Coccoにしか出来ない映画であり、それがすべて。
「KOTOKO」69点★★★☆
ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリ受賞作です。
琴子(Cocco)は幼い息子・大二郎を育てている
シングルマザー。
世界が二つに見えてしまう彼女は、
常に幻覚と闘っている。
そんな彼女は次第に、愛する息子を
「もし、失ったら?」という強迫観念にとらわれてしまい――?!
見終わってとにかく
苦しすぎて、胸がちぎれそうで、息が詰まりそうだ。
凄まじい、と称したい映画なのは確かですが
いま辛い状態の人には、正直おすすめできない。
大切なものが大切にすぎて
「もしそれを失ったら?」と考えると気が狂いそうになるなんて
自分だってそうだもん。
そんな誰もが持つ感情の、ほんの一さじ違いのところにいる主人公の
苦しみの描写が痛すぎて、切実すぎて、辛いんですわ。
細い細い糸の上で、ギリギリの精神バランスを保とうともがき
危うすぎる綱渡りをする主人公は、
壊れた危ない人に見えて、実はそんなどこにでもいる人なんだと、
見ながら、つくづく感じました。
そんな“境界上の人”琴子を演じきった
Coccoはやはり凄い。
本人とダブってみえる危うさも、ホント賞賛もの。
神経を逆なでする過剰な音の使い方と、
自身の出演がやっぱり「鉄男」の塚本監督らしかったです。
こういう作品は始末の付け方が難しいですが、
一応、腑に落ちるところではありました。
受け取り方は人それぞれかもしれないけどね。
★4/7(土)からテアトル新宿ほか全国で公開。
「KOTOKO」公式サイト