-写真の部屋-

奥野和彦

きょとんと

2019-05-12 19:20:30 | 写真


甲子園で何10勝もする強豪校の監督さんが
「逆境を乗り越えるから強くなるんです。
逆境を乗り越えられない子はどこかで負けてしまいます」
と言います。

「僕は少年野球の時の監督さんが
もう厳しくて嫌いで野球がちっとも楽しくなかった。
だから子供たちに楽しく笑いながら野球をやらせたいんです。」
と言っている少年野球の監督さんのチームがそこそこ強い。

小学6年生には逆境が果たして必要なのか?
じゃ4年生にはどうなのか?
どの程度の困難が逆境なのか。
楽しく笑いながらやっていると
ふざけてると怪我するぞってな事をコーチに言われる。
その境目が子供には分からない。



どこそこのチームは毎週 野球ノートを書いて監督さんに提出。
平日に素振りを毎日600回やるチーム。
それをきちんとさせてやれる指導者が良い指導者なのか。
自分はどうかな、と思うとダメですね。
素振りをするとしないとでは違う、だからしておいで、とは言います。
300回ぐらい出来ればいいんじゃかな?とは言います。
でも、しているのかな? と思うし、子供だからいい。
宿題もしたほうがいい。
お父さんもお母さんもいない時間に
「カントクに言われたから」
家の前でバットを振って、
近寄ってきた近所の子を叩いてしまったら。
私はその子のその後の 心 が心配で
そんな事を考え始めると何でもかんでもやれとは言えないのです。

ここからは少年野球の監督として言うのでは無く
一人生経験者として言うのですが
素振りにしても、シャドーピッチングにしても
何回やりなさいと言われたからする、のは違うのかなと、
まず先に、野球が好き があって「好きな道」を極めるために
心と体が勝手に動き出してバットを、ボールを握っている。
それが最後までやれる奴の、姿です。
真に上達するから続けることが出来るのです。
そう言う奴は自分がやり続けられる為の処世術もちゃんと
持っているから事故も怪我も少ない。

今の時代、大抵の場合 勝手に握っているのはゲームかスマホ。
だから上達が早いでしょう。
時代のこともあるでしょう。
我々の子供時代にはそれが無かったのです。

1番、好きであることは重要です。
私の1番は高校野球が終わった後にカメラをいじることに変わりました。
素振りもずーっと勝手に数など数えず気がすむまで
何十分でもやってましたが
それがシャッターを切ることに変わりました。
素振りと違ってフィルム代が相当かかりましたが。
何かを身に付けるためには
そのことに常に触れているのが良いと
経験的に分かっていたんでしょうね。
野球のお稽古のお陰だと思っています。



それにしても、毎週毎週求めすぎてしまう。
今日もよくみんな頑張ったな。
とそれだけでもいいのに。
子供達が頑張っているのは分かっている
600回、振るような子達では無くたって
一生懸命やれるなりにやっている。
だからこそ、勝利を味わせてあげたくて
ムキになってしまうんでしょうね。
野球を好きでいてもらう為に
少年野球の監督が大嫌いだった監督さんの気持ちも
忘れてはいけないと思うのです。

智辯和歌山の監督を勇退された高嶋さんも
イチローも、桑田投手も、プロや成人の野球に興味は無いけれど
野球の入り口にいる子達に野球の楽しさを
教えてあげることはしてみたいと言っています。
昭和の暴力的な野球も知っていて
それが通用しない時代になったのもよく知っていて
そう言う人たちなら、画期的な新しい野球道を
切り拓いてくれそうな気がするし
出来れば自分でもそれを見つけてみたいと思いますね。
写真どころでは無くなってしまいますね。困りますね。