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流出雑記 

7月13日

2008年07月14日 | Weblog
玄関先の植物がしおしおになっていた。
2日ほど水やりを怠ったせいだ。ここ数日の私余裕のなさと毛羽立ちが目に見えるようになっている。
急いで水をあげた。

それからひたすら掃除する。
雑巾がけ、どこに何があるのかわからなくなっていた二人分のCDの棚を整理し、ラグを干しカーペットを拭き掃除し、仕事で1ヶ月間着続けて特別感のなくなった浴衣を洗い、毛布を洗い…。

気付けば2時過ぎ。
植物を見にいくと、しおれていた葉の一枚一枚に水が行き渡り朝とは表情が全然違う。しばらく眺めた。

一息入れようと冷蔵庫を開けるが閑散としている。
佃煮系、ドレッシング類、牛乳、卵、目薬
お中元のローストビーフの切れ端をつまむ。

母からもらったジンジャーシロップを氷と水で割って飲む。酸味がほしいのでバルサミコ酢を足したらコーラに近づいた。

その後細々したことを片付けていたら眠気がやってきたのでちょっと寝る。
目覚めると6時前。
とりあえず米を研ぐ。
最近の米は精米技術の向上で無洗米でなくてもほとんど研がなくてよいと聞いた。
水は白濁するが、ぬかではなくでんぷん質なのだそうでそれを洗い流すと米の甘みも流れてしまう。
米をはかり水をいれ軽く表面のゴミを落とすくらいの気持ちでかき混ぜて水を捨てればもう十分らしい。
我が家ではその方法を採用しているが、それでぬか臭さが気になったことはなく、今まで3、4回研いでいたのは何だったのか、もったいないと思う。

たまねぎとじゃがいもがある。
切って炒めて煮る。それでどうしようかと考えて、流しの下をごそごそ探していると、冬にダーリンが風邪をひいた時に買ったカロリーメイトのコーンスープが出て来た。
6缶セットなのにあんまりおいしくないので処理に困っていたのだが、思い立ってコンソメをひとつとローズマリーひとつまみ、カロリーメイトを1缶入れて煮てみた。

コーンスープ煮になりました。

食後、ホームセンターにすだれと布団圧縮袋を買いに行こうと思っていたが片付けなどしていると閉店時間までに着けそうになかったので見送る。
家からでないまま一日が終わる。


今日は太田省吾さんの命日だ。

1年前の夕方、ほとんど全員太田さんの教え子だった同じ学科の卒業生と京都芸術センターで舞台の稽古中だった。
休憩に入って携帯を見ると訃報を知らせるメールが届いていた。

その日は外に出ると雨音で会話がしにくいほど大雨だった。

誰かに連絡を回すでもなく、まともに受け止めると事実になってしまうがどうしたらいいかと雨を見ていた。
劇作家の死はフィクションだ。ちょっと旅に出た。だからまた帰ってくる。と思ってその場は持ちこたえた。

2、3日経って、混んでる地下鉄で、人はたくさんいるけど太田さんはどこにもいないと思うと、どうしようもなく嫌で寝た振りしてを泣いた。
1年前。

思い出と太田さんが残した本。
思い起こしたり、読んだりすると出会えたことに支えられる。

数年前の夏、必死で覚えた太田さんの戯曲の大量の台詞は、言葉から感覚、感情の流れになって残っている。
死ぬまで私の循環から流出しないように、骨の中に留めてある。