-写真の部屋-

奥野和彦

暮らし

2007-09-18 23:49:28 | 写真
070918仕事を終えて日比谷から乗った地下鉄でこれを書いている。銀座の釣り具屋で中古で250円で買ったメドゥマウスというルアーを車内でこっそり出して眺めてみる。その名の通りネズミの胴体の形をしているが、表面にネズミの皮膚(短い毛)のようなファー加工がしてある。新品のうちはよいのだが劣化が始まるとその表面の材質が溶け始め、触るとベトつくし、爪でこそぐとにゅるにゅるとよじれる。何とも嫌な状態になる。それをわかって買って来てシンナーできれいに落とせるだろうか、うまく行けば再塗装をして使い易くなるかななどと、手のひらでひっくり返しながら眺めている。向かいの席ではディズニーランド帰りらしいカップルが異常にイチャつき、そのままここでいろんな事をしてしまうんじゃないかという勢いだが、オレの手の中のネズミに女の方の視線がたまに止まる。昨日は弟に少し苦言を呈す。不良は嫌いではないが、中途半端にいじけて開き直った輩は好きじゃない。親のすねかじってアウトローぶってんじゃねえよと簡単に言えばそんなような気持ちである。久しぶりに親や兄弟に会うのは嬉しくもあるが、結局いつも辛い物言いになってしまい、だから実家は嫌なのだ。仕事で付き合えなかったが子供たちはまた23点だとか19点だとかで2試合を勝ち抜き、コーチが報告メールをくれた。明日は先にプレゼントをもらってある誕生日で、ごく普通に生まれ落ちた男一匹普通に育って、普通に生きて、普通に死んでいく男の興味だとか喜びだとかグチだとか、例えば書いてみればこんな事で「暮らし」は成り立っている。そして何千、何億という「暮らし」で世界は息づいている。別にそれを男一匹、発表する必要はまるでないが、私のそれに限らず、ある一個人の「そんな出来事」が並列すると、もしかしたらTVや新聞のニュースより、よりリアルで普遍的な「世界」を構築するのではないか。安倍さんが入院している病院の壁をカメラマンが外からストロボ当てて写真を撮るけれどあれは行ったから仕方なくやることで、ただのイラストレーション。安倍さんがうつろな目で眺めている病室の壁を撮れば何かが写るはずだ。それに、もしかしたらぜんぜんうつろじゃないかもしれないしね。で、今思いついたんだけど、来たる特定の日に皆で「その日」を組み立ててみるのはどうかしら、と。その日の貴方、なり暮らしなり、デジカメで撮ってメールで送ってもらう。ここを見ている人なら誰でも参加可能。新しいフォトアルバムにしても良いしね。感動的な1枚なんかじゃなくて良い。朴訥としたいつものそれぞれの世界。それを並べてみるんです。詳細後日発表 ってな事に考え至る日比谷線車内より愛を込めて、皆様に。