『週刊ダイヤモンド』10月21日号 － 日本の半導体企業は「シェア落ちた」、台湾からの冷静な指摘

ダイヤモンドの地政学特集は完全に初心者向けだった。
地政学は雑誌で特集するにはワンパターンで
タイムリーさがないという欠点がある。
その時その時で話題のテーマを取り入れ工夫する必要があったろう。


ただサブの半導体産業特集は悪くなかった。
（エントリーのサブタイトルはこちらから）
台湾の半導体関係者は日本企業を客観的に見ていて
「業績は回復してもシェアは下落」としている。
実際、半導体バブルを煽るような軽躁な声は多いが
エヌビディアやTSMCに比べて日本企業は脇役である。
台湾が後発ながら半導体分野で躍進した理由が分かろうというもの。

『週刊ダイヤモンド』2023年 10/21号 (中学生からの地政学)

宜しくなかったのは25頁、みずほ証券の小林氏の分析。
日本のTFP成長率が2012年以降は回復し欧米並みとしながら、
ドイツにもイギリスにも負けている実態を軽視している。
しかもその要因のひとつとして2011年の東日本大震災を挙げており
いかにも無理があろう。証券会社所属の通弊として、
株価だけは上がったアベノミクスを擁護しなければならない裏事情では。

寧ろ、出生率がガタ落ちしている中国の成長率悪化が鮮明になった現在、
産業政策よりも人口政策や雇用政策の相対的な重要性を認識すべきである。
（事実、日本よりTFP成長率に劣る米国の方が成長率も賃金上昇率も高い）

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東洋経済NISA特集はやや地味だが悪くない。
インデックスに勝つことが難しいという
陳腐だが不変の真実を分かり易く伝えている。
高所得ならNISAよりiDecoが有利という
重要な事実をはっきり書いているのも好感が持てる。

『週刊東洋経済』2023年10/21号 (新NISA革命)

佐藤優氏の連載は、過去の回想なので悪くない。

今週のAERAで氏は今回のガザ侵攻をイスラエルの失敗と厳しく書いているが
イスラエル以上に大打撃を受けたロシアに一度もそのような批判はないから
氏による現在のロシア分析については矢張り厳しく検証するのが妥当であろう。
思惑は分からないが、ロシア国内への配慮や停戦後を睨んだ言説かもしれない。

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エコノミストのBRICS＋６特集はいまひとつかな。。
これから外資排除したロシアの衰退、中国の斜陽は不可避だから
間違いなく世界経済の花形はインドになる筈ではなかろうか。


42頁の寄稿は興味深い。
矢張り送電網の「先着優先」は有害な仕組みで、
2018年9月から「間接オークション」に変更すると
取引量は拡大し電力価格が低下したと云う。
（政府がコージェネ普及に全力投入していればもっと良かったろう。。）

『週刊エコノミスト』2023年 10/24号【特集:知らないとまずい　ＢＲＩＣＳ＋６】

市場関係は今週も市岡繁男氏の連載が良い。
2021年からの通貨下落ワースト３が紹介されており
①アルゼンチン、②トルコ、③日本、という惨状である。
勿論トルコと日本との差は倍以上なのではあるが
アベクロの負のレガシーにより日本経済は事実上、
インフレ税の直撃を受けて衰退していると言うべきだろう。
コロナ明けの恩恵がなければゼロ成長だった筈だから。

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次週はエコノミストに注目、暗愚なアベクロの異常な緩和策の末路がこれだ。。

▽ 商工会議所すら「為替介入が遅い」と唱える惨状、日本はスタグフレーション寸前である

『週刊エコノミスト』2023年 10/31号【特集:円安亡国】

▽ ダイヤモンドは確実に売れる一貫校特集、「相性」という観点は重要だが塾より学校とが重要では？

『週刊ダイヤモンド』 2023年10/28号 (中高一貫校＆塾)

▽ 読者層の年齢の高さを示す東洋経済、失われた30年の「主犯」世代だから自助努力を見せてくれるだろう

『週刊東洋経済』2023年10/28号 (地獄の役職定年・定年後再雇用)

「ジョブ型雇用」のターゲットが中高年という説は興味深い。（暢気なＺ世代もいずれそうなる運命）