山はかつてアジアへの軍事侵攻と植民地拡大政策を批判し、
自国の力に奢る愚かな世論や政治家等の支配的勢力と勇敢に闘いました。
もし現代に石橋湛山が生まれ変わったら、
低成長と政府債務累増にも関わらず、利己的な既得権層が
この社会の未来にも次世代育成にも関心が薄く
「不安」を口実に家計金融資産を積み上げてゆくのを見て、
口を極めて痛烈に批判するに違いありません。
◇ ◇ ◇ ◇
「いまや、日本の雇用問題においては、労使対立よりも
こうした様々な労働者間の不平等の方が遥かに根が深い」
とするメイン特集に関しては、
「世代」「雇用形態」「性差」「企業規模」「産業」「地域」の
6つの「労労対立」を巧みに纏めています。
「雇用形態」「性差」の問題は実はもっと複雑なのですが
(非正規労働を意図的に選択し満足している労働者が意外に多い)
概ね的確な分析でしょう。
しかし、「地域差」よりも「官民格差」の方が遥かに深刻です。
正確に言えば官民格差こそが地域差を拡大させている。
次回は是非とも存分に追及して欲しい。
◇ ◇ ◇ ◇
為替投資家はP21を絶対に見逃せません。
野村證券の田中泰輔ストラテジストが米ドルの「金利差仮説」と
「8年サイクル仮説」を鮮やかに解説されています。
先月ダイヤモンド誌のコラムで「為替は投機」と放言した山崎氏が素人レベルで、
精緻な理論で的確に予言する田中氏が筋金入りのプロであるとすぐ分かります。
そう言えばP67の山崎氏のコラムは先週に引き続き勉強にならないですね。
投資教育においては「自分は意識しなくとも既に金融市場と結びついている」
という事実とその仕組みを教えるのがまず優先です。
ピントがずれ過ぎているのではないでしょうか。
年金基金がさまざまなPFで市場運用されていること、
株式・為替市場の変動が実体経済に影響を与える理由、
自分たちの預貯金がいつの間に国債を買う資金に化けていること。
あとできれば政府債務と金融市場の関係も。
投資教育の適任者であれば、まずはこの辺りの話をすべきでしょうに。
視野の狭い教育は偏見を強めるだけで時間の無駄です。