ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ライフ-いのちをつなぐ物語-

2011-08-31 20:36:53 | ら行

見たら人に話したくなる
ビックリ映像が満載!

「ライフ いのちをつなぐ物語」70点★★★☆


松本幸四郎、松たか子親子が
ナレーションを担当する
BBC製作のネイチャードキュメンタリー。

3~5分ほどを1エピソードにして、
24の生き物を紹介する作りになっとります。


「オーシャンズ」とか「アース」とか
数あるネイチャーものは
けっこう印象ごっちゃになってたりするんですが、
これは突出してますね。

「生き物の工夫」や「生きる知恵」に
特化したのがよかった。

特に昆虫やネズミ、カエルなど
小さき世界の驚き映像がスゴいす。

本当に「へえぇ」「スゲー!」が満載。


爪の先ほどの大きさのカエルが
おたまじゃくしを背負って(!)木に上る理由は?
小石ガエルの名前の由来は?
葉切りアリは、葉っぱを食べないのに
なぜ葉っぱを運ぶのか?

……などなど、
学校でクイズ形式にして見せたら最高に楽しそう!

見たら人に話したくなるけど
実際に映像を見ないと
「うそだー」と信じてもらえないかもしれない(笑)


そのくらいビックリ映像です。

ただ
映像は80点なんですが、
日本版の演出が説教くさいというか、
ちょっと煽りすぎてるのがマイナス。


特に前半。
「生きるとはなんでしょう?」という問いかけで始まったり
(すべてそういう演出なのかもしれませんが、
日本語で問われるとどうもね……

自然界の「自然」な風景を
ことさらに「がんばってる」という
勝手な人間目線で紹介してる感じが。


でもまあ中盤から
それもあまり気にならなくなった。
本当に映像はスゴイし
おもしろいですよ。

88分とコンパクトなのもグー!
お子さんも飽きずに鑑賞できるのでは。

それにしても
松親子って、仲いいよね。
ドラマでも競演してるし、
缶コーヒーのCMしかり。

単にクールな仕事仲間なだけかもしれないけど
それでもいいよなあ。

★9/1から全国で公開。

「ライフ-いのちをつなぐ物語-」公式サイト
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天国の日々

2011-08-30 23:42:01 | た行

誰だかわかります?これ。
リチャード・ギアですよ!(笑)


「天国の日々」85点★★★★


40年間で5作品しか作っていない
テレンス・マリック監督。
1978年製作の第2作目が、リバイバル上映!

「ツリー・オブ・ライフ」がわかんなかった人でも
こちらはぜひ!



1914年ごろのアメリカ。

血気盛んな青年ビル(リチャード・ギア)は
恋人のアビー(ブルック・アダムス)と
幼い妹(リンダ・マンズ)を連れて、
仕事探しの旅に出る。


ビルは行く先々で、
アビーも妹だと紹介していた。
そのほうが通りがよかったからだ。

3人はテキサスの農場で
麦刈りの季節労働をすることになる。

朝から晩まで
過酷な労働につくビルたち。

だが、そんな日々に変化が訪れる。

若き農場主チャック(サム・シェパード)が
アビーを見初めたのだ。


いまの暮らしから抜け出したいビルは
恋人アビーに
チャックと付き合うよう薦めるのだが……。



日本公開は1983年だそう。

番長、ちゃんと見たの初めてでしたが、
いや~~ホントに素晴らしかったです……。


33年前に作られた作品なのに、っていうのもなんですが、
あまりにも
いま観ている現代人の呼吸に合っているような
このみずみずしさは何?!

話だけ見るとメロドラマですが、
底知れぬ深淵を醸し出している。

その要因はタイトルどおり、
天国の1ページのような映像の力でしょう。


陸橋を渡る汽車のシルエット、
グリーンと金色の二層になった麦畑の美しさ。

石炭で動く鋼鉄そのもの、の農耕機械の猛り。

そして火の海となった麦畑で、
火車となって走り去る馬車――。



そのなかで繰り広げられるドラマは
「神」など言葉に出ないのに
まさに神の息を感じる様相です。


春がきて、秋になり
また麦を刈り、
そして冬がきて雪が降る。


こうしたマクロ視点や
生命のサイクル感覚は
新作「ツリー・オブ・ライフ」に
そのまま通じています。

「ツリー・オブ~」より
ドラマがわかりやすいので、おすすめです。

神は33年前から、すでに“ネ申”なのね……。

★8/27から新宿武蔵野館で公開。

「天国の日々」公式サイト
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サヴァイヴィング ライフ―夢は第二の人生―

2011-08-29 20:54:41 | さ行

夢モノって大抵つまんないんだけど、
これはオチがよかったですね。

「サヴァイビング ライフ―夢は第二の人生―」68点★★★☆

チェコのシュルレアリストで
アートアニメーションの巨匠、
ヤン・シュヴァンクマイエル監督の新作です。


冴えない中年男エフジェンは
ある日、夢のなかで若い美女と出会う。

目覚めても、その夢の続きが見たくなった彼は、
自分の意志で夢の世界に入っていく方法を見つける。

しかし、だんだんと現実と夢の境界が
あやふやになってゆき……?!



写真を切り貼りしたフォトコラージュと、
実写を組み合わせて作られた映画です。

しかし
“アート作品でござい”ではないんです。
そこがいい。


冒頭、作者自身が登場し
「これは実験映画ではありません。予算がなかったの」と
口上を述べるシーンに爆笑!(笑)


ビジュアル的なおもしろさは
もちろんアートなんだけど、

ユーモアたっぷりで、

しかも
シュールな世界が意外に破綻せず、
整合性が取れていて
“映画”としての満足度を上げてます。


美術展で見る「映像インスタレーション」とは
あきらかに違う時間を提供してますね。


それに夢の話って
人に聞かされるのもつまんないけど
作品になっておもしろいことも
ほとんど皆無!

なので
本作は意外にもちゃんとオチついてて
スゴイなと思いました。


番長、シュヴァンクマイエルって
アート作品は見たことあるんですが
映画作品をちゃんと見たのはこれが初めてかもしれない。


今週発売の『週刊朝日』「ツウの一見」で
シュヴァンクマイエルファンの
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんに
この映画について伺いましたが、


ケラさんによると
本作は今までの作品より、
かなりユーモラスで見やすい作品だそう。

初心者に最適かもしれません。

そうそう、8/20から
ラフォーレミュージアム原宿で展覧会も開催中。

興味を持たれたら、ぜひ会場へ!
番長も行きまっす。


★8/27から渋谷シアターイメージフォーラムで公開。

「サヴァイビング ライフ―夢は第二の人生―」公式サイト
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ピラニア3D

2011-08-28 17:05:29 | は行

「こういう映画が3Dをダメにする!」とか
ジェームズ・キャメロン監督が
お怒りらしいですが(笑)。

いや、アリと思いましたよコレは。


「ピラニア3D」70点★★★☆


アメリカ南西部。

春休みのビクトリア湖畔は
ビキニ姿のギャルと
ナンパ男子たちのパラダイスと化していた。

地元の高校生ジェイク(スティーヴン・R・マックイーン)
ひょんなことから
ポルノビデオの撮影を手伝うことになる。

ジェイクが美人女優たちに
ウハウハになっているそのころ、
湖の底では恐ろしいことが起こっていた。

湖の底にできた裂け目から
大量の殺人ピラニアが湖に放たれたのだ――!

しかし、ジェイクもギャルたちも
誰もそんなことは知るよしもない――。


これぞ夏!
飛び出すセクシー、そして納涼、
正統な恐怖映画!(笑)

流血、美女のヌード、大惨事……と、
「これでもか!」とエグいんですが、

いや、マジメな話
きちんと仕事して、
しっかり出来てました。

いろんなパロディがあるけど、ふざけてない。
オチもうまかった。


78年生まれのアレクサンドル・アジャ監督は
「ピラニア」(78年)を見て感動し、
大まじめに由緒正しき
“そっち方面”を目指したんだって。

うん、ちゃんと目指すもの出来上がってましたよ。


ピチピチ、ムチムチの若さと“生”が、
瞬時にして地獄と“死”に変わる
ある種カタルシス、ってやつですよね。

「見ちゃいけません!」って言われるものほど
見たくなっちゃう、という。

なにより
ピラニアも美女の裸も
ちゃんと立体的で、飛び出してるのがいいですね。

奥行き重視の3Dには
番長、あまり意味を見出せないんで、
立体映画ってこういう意味があったんじゃないのか、と
改めて思いました。


けっこういい俳優がチョイ役で登場してるのも、
「こういう映画、アリじゃね?」という
意思表示と思います。

確かに昔はこの手のジャンル、確立してた。
「ピラニア」もあったし、
続編「殺人魚フライングキラー」(81年)もあったあった!
しかもジェームズ・キャメロン監督(笑)。

えーと
R-15指定です、念のため(笑)。

★8/27からTOHOシネマズ六本木ほか全国で公開。

「ピラニア3D」公式サイト
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LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語

2011-08-27 10:45:00 | ら行

ほんとに、うまくまとめたよなぁ、コレ。

「LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語」71点★★★☆


「あなたの2010年7月24日の、ひとコマを撮ってください」という
リドリー&トニー・スコット兄弟の呼びかけに応えて、

YouTubeに寄せられた
世界192ヵ国、4500時間分の映像。

そこから約330組の映像を選んで、
「ラストキング・オブ・スコットランド」の監督がまとめた映画です。


世界初の「ソーシャル・ネットワークムービー」だそうですが


正直なところ
「素人のホームムービーを断片的につないだのかなー」と
あまり期待してなかったんです。

が、しかし
ホントに上手に編集してあって驚きました!

これなら“映画”としてお金取れるね、確かに。

YouTube投稿者のセンスが、いいのかもしれないですが。


映画は7月24日の夜明け前から始まって、
世界中の人々のそれぞれの朝、
歯みがきに朝食作り、出勤風景などを
絶妙なカットワークで繋いでいきます。


同じ人の映像が切れ切れに出てきたりもするので、
ストーリーがつながっている感覚もあるし、

個々の映像はパーツじゃなく、
パート、って感じ。

日本からも採用された方が出てきます。
すごくいいパートを任されてます。


また「生の映像」だからこその
ユーモアと笑いにも溢れていて、

なかでも
出産(帝王切開)に立ち会ったらしいダンナが
カメラごとぶっ倒れるシーンには爆笑(笑)!


「いのちの食べ方」的、
ちょっと残酷なシーンもあるけれど、

普段見ているもの、見ていないものを均等に織り交ぜ、
異文化、生と死、平和と対立など、
緩急をつけた編集で、飽きさせません。


映る風景も風習も
どれもバラバラなんだけど
確かに感じるのは「みんな同じ地球で生きてる」ってこと。

製作者が伝えたかったことが
シンプルに、リアルに伝わるのがよかったです。

え?どうせならYouTubeで見たいって?
うーん、こりゃまいった(笑)。

映画館で見て損はしないはず、です!


★8/27からユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国で公開。

「LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語」
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