ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ブロンド少女は過激に美しく

2010-09-26 16:30:07 | は行

すげえタイトル?(笑)

「ブロンド少女は過激に美しく」70点★★☆

もうすぐ102歳(!)になる
マノエル・デ・オリヴェイラ監督の最新作。


ポルトガル・リスボンの町を舞台に
毎夕、窓辺に現れる
ブロンドの美少女に恋をする
会計士の顛末を
瑞々しく描いた作品です。


前作「コロンブス 永遠の海」より
普通のストーリー映画なので
分かりやすく
とっつきやすいと思います。

ブロンド少女がまた
どこで見つけてきたのかというほど
ミステリアスで美しい!



ポルトガル出身のオリヴェイラ監督は
映画誕生とほぼ同じ時間を生き
映画を撮り続けており
その存在だけですごいわけですが

いやはや美しい女性を見つめる眼の
若々しいさまに
驚きます。


朝焼け、夕暮れと合間に挟まれる
リスボンの風景も美しく

まさに監督の愛するものを集約した
非常に優美な時間を楽しめます。


そういえば
オリヴェイラ好きで新婚旅行に
ポルトガルに行った知り合いがいますわ。
いいよねえ。ロマンチックで。


ちなみに
主演の会計士役は
オリヴェイラ監督の孫であるリカルド・トレパ(写真右)。


けっこうハンサムと思いますよハイ。


★10/9からTOHOシネマズシャンテほかで公開。

「ブロンド少女は過激に美しく」公式サイト
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恋愛戯曲 私と恋におちてください。

2010-09-25 14:24:53 | ら行
深キョンはカワイイですけどね。


「恋愛戯曲 私と恋におちてください。」50点★☆


鴻上尚史監督が
2001年と06年に上演された
自身のヒット舞台を映画化したものです。


売れっ子脚本家の谷山(深田恭子)は
新ドラマの脚本が一文字も書けず
スランプに陥っていた。

そんな彼女のもとに
プロデューサー向井(椎名桔平)が送り込まれる。

「書いてもらうためならなんでもします!」という向井
谷山はこう言う。
「じゃあ、私と恋におちて」

えええ~??センセイそれはちょっと……というお話。


思ったよりクスッと笑いもありましたが

深キョン×椎名桔平という
主演キャスティングのビミョーさを覆す、とまでは行かなかった。


いや、椎名桔平はコメディけっこう
がんばってるんですが
やっぱり役者の化学反応の火薬不足ってやつでしょうか。


舞台っぽいのも承知の上だったし
深キョンの衣装替えも楽しいけど

いろんな意味でイメージ通りなのが惜しい。


ただ
現在進行形のドラマのなかで
谷山が生み出すドラマが演じられ
さらにそのなかでまた舞台劇が演じられる、という

入れ子構造に工夫があり
かつ
うまくさばいているとは思いました。


作家の生みの苦しみを
自分自身を投影させたような主人公に託す、という点でも

スケールは小さいけど
テーマとしては
「脳内ニューヨーク」といえなくもない……か?


遅々としてゲンコーが進まない谷山に
向井が「時間がないんですから(そのなかで精一杯の)」的発言をして

谷山が
「あなたは本気でクリエイティブをしようと思ってない!」
激昂するシーンがあるんですが

コレなんか
物作りの末端に関わる一人として
結構身にしみました。


モノ作りに携わる人、業界関係者などには
特にツンとくるものあるかもしれません。


★9/25からヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開中。

「恋愛戯曲 私と恋におちてください。」公式サイト
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メッセージ そして、愛が残る

2010-09-24 22:09:36 | ま行

ジョン・マルコヴィッチの存在感が
どでかいですね。

「メッセージ そして、愛が残る」68点★★☆

フランスで120万部突破という
ベストセラー小説の映画化です。


NYの敏腕弁護士ネイサン(ロマン・デュリス)は
ある事情から妻クレア(エヴァンジェリン・リリー)や娘と別れ
空虚な日々を送っている。


ある日、彼のもとに
医師と名乗るケイ(ジョン・マルコヴィッチ)が訪ねてくる。

ケイは自分の特殊な能力について語り出した。
「私には死期の迫った人間がわかる」

はあ?
胡散臭いケイにお引き取り願うネイサンだが
次第に、ケイの言葉が気になってくる。

ケイは自分に何かを伝えようとしているのか?
いったい何を――?


リー・ピンビンの叙情的で美しい映像にのせて
静かに始まる冒頭から突然の衝撃、
そしてまた静とショックの緩急が続き

終始落ち着いた語り口ながら
どこか不安な予感がつきまとう印象。


「死」についてとことん考えさせ
“いまの生を正しく享受せよ”というのが
作品を貫くメッセージですね。


非常に哲学的な示唆をしながら
「シックスセンス」的ミステリ娯楽の要素もあり
最後に「えっ」という驚きがあります。


ジョン・マルコヴィッチが
謎めいた導き役に適任。

ただ彼の言葉や行動が少々、思わせぶりすぎて
序盤から中盤にかけて
相当にまどろっこしくもあるんですが

それもラストを迎えるころには
「ああ、この経過も必要だったんだな」と
納得できるものでありました。


ジョン・マルコヴィッチの言う
「死とは水平線で見えなくなる船のようなもの。
見えなくなっても、いなくなったわけじゃない」
のセリフは名言だなあ。


ただテーマがテーマだけに
最近身近な人を亡くした人にはつらいと思う。
愛猫との最期の瞬間を思い出して
涙してしまいましたハイ。


★9/25からTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。

「メッセージ そして、愛が残る」公式サイト
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大奥

2010-09-23 15:09:44 | あ行

アハハ。マンガだねこりゃ。
て、マンガか(笑)

「大奥」72点★★★

時は江戸、正徳6年(1716年)。


男だけが感染する疫病のせいで
多くの男子が死に絶え
男女の役割が逆転した時代。

貧乏旗本の息子・水野(二宮和也)は家を救うため
大奥にあがることを決意する。

そこは一人の女将軍・吉宗(柴咲コウ)のために
3000人の美男が集められた
女人禁制の男の園だった……いや~~ん(笑)


しっかし面白いこと考えますなあ。

原作者よしながふみの奇想天外な発想の妙が
7割だと思うんですが

その発想から想像する以上の面白みがありまして
かなりウケてしまいました。

あまりにもギャグな美青年ズラリの図や
そのなかで一人、ちょんまげの二宮が
キリッと引き立つ様など
映画的な楽しさが存分にあり

大仰な音楽やらなにやら
完全にマンガチックに徹したのもいい。

どぎつい性描写もなく(ちょっと意外
ハラハラせずとも楽しめるでしょう。


それにしても
子種のために男が身を売る世の中、
容姿端麗な男は「貰い手がある」というくだりなんて
大爆笑しちゃいましたよ(笑)

女からみると
なかなか痛快なんだなあ、こういうの。


ムスッとかわいげのない
(凛々しいとも言いますが)女将軍・柴咲コウの
切って張ったような物言いも
また爽快でありんした。


以前、作家の伏見憲明さんに教わったのですが
ゲイ社会独特の
物事を斜に構えたような
ある種の小意地悪さのようなものを
「キャンプ」というそうで

なんとなーく、端々に
それがあるかもしれないなあと
感じました。


原作マンガ、楽しみに取っておいたんで
これから読~もうっと。


★10/1から全国で公開

「大奥」公式サイト
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十三人の刺客

2010-09-21 23:41:21 | さ行

ベネチア映画祭、ホント惜しかったですねえ。


「十三人の刺客」70点★★★


江戸時代末期。

罪なき民衆をなぶり殺しにする
暴君、松平斉韶(なりつぐ)(稲垣吾郎)
業を煮やした老中は

御目付役・島田新左衛門(役所広司)
斉韶暗殺の命を下す。

新左衛門は11人の刺客を集め、
暗殺計画を練る。

が、かつて新左衛門の同門で
いまは斉韶の腹心となった鬼頭半兵衛(市村正親)が
計画を阻止すべく動き出していた……。


いや~
冒頭の切腹シーンから
かーなりギョッとさせられました。


三池監督らしい、容赦ないスプラッタシーンが炸裂する
これはもう
時代劇版・和製「300(スリーハンドレッド)」!

ただ
見ているときはキツいと感じても
いまもけっこう、映像が鮮明に
脳裏に残ってるんですねえ。


ろうそくの灯りのみのちらつきを忠実に再現した
目が悪くなりそうに暗い画面や

白塗り眉毛ナシの女たちなど
独自の描写力はさすがだし


13人の心理描写や、背景など何も説明せずに
ただただ、大義のために戦う姿を映すことで

混じりっけの一切ない“武士の美学”が
強烈に立ち上がってきた気がします。


50分に及ぶ決闘シーンの
工夫をこらした戦いぶりも
単純におもしろかった。


好き嫌い別にして
その迫力とオリジナリティで
昨今の時代劇ブームに一石投じる作品と思います。


それにしても稲垣吾郎演じる暴君が
ほんっとにイヤなヤツ!(失笑)

あのしれっとした顔で
超・超・残虐をしでかしてくれる。

これほどまでに
「早く死んでくれ!」と切望する悪キャラも
久しぶりかもしれません。

これはハマり役といえるかも……。

あ~思い返しても憎々しい!(笑)


★9/25から全国で公開。

「十三人の刺客」公式サイト

発売中の週刊朝日(10/1号)に
拙者が構成した
役所広司さんと市村正親さんの対談が掲載されてます。

血のりベッタリの現場の壮絶ぶりから
子育て談義まで、満載でござる。
ぜひ読んでくだされ。
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