ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

TENET テネット

2020-09-17 23:52:38 | た行

ネタバレ?大丈夫です。

ネタもなにも、全然、わかってませんから!(開き直り!笑)

 

「TENET テネット」71点★★★★

 

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ウクライナ。

満員のオペラハウスで大規模テロが発生する。

 

人々を救うため、特殊部隊に参加していた

主人公の名もなき男(ジョン・デイビッド・ワシントン)は

銃の弾が逆回転して、発射前に戻る、という謎の一瞬を目にする。

 

が、結局、敵に捕まってしまった彼は

拷問の末、自決した――はずだった。

 

が、なぜか目を覚ました彼に、新たなミッションが与えられる。

それは「未来からやってくる敵から、第三次大戦を防げ」というもの。

未来の世界では「時間の逆行」という装置が開発され、

それによって過去への行き来ができるようになっていたのだ。

 

その仕組みは???な彼だが、

キーとなる「テネット」という言葉と

ニール(ロバート・パティンソン)という相棒を得て、行動をはじめる。

 

そして彼は

すべての鍵を握る武器商人セイター(ケネス・ブラナー)と、

彼のかごの鳥となっている妻

キャット(エリザベス・デビッキ)に出会うのだが――。

 

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薄々予想はしてましたが、すみません。

本当に世界のルールが真に理解できず

ついていけませんでした(泣)

描かれてるのは「時間の逆行」で

何をしてるかは、なんとなくわかるんですが

映像でも

「何が起こってるか」を、すごくわかりやすく、未体験の映像として見せてくれているんですが

 

仕組みが、やはり難しい。

「エントロピーの法則」とか、ボンボンくるですもん(苦笑)。

 

 

「インセプション」(10年)「インターステラー」(14年)

一番難しいところがずっと、みたいな。

「ああ、あそこはもにゃもにゃもにゃ・・・・・・」でなんとかやりすごしてきた

そのレベルを超えられてしまった。

 

ノーラン監督の頭のなかって、ホントどうなってるんでしょうね???

 

でもね、いいんです。

わからずとも、この映像を体験し、頭をフル回転させながら謎解きをする楽しさは十二分。

 

それにね映画って、期待して観るまでが、まず一番楽しいの。

で、この映画は鑑賞後も

2時間半前の、まったくまっさらの同じ期待値で

また観たい!と思える。

 

これこそが、ノーラン監督が仕掛けた“時間の罠”なんだとワシは思いました。

 

 

この物語とルールは

ノーラン監督の中では、完璧に構築されてるんだと思うんですが

この世界の設計図にスタッフも、役者もついていって完成させたんだよな・・・・・・と考えるとめちゃくちゃすごい。

全員への共通認識用のマニュアル、解説書とかないの?!とか

本気で思いました。

 

で、鑑賞後しばらくして

プレス資料=プロダクションノートをいただいてみると

少なくとも俳優たちは「???」のままで、この世界に飛び込んだよう。

そうなのか。それもすごいぞ。。

 

観ながら感心したのは「トワイライト」シリーズでおなじみのロバート・パティンソン、

観ていてもしばらく「ハテ、これ、誰?」と思わせるほど

かっこよかったですよ。

あと身長190センチとか言われるパーフェクトなエリザベス・デビッキも美しい!

 

 

ワシは映画をみたその夜、

そのまま大好きな「インターステラ-」(14年)を見直しました。

うん、なんか少し、ほどけたような。

「メメント」(00年)も見直したほうがいいですね。

監督がループしている「箇所」がすごくよくわかる。

「インセプション」(10年)ももちろん、つながっているでしょう。

 

個人的にはこの世界の感覚、これも大好きで4回は観てる

トム・クルーズ主演の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(14年)にも通じる気がしました。

 

まずは体験してみてください!

そして、物理学方面などの専門家の助けを借りながら

語り合いましょう!

 

★9/18(金)から全国で公開。

「TENET テネット」公式サイト

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誰がハマーショルドを殺したか

2020-07-18 00:27:14 | た行

ミステリー小説より奇!な展開が戦慄。

 

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「誰がハマーショルドを殺したか」74点★★★★

 

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サンダンス映画祭で監督賞受賞のドキュメンタリー。

ミステリー小説さながらの謎解きに、かなり、のめり込みます。

 

ことのはじまりは1961年9月。

当時の国連事務総長だったハマーショルド氏が

アフリカで航空機墜落で死亡する。

しかし

事件は未解決のまま。

 

ホントに事故だったのか? 

誰かがハマーショルドを殺したんじゃないのか?

 

デンマーク人ジャーナリストで監督のマッツ・ブリュガーと

長年ハマーショルド事件を追っている調査員ヨーランのコンビが

その謎を追う、という展開です。

 

彼らは同業者の助けも借りながら、

行き詰まったりしつつも

粘り強く当時の証言者や目撃者を訪ねて証言を集めていく。

 

そこに浮かび上がってくるのは、

謎の組織「サイマー」の存在。

 

その組織が、アフリカで黒人撲滅のため、

超絶に恐ろしい「実験」をしていた――――という話なんですね。

その闇を

ハマーショルド氏がつつこうとしたために消された、ということらしい。

 

ラスト、すべてを知る人物の証言は

確かにすべてのパズルのピースをはめる。

完璧。

 

だが、待って。

彼も、証言者たちも組織も、全てを処分し、証拠を残していないのだ。

果たして、監督たちがたどり着いものは事実なのか――――?

 

その判断は我々にも委ねられているのです。

 

でもね、

利権を求める人間の欲望が、

信じられない恐ろしい陰謀を実行する

その例を我々は実際、いま見せられている。

 

検事長の賭けマージャンどころじゃない邪悪さだけど

悪の構造は似たようなもの。

森友学園改ざん問題で「殺された」赤木俊夫さんのことも思いつつ

現実の「闇」を知ると

この答えがおのずと立ち上ってくる気がするのです。

 

★7/18(土)から渋谷イメージフォーラムほか全国順次公開。

「誰がハマーショルドを殺したか」公式サイト

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チア・アップ!

2020-07-03 23:55:24 | た行

ダイアン・キートン主演だけあって

センスいいんです。

 

「チア・アップ!」71点★★★★

 

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都会で一人暮らすマーサ(ダイアン・キートン)。

 

お一人様&子ナシらしき彼女は断捨離をし、

長年住んだアパートも引き払い、

郊外へと向かう。

 

着いた先は、パステルカラーの建物や青いプールがまぶしい

高齢者の居住区、サン・スプリングス。

 

ここで静かに余生を送ろう――と思ったマーサだったが

ご老人たちはみな元気モリモリで

ゴルフにクラブ活動にと忙しい。

 

都会育ちの彼女は、

周囲とディスタンスを取っていたが  

あることから

若いころ憧れた「チアリーディング」のクラブを発足することになり――――?!

 

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こういう映画だろうなー、と思っても

やっぱり期待を裏切らないのがいいし、

意外とそれ以上、という映画でした。

 

まず、冒頭

キートン×ニューヨークなイメージそのものな、

気分のアガる音楽とセンスに

「やっぱり、そうくるよね!」と、嬉しくなります。

 

宣伝ビジュアルは

黄色の元気印!で、ちょっとベタなオバちゃん的センス?なイメージだけど(失礼!)

やはり彼女が主演だけあって

品とセンスがちゃんとあるんだよなー。

 

名作ドキュメンタリー

「はじまりはヒップホップ」(16年)もだけど

やっぱり高齢者が、新しい物事にチャレンジし

生き生きとしはじめる話は、

観ているだけで気分が明るくなるし、勇気と元気をもらえて

好きですね。

 

70オーバーな女子たちの友情とダンス奮闘、そして

祖母の家でこっそり暮らしている

ババ好きする若者(チャーリー・ターハン)や

ひょんなことから主人公たちにチアを指導する

イケてる高校生(アリーシャ・ボー)など

 

高齢者と若者が、交流することで

互いに何かを得る――――という鉄板展開もグー。

 

この映画はこの時期、

スポーツジム通いを休んでる人や、仲間とのバス旅行をあきらめているような

シニアの方々に、特におすすめしたい。

 

仲間のいる楽しさや、幸せを

きっと再確認できると思うし

 

みんなに会えないつまらなさを

せめて紛らわして欲しいと思うのです。

 

★7/3(金)から新宿ピカデリーほか全国で公開。

「チア・アップ!」公式サイト

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デッド・ドント・ダイ

2020-04-05 03:57:47 | た行

あのジム・ジャームッシュ監督が、ゾンビ映画ですぞ!

 

「デッド・ドント・ダイ」70点★★★★

 

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アメリカの田舎町センターヴィル。

事件らしい事件もない、のどか~な町で

警察署長クリフ(ビル・マーレイ)と

巡査ロニー(アダム・ドライバー)は

いつものようにパトロールをしている。

 

農夫(スティーヴ・ブシュミ)の通報を受けて、

森に暮らす世捨て人(トム・ウェイツ)を注意に行ったり

なんでもない、いつもの一日。

 

しかし最近、なにかが少しずつ変だった。

スマホが突然動かなくなったり、無線がおかしくなったりする。

 

そんな日の朝。

ついに事件が起こった。

 

町にひとつしかないダイナーで

血まみれの死体が発見されたのだ。

 

いったい、何が起こったのか?

 

やがて事態は、クリフたちの想像を絶する方向へと進んでゆくーー。

あくまでも、ゆるゆるとーー(笑)

 

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ジム・ジャームッシュ監督がゾンビ映画を撮った!

といっても監督にはドラキュラ映画の快作

「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(13年)

もありますしね。

 

あれよりもスタンダードな

いわゆる「ジャンル映画」を狙った感じでしょうか。

 

ワシ、ゾンビ方面はあんまり詳しくないんですが

映画好きって、やっぱりみんなゾンビ通ってるんですよね。

 

昨今はディザスターやSFにもゾンビが相当に絡んでくるし

「映画作ろうぜ!」なワクワク青春映画でも

ほぼ必ず作られるのがゾンビ映画だし。

ちゃんと腰を据えて観なきゃなあ、と思っておりますが

 

で、本題。

ジャームッシュ監督も、やっぱり撮りたかったみたいです。

 

で、

ゾンビでも、やっぱりジャームッシュ節、全開。

 

田舎町のゆるく、ダウナーな空気のなか、

ジャームッシュ組の豪華キャストたちーー

警察署長にビル・マーレイに、巡査のアダム・ドライバー、

謎めいた葬儀屋のティルダ・スウィントン

(「オンリー・ラヴァーズ~」の彼女のヴァンパイア役は最高だった!)

ーーらが、日常を過ごしている。

 

そんな「ことの前」の描写は

実にジャームッシュっぽいし、

 

で、「こと」が起こってからも、

けっこうとぼけた感じが続くんです。

 

最初の犠牲者の凄惨な死体を前に

首をひねっている警察署長(ビル・マーレイ)らに

巡査(アダム・ドライバー)がマジメな顔して

「これは・・・・・・ゾンビかと」。

 

はい?ってみんながなるのが、おかしいw

 

町のホラーオタクの青年が

ゾンビ映画の知識を生かして、ゾンビに応戦したり。

 

そして

だんだんと「え?やばくね?」なトーンになっていく。

気づいたら、キーが低くなってるような感覚に

ちょっと怖くなったりして。

 

 

ただ、この収束はーーどうなんだろう?(笑)

まあ、そんなところも、ジャームッシュ流か。

 

結局は

すべてを森の中から観察し、

「世界の終わりだ・・・・・・」と訥々とつぶやく

世捨て人(トム・ウェイツ)の語りを、

こんな世に味わうための映画かもしれません。

 

★近日公開。(一部で先行公開)

「デッド・ドント・ダイ」公式サイト

※公開情報は公式サイト、劇場情報をチェックしてください。

状況を鑑みて、無理なきように

よきタイミングでご鑑賞いただけることを願っています。

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ダウントン・アビー

2020-01-12 01:48:07 | た行

ドラマは未見ですが

なるほど、人気の理由がわかった気がする。

 

「ダウントン・アビー」69点★★★★

 

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20世紀初頭、イングランド北東部、

自然豊かなヨークシャーにある

壮麗な大邸宅「ダウントン・アビー」。

 

先代の伯爵未亡人(マギー・スミス)と

その孫であるメアリー(ミシェル・ドッカリー)を中心にした屋敷では

大勢の使用人たちが働いている。

 

そんなある日、イギリス国王夫妻が

ダウントン・アビーに一泊の滞在をすることになる。

 

メアリーたちも、使用人たちも

めったにない名誉にてんやわんやとなるがー―?

 

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2010年にスタートし、2015年まで

世界200以上の国と地域で大ヒットしたテレビシリーズが

シリーズ終了後から数年後、の続きのスタイルで映画化されたもの。

 

ワシ、ドラマは未見。

人物関係がわかりにくい部分は少しありましたが

2時間見てれば、ほぼわかったので

ダウントンアビー初体験者にも、おすすめです。

 

地方貴族の屋敷「ダウントン・アビー」に、

イギリス国王夫妻が滞在することになる。

なんと名誉なことよと、当主たちも召使いたちも浮き足立つけれど

準備はまあてんやわんや。

 

その大混乱のなか

直前に王室付きの執事や召使いたちがやってきて

「私たちがやるので、あなたたちは下がってるように」と

ダウントン・アビーの使用人たちは仕事を奪われてしまう。

 

「そんなわけにいくかい!」という彼らと

王室側の使用人たちのプライドをかけた剣突。

 

さらに、当主側にも

相続問題などさまざまな火種が――?!

 

・・・・・って

まあ正直、平民にはどうでもいいわい!って話なのですが(笑)

 

展開もよくできているし

 

贅沢三昧で自由そうで

実はいろいろ不自由な貴族の暮らしを

「ま~、あそこもいろいろ大変そうよねえ」って

お茶をすすりながら、楽しむ。

そこに圧倒的な魅力がある最強コンテンツなんだなと

改めて感じ入った次第です。

 

それに、ダウントンの当主一家には

けっこう若くして亡くなってる人がいたり、いろいろあったんだなあと

この映画を観るだけで、

テレビシリーズに興味もわきました。

 

なにより一番に感じたのは

ロイヤルファミリーの来訪にも耐える屋敷と調度を

「整える」当主や使用人の姿勢。

 

多大な苦労を伴いながらそれをする彼らのプライドに

「美」をみました。

 

★1/10(金)から全国で公開。

「ダウントン・アビー」公式サイト

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