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流出雑記 

土の調香

2008年07月22日 | Weblog
学校が休みに入ると同時に仕事が少ない時期に入る。
今月の初めまでは朝から奈良芸短でポーズだったので5時起きの日々だったが、終わった途端夜行性の生活に戻り4時過ぎに寝て10時起き。
目覚める頃には日はすっかり登っている。
外に出る用事は夕方にして、日中は調香に励む。

「土」をテーマにした香りを作っている。
土を思わせるベチバー、パチュリーなどの香料はあるのだが、それらはウッディ、木の香りで、トップノート、ミドルノート、ベースノートの内のベースにあたる。
香水は普通真ん中のミドルノートから作る。
中心部が香りのイメージの核となるのでこの部分が不安定だとバランスがうまくとれない。
このミドルの部分のイメージがぼやけてしまう。
みずみずしさもほしいがさわやかすぎず重さも乾いた感じもほしいと欲張るのがきっと良くないのだが、そもそも土というものは朽ちた植物、死骸、砕けた鉱物、糞尿、微生物、様々な物が混ざり合って出来ているし、テーマに選んだのは、混沌とした豊かさにひかれたからだ。

しかし複雑になるほど、香料の数が増えるほどまとまらなくなる。

香水にも花や草木の香りだけでなく動物からとった香料も使う。
ムスクはジャコウ鹿の生殖腺分泌物、アンバーはマッコウ鯨の胆石から採られる。
ただし現在は動物保護などの理由から天然の香料を使うことはほとんどなく、値段も非常に高いので合成のものが主流。

「土」からこんなテーマが浮かんだ


様々な物が混ざり合った生の痕跡
芽吹く場所
還る場所


からだ
様々なものが混ざり合った生の痕跡
からだという混沌
からだという芳醇
何かを
生み 育てることのできる場所

                      Hysterial ヒステリアル

・hystera(ヒステリア)…ギリシア語で子宮の意


香水は直接肌につける、うつろう、同じ香水でもつける人のによって香りが違う。
肌につけ体温で香る、自分のにおいと混ざる。

そうやって肌の上にまとわれた時に、漂ってくるものが単にいい香りというのでなく、混ざり合って揺り動かされ、考える、表面の接触よりもっと深くからだに入り込むものを作りたいと思った。
からだを広げる
からだを砕く
からだが消えていく

壮大な計画です…。


今日は嗅ぎすぎてもう鼻が利かない。

夕方、そろそろ日が落ちる。
水やり。
メタリックなトカゲ。
シャワシャワ蝉が鳴いている。山手の蝉は涼しい声で鳴く。

晩ご飯はなんかお惣菜をこまごま作りたくなった。
きんぴらごぼう、ポテトサラダ、キャベツとシソときゃら蕗の和え物、鶏団子と三色ピーマンの中華風炒め。
ダーリンはここ数日一日中パソコンに向かい仕事仕事。
栄養係も手は抜けません。
それにしても冷蔵庫が小さい!