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反核運動は、国際平和構築の道程ではなくなった - 国際社会の現実へのアクションを取れない日本

2010-08-06 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
今年もこの日がやってきました。
人類最悪の戦争犯罪のひとつとして、ヒロシマ(そしてナガサキ)の惨禍を
永遠に歴史にとどめるとともに、何ら罪もなく虐殺された犠牲者を思い祈る日です。

幸いにも核兵器はこの後に戦争で使用されることはなく、
ビキニ環礁での被爆(また日本人の被害)にとどまっています。

しかし、この核兵器の不使用が続く現況は、
日本における国際平和を求める運動の拡大を制約し、
いま世界で起きている現実に対処する際に
日本が何ら積極的役割を果たせないという副作用をももたらすものです。

我々は、反核運動(しかも日米同盟の都合上、制約された運動)以外に
国際平和に貢献する何らかの能動的なアクションを怠ってきたのではないでしょうか。

しかも反核運動にはアメリカというトゲが深々と刺さっています。


エノラ・ゲイ機長の息子、米大使の広島訪問批判(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0806/TKY201008060092.html

”【ワシントン=望月洋嗣】広島に原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」のポール・ティベッツ
 機長(故人)の息子が5日、ルース駐日米大使の記念式典出席を「前例がなく、すべきではなかった」
 「暗黙の謝罪だ」などと批判した。米CNNテレビの電話取材に答えた。
 取材に応じたのは、機長の息子で米アラバマ州に住むジーン・ティベッツ氏。「原爆投下は正しかった
 か」と問われ、「我々は正しいことをした。多くの米兵の命が救われたうえ、多くの日本人の命を救っ
 た可能性もある」とも述べた。同氏は保守系の米フォックス・ニュースの取材にも応じ、「日本は真珠
 湾を攻撃した。我々は日本人を虐殺したのではなく、戦争を止めたのだ」とコメントしていた。
 米の主要メディアが広島の記念式典を取りあげるのは異例。CNNはプライムタイムの番組内で、ルー
 ス大使の映像を交えて報じた。ティベッツ機長は2007年、老衰のため92歳で死去した。”

 → 日本は、アメリカのように非人道的な兵器は使用しなかった。
   (中国大陸で化学兵器を用いたのは残念ながら事実だが)
   真珠湾を持ち出すのはとんでもない誤りだ。
   ヒロシマの犠牲者の写真や東京大空襲の黒焦げの死体の山を知らないのか!!
   このような人種差別主義者は手厳しく反論されるべきだ。





『国際貢献のウソ』(伊勢崎賢治,筑摩書房)


ただ一方で、伊勢崎教授の指摘する通り、
今の世界において深刻な問題となっているのは内戦と紛争であるのも確かです。


若いアフガン女性の無惨な顔を表紙にしたタイム誌 英断か戦争ポルノか(goo)
http://news.goo.ne.jp/article/newsengm/world/newsengm-20100805-01.html?fr=rk

”国際ニュースの話題をご紹介するこのコラム、今回は米タイム誌の表紙写真(リンク先には、とても辛
 い写真があります)についてです。自分を虐待する婚家から逃げだそうとしたアフガニスタンの若い女
 性が、美しい顔を無惨に損なわれて、じっとこちらを見つめています。その写真を雑誌表紙に使い、か
 つ「アメリカがアフガニスタンから撤退したら、こうなる」という主張を添えた同誌の手法について、
 多くの人がそれぞれの立場からいきり立っています。(gooニュース 加藤祐子)
  ○虐待という絶対悪
 これは英断なのか。それとも「戦争ポルノ(war porn)」なのか。
 親同士の取り決めで結婚させられ、婚家で奴隷のように扱われ虐待されたため逃げ出したものの、連れ
 戻されてしまったという18歳のアイシャ。地元のタリバン指揮官の命令で、夫に耳と鼻を切り取られた
 アイシャ。その彼女の写真が、7月末にタイム誌の表紙になりました。同誌はさらに彼女の顔の横に、
 「What Happens If We Leave Afghanistan(私たちがアフガニスタンを去れば、こうなる)」と
 断定する見出しをつけた。
 この表紙の是非が、いまアメリカを中心に大きな論争になっています。
 これはアフガニスタンの現実を知らしめるためなのか。オバマ政権のアフガン戦争政策を支持するため
 なのか。そのために、ひとりの若い女性の顔を世界にさらしたのか。そのために、ひとりの若い女性が
 受けたむごい仕打ちを、それを許容する社会を、世界にさらしたのか。あるいは、ひとりの若い女性が
 自分が属する社会の規範に抵触したから受けた罰を「悪」と決めつけて、そこに自分たちの道徳観を押
 しつける、アメリカ帝国主義的な偏見をさらけ出したのか。牛や豚や羊を食肉のために殺すのは良くて
 鯨やイルカはダメだというのと同じなのか。それともやはり、ひとりの若い女性がこのような目に遭わ
 なくてはならない社会は、糾弾されるべきなのか。そのような社会を変えるため、かの国の女性たちを
 守るためにも、地球の反対側にあるアメリカは若者たちを兵士として派遣しなくてはならないのか。さ
 らに言えば、そのアメリカを、同盟国・日本は支援すべきなのか(一部の論点は、私が付け足していま
 す)。〔以下略〕”

アメリカはでしゃばりの理想主義者ですが、
世界に出て行って何か行動すべきではないかと本気で考える点で
現代の日本よりも議論の水準が上だと思います。

尚、アフガニスタンでは「家族の名誉のための殺人」が普通にあるので、
実情はもっと深刻です。

▽ こちらの本でアフガンの人々の置かれた殺伐たる世界が分かります。





『アフガニスタンの未来をささえる―国際機関職員の仕事』(石原陽一郎/長岡 正哲/石川かおり/茅和伊)

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