-凸凹帖-

写真 奥野和彦

卒業

2019-07-01 22:22:30 | 写真


断捨離がなんだ、と思いながら
それでも物を減らして行きたいとは思う。
大体、芸の肥やしと言い訳をして手にした
側にある趣味の道具を
もう、そろそろいいかと思ったものは
卒業して行こうと思えばできない事もない。
物との卒業ばかりではなく
他にも卒業したいことはあって
それもぼちぼち。

暗室用品、撮影機材、本、釣り道具
さらに一番腹を決めて処分しなければいけないのは
何十年分のネガだ。

もしかしたら、また手にしかねないとは思うけれど
今まで仕事では無い自分の写真製作用に使っていた
フイルムカメラをやめて
デジタルカメラにしてみようと思う。
フイルムで撮っているのに現像したら
それをスキャナでデジタルに置き換えて
結局インクジェットプリンターで紙にしている。
いつか銀塩のプリントにと思っていても
スポンサーでも現れなければ出来ないし
デジタルカメラで、今までの水準の製作が出来るように
自分が研究を重ねていくのは面白いことかも知れない。

鰻屋さんの
鰻を焼いている焼き台のそっち側に
何十年も使い続けて足し続けて来た
外側に垂れてギトギトのタレの瓶と
その隣にピカピカの先週届いたようなピカピカの瓶が
あったとして、
どちらの瓶に鰻を浸けてもらうのがいいかと言ったら
ギトギトの方だろう。

人は何とも言えない味わいを知っている。
見なきゃ感じない味を、見ると感じてしまう。
実際、味わいになっているかどうかなんて分からない。
AIにしてみるとそれは間違いで、選択しないものかも知れない。
むしろ、清潔で新しいものの方を選んでくれるだろう。
でも、AIにこの場合は古いものの方を選択するように
仕込むからAIなのか。
あーめんどくせー、誰かのフイルムの話みたいな。

機械がちゃんとやってくれるのに
味わいを加えようとする。