ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

KOTOKO

2012-04-04 23:34:09 | か行

Coccoにしか出来ない映画であり、それがすべて。

「KOTOKO」69点★★★☆

ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリ受賞作です。


琴子(Cocco)は幼い息子・大二郎を育てている
シングルマザー。

世界が二つに見えてしまう彼女は、
常に幻覚と闘っている。

そんな彼女は次第に、愛する息子を
「もし、失ったら?」という強迫観念にとらわれてしまい――?!


見終わってとにかく
苦しすぎて、胸がちぎれそうで、息が詰まりそうだ。

凄まじい、と称したい映画なのは確かですが
いま辛い状態の人には、正直おすすめできない。


大切なものが大切にすぎて
「もしそれを失ったら?」と考えると気が狂いそうになるなんて
自分だってそうだもん。

そんな誰もが持つ感情の、ほんの一さじ違いのところにいる主人公の
苦しみの描写が痛すぎて、切実すぎて、辛いんですわ。


細い細い糸の上で、ギリギリの精神バランスを保とうともがき
危うすぎる綱渡りをする主人公は、

壊れた危ない人に見えて、実はそんなどこにでもいる人なんだと、
見ながら、つくづく感じました。

そんな“境界上の人”琴子を演じきった
Coccoはやはり凄い。

本人とダブってみえる危うさも、ホント賞賛もの。


神経を逆なでする過剰な音の使い方と、
自身の出演がやっぱり「鉄男」の塚本監督らしかったです。

こういう作品は始末の付け方が難しいですが、
一応、腑に落ちるところではありました。

受け取り方は人それぞれかもしれないけどね。


★4/7(土)からテアトル新宿ほか全国で公開。

「KOTOKO」公式サイト
コメント (2)
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