ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ジョイフル♪ノイズ

2012-04-29 18:59:52 | さ行

「天使にラブソングを……」系と聞いて
元気になりたい!と、観てきました。

「ジョイフル♪ノイズ」69点★★★☆

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米・ジョージア州の小さな街。

街の聖歌隊は、全米の聖歌隊によって戦われる
「ジョイフル・ノイズ」の優勝を目指して特訓していた。

しかし
中心メンバーで進歩的なG.G.(ドリー・パートン)は
「もっとイマどきの曲をやろう」と言うが、
保守的なヴァイ(クイーン・ラティファ)は猛反対。

G.G.の孫(ジェレミー・ジョーダン)が、
ヴァイの娘(キキ・パーマー)に一目惚れしたことで、
事態はさらにややこしくなる。

さらに決勝進出に向けて、
聖歌隊に障害が立ちはだかり――?!

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やっぱり歌声はいいね!
盛り上がるしスッとする。

しかもゴスペルって、なんともいえない
高揚感があるもんなあ。

歌のパートでは
クイーン・ラティファはやや抑えめで、
若手のキキ・パーマーらが、多めに見せ場をもらってる。

それにカントリー歌手で「マグノリアの花たち」などにも出てる
ドリー・パートン(66歳!)も若々しくってすごい。


ただ脚本はもう少し練って欲しかったな。


ドラマは普通だし、上映時間2時間以上のわりには
途中のエピソードが1、2個スッポ抜けたような急な場面展開も気になった。

まあ、それでも
マイケル・ジャクソンの「マン・イン・ザ・ミラー」なんかが
ゴスペルに歌い上げられるのを聴くだけでも
まま楽しめますけどね。

それに、大会の決勝で登場する
対戦相手の聖歌隊の、センターの少年がスゴい。

マイケル・ジャクソンの伝記がいま作られるなら、
断然彼が主役って気がしますわ。


★4/28(土)からシネマート新宿ほかで公開。

「ジョイフル♪ノイズ」公式サイト
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テルマエ・ロマエ

2012-04-28 17:04:05 | た行

思ったより、おもしろかった(笑)

「テルマエ・ロマエ」66点★★★

ヤマザキマリの人気コミックの映画化です。


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公衆浴場が大人気で
風呂好きの都だった古代ローマ帝国。

浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、
あるとき、ローマの風呂からタイムスリップしてしまう。

着いたのはなんと、現代日本の銭湯。

まったく状況が飲み込めない彼だが、
湯の出る蛇口や
壁にかかれた富士山の絵などに感動しまくる。

そしてルシウスは
売れない漫画家(上戸彩)に出会い――?!

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テルマエ・ロマエとはラテン語で
「ローマの風呂」という意味だそう。

原作マンガを1巻でやめたのは、
古代ローマでアイデアに詰まる→現代日本にタイムスリップ→ネタを持ち帰る、
のパターンに先が見えそうだったからだけど、

意外に風呂がらみのネタを
湯水のごとく考え付くなあ、と感心。

TOTOだかINAXだかのショールームにタイムスリップするなど、
どんどん出てくるアイデアに
おもわず笑っちゃいました。


ローマ人と阿部ちゃんたちが日本語で会話するのが
ヘンに吹き替えっぽかったり、

彫りの深い役者を選抜してあったり、

でもみんな真面目にやっててるのが
バカバカしくも許せるというか。


マンガで読んでいた部分でも、
阿部氏の当惑顔など
映像ならではの味で、笑うところもあったし。

未読のかたはかなり笑えるでしょう。

それに
阿部寛の裸一貫が意外に多い。
これはやっぱりサービスなのか?!

迫力ありました(笑)


★4/28(土)から全国で公開。

「テルマエ・ロマエ」公式サイト
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ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン

2012-04-27 20:34:08 | は行

確かにある意味「ハングオーバー」女性版?!(笑)

「ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン」70点★★★★

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米・ミルウォーキーに暮らす
30代後半の独身女性アニー(クリステン・ウィグ)。

仕事もダメ、男もダメ、の崖っぷちで
自然と生活も態度もすさみがち。

そんなとき、
親友リリアン(マーヤ・ルドルフ)が結婚することになり
ブライズメイド=花嫁介添人の代表として
式を仕切ることになった。

しかし親友のダンナの家は超・金持ちで、

同じブライズメイドになったのは、
セレブ気取りのいけすかない女や、ディズニー好きのカマトト女、
マッチョでがさつな女……と凸凹状態。

果たしてアニーは無事に式をまとめられるのか……?!

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下ネタ満載、お下劣も炸裂、
セリフで笑わせる超・王道なコメディです。

かなりバッチい描写もありますので、ご注意を(笑)


表向きは“結婚式”にまつわる話ではあるけれど、
裏テーマは「崖っぷち女」。

なので実際は
「ハングオーバー」というよりも
「ヤング≒アダルト」に近いものがあります。

男もダメ、仕事もダメ、
自業自得な主人公アニーの、やさぐれ加減が半端なく、
そこらのロマコメなんかとは、レベルが違う(笑)


男んちでも、Tシャツブラに下はテキトーなパンツ……っていうのがもう(苦笑)
(「ヤング≒アダルト」でもヌーブラがかなりツボだった番長。
女の“素”の象徴なんでしょうかね


そんな“残念な女”のハンパなさは買うし
けっこう笑えたのですが

「ヤング≒アダルト」のような感情のひだはない。


さらに主人公の動機が
「自分のほうが、親友だもん!」というような
意地の張り合いだったり、

お金持ちへの嫉妬だったりと、
子どもっぽいのが、もう一歩だったな。

そこが未成熟な主人公のダメさであり
“コメディらしさ”でもあるんですけどね。


試写では男性がかなり笑ってました。
男の人ってさ、この手が好きなのね。

★4/28(土)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。

「ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン」公式サイト
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孤島の王

2012-04-26 23:38:38 | か行

本国ノルウェーでも知られていなかった
ある事実を描いたサスペンスです。

「孤島の王」72点★★★★


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1915年。

ノルウェーのバストイ島に
少年エーリング(ベンヤミン・ヘールスター)が送られてくる。

この島には非行少年を矯正する施設があり、
エーリングは罪を犯して、島に連れてこられたのだ。

威圧的な寮長(ステラン・スカルスガルド)にも屈しないエーリング
大人たちに目をつけられるが、
次第に班長である優等生(トロン・ニルセン)と心を通わせる。

しかし、やがてエーリングは
施設の水面下で起こっている、
ある事実を知ることになる――。

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キンと冷えた緊迫感のなか
「正義とは何か」を考えさせ、
しっかりと物語の手応えを感じる映画でした。

舞台となる矯正施設は、
1900年から1970年までノルウェーに実在したそう。

見ると、一応規律が守られていて、
少年同士にえげつないイジメなどはないんですよ。

しかし、
彼らは大人たちに不毛な労働をさせられ、
まともな食事も与えられない。

さらに寮長に関わる、
陰惨な事実も明らかになっていく。


そして、主人公のエーリング同様、
観客は気付かされるんですね。

彼らが闘うべきは
「無垢」を犠牲とする「大人」であることを……。


抑揚の効いた筆致で少年たちの友情を丁寧に描き、
社会の悪であるはずの彼らに、
その経験値のなさゆえ持ち得る“イノセンスと正義”を、映し出させたのが見事。


大人の事情に組伏せられそうになっても、
自分の未来、そして命すら懸けて抵抗する少年の、
魂の美しさ、清らかさが
残滓のように、心に積もります。

まあ「大人って汚い!」ことこのうえないですけどねえ。

主人公エーリング役の少年の
不敵さ満点、反抗的なオーラもすごい(笑)

ラスト意外な展開となりますが、
最後まで“規範”をきちんと持つ姿勢が、
ここでは正しいと感じました。


★4/28(土)からヒューマントラストシネマ有楽町で公開。ほか全国順次公開。

「孤島の王」公式サイト
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HOME 愛しの座敷わらし

2012-04-25 23:27:03 | は行

ほわ~んとほのぼのも、悪くないです。


「HOME 愛しの座敷わらし」70点★★★★



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サラリーマンの父・晃一(水谷豊)の転勤で
岩手県、遠野に引っ越してきた高橋家。

憧れの古民家暮らしを勝手に決めて、
ウキウキの晃一だが、

妻・史子(安田成美)と中3の梓美(橋本愛)は
初めての田舎暮らしに不安&不満顔。

喜んでいるのは小学生の智也(濱田龍臣)
晃一の母(草笛光子)だった。

そんなある日、
智也は家の裏の祠で
着物姿の小さな子に出会う。

それはこの地方では有名な「座敷わらし」だった――。

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お互いを思いやりつつも、
あらたまって言葉にすることもなく、

そのうちにビミョーにすれ違い、
時にぶつかってしまう。

そんな
どこにでもありそうな家族の再生を
のびのびとユーモラスに描いた作品です。


ほのぼのとしつつも
きちんと筋が通っており、

座敷わらしについても、その悲しい由来にさらり触れるなど、
雰囲気だけのご当地ムービーとは一線を画すのは

原作、荻原浩氏の持ち味もあるのでしょう。


キャラが非常に立っていて、

水谷豊氏のほんわか&愛嬌あるサラリーマンお父さん役には
思わず微笑んでしまうし、

安田成美氏もほんのり美しく
濱田岳くんもかわいらしい。

なにより家族全員のハーモニーが、
うまく合っている。

そして遠野の夏から秋の風景が、実に美しいです。


草笛さんのボケ話は余分な気もしますが、
舞台となる茅葺きの古民家をはじめ、美術も小道具もセンスがいい。

この美術センスは、いまどきのカフェ系ではなく
『サライ』くらいの渋い大人にも
おすすめですね。


★4/28(土)から全国で公開。

「HOME 愛しの座敷わらし」公式サイト


映画の役柄が素敵だったので、
ぜひにとお願いしまして
今週発売の「週刊朝日」(5/4-11合併号)の「人生に乾杯!」で
水谷豊さんにインタビューをさせていただきました。

ご本人も、とても気を配ってくださる
すてきな方。

うちの母なんか、完全に
水谷さん=右京さんと思い混んでるクチなんで(笑)

ウケてくれました。

ぜひご一読くださいませ♪
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