ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

県庁おもてなし課

2013-04-30 23:43:07 | か行

「図書館戦争」より
こっちに軍配。


「県庁おもてなし課」70点★★★★


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高知県庁が観光促進のために設置した
「おもてなし課」。

しかし
職員の掛水(錦戸亮)たちは
何をしたらいいのか戸惑うばかり。

そんななか
地元出身の人気作家(高良健吾)から
冷ややかなアドバイスを受け

アルバイトの多紀(堀北真希)が
おもてなし課に加わることになる――。

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てらいのなさ、感じのよさが売りになる作品。


高知県のご当地ムービーであり
その直球すぎる地元応援っぷりも、

錦戸亮と堀北演じる男女の
幼すぎてまるで発展しない恋愛も、

海に向かって叫ぶベタっぷりも

主演二人の「感じよさ」と、
スパイスの一さじとして効く高良健吾の存在感で

ま、いいか、と許せてしまう(笑)

ピュアな素朴さがいいよね、と。


「さしでがましい」など綺麗な言葉が
堀北の声にのると響くのもいいし

お役所の何が「ダメ」なのかを
高良氏が指摘する前半部分は
「よくぞ言ってくれました!」と気持ちいい。


一度行ってみたいと思っていた
(しかし「遠いよ~」と脅され続けている
高知県の美しい自然

そして
なんとなく人のよさそうな県民性が伝わり、
ご当地ムービーとしては成功ではないでしょうか。

素っぽい錦戸亮の“お役所っぽさ”と、
ニヒルな(古っ)役どころの高良の
ちぐはぐなやりとりも笑えました(笑)

NHK朝の連続テレビ小説でも
おかしくなかったかもね。

あれ?梅ちゃん先生・・・?

そして画面にチラッと出てくる県観光大使名簿に
高知出身のイラストレーター、デハラユキノリさんの名前があるのを見逃さなかったぞ(笑)


★5/11(土)から全国で公開。

「県庁おもてなし課」公式サイト
コメント (2)
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ウィ・アンド・アイ

2013-04-27 17:24:05 | あ行

ミシェル・ゴンドリー監督って
読めない・・・(苦笑)


「ウィ・アンド・アイ」31点★★☆


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NYブロンクス。

とある高校前から
高校生たちがぞろぞろバスに乗り込んでくる。

明日から夏休み、ということもあって
車内はいつも以上にお祭騒ぎだ。

恋愛話や仲間うちのスキャンダルで盛り上がる生徒、
乗り合わせた客にいたずらをする悪ガキ・・・。

大騒ぎのバスは、そんな生徒たちを乗せて
市内をめぐっていく――。

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いや~これはですね~
1時間43分が苦行だった・・・(苦笑)

最初、監督らしいビジュアルイメージではじまり
「きたきた」と悪くなかったんだけど

「え。まさかずっとバスの中だけなの?」と気づいたあとの
1時間半の長いこと!

バスのなかで悪ガキたちの
途切れないマシンガントークを延々聞かされ、

クラスメートにもバスに同乗した大人たちにも
無礼でズケズケとした彼らの物言いと
不遜な振る舞いを見て、不愉快なことこのうえない気分に(苦笑)

若さや、鮮やかさなど
よいところもあるんですけどね、

しかし
これがティーンの“いま”だとしても
それがなんじゃ!しばくぞこのガキ!――という怒りが勝ってしまいました。


監督はもう25年以上前に(25歳のころか)
パリで実際にこういうバスに乗り合わせて
アイデアを思いついたんだそう。

出演者は実在の高校生たちで
プレス資料のインタビューによると
「大ホールのなかをウジャウジャしてる60人の子どもたちを相手にしたおかげで
僕は自己管理のやりかたを身につけたよ」だって。

けっこう手を焼いたんですかね(失笑)


★4/27(土)から公開。

「ウィ・アンド・アイ」公式サイト
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17歳のエンディングノート

2013-04-26 21:32:47 | さ行

こういう話って苦手・・・と思ってたんですが
けっこういいんだよね。


「17歳のエンディングノート」70点★★★★


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白血病で大人になるまで生きられないと宣告された
少女テッサ(ダコタ・ファニング)。

17歳になった彼女は
「やりたいこと」リストを作り、実行しようと決める。

「お酒を飲む」
「タトゥーを入れる」・・・

残り少ない人生を駆け足で生きようとするテッサの前に
ハンサムな青年アダム(ジェレミー・アーヴァイン)が現れて――。

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白血病で余命少ない少女(ダコタ・ファニング)が
死ぬ前に「したいことリスト」をやっていく、という話。

まあありがちな話で、
監督が脚本を書いた「マリーゴールド・ホテル~」とちょっと似て、
前半から、丁寧なんだけど噛みごたえない感じもある。

しかし
後半からけっこうグッときた。

なぜ、こうしたテーマの映画が
繰り返し描かれるのか?に、
ダコタの表情と言葉で、ハッと気づく瞬間があったから。

先に逝く人たちは、そのはかない“生”を見せることで、
我々に伝えたいのだ。

余命を宣告されてもいなくて
時間がいっぱいある
「あなたの本当の望みは何?」「夢はなに?」

時間は限られているんだよ、と。

ただ、いつもそう思わされて
ハッと人生考えても
また日常に忙殺され忘れてしまうんですよねえ。

ラストは試写室、
老若男女(たぶん)鼻すすり音の大合唱でしたよ(笑)

一人静かな映画館で見たい映画ですね。


★4/27(土)から新宿武蔵野館ほか全国で公開。

「17歳のエンディングノート」公式サイト
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アイアンマン3

2013-04-25 23:56:45 | あ行

今年のGWは
これがあるだけで1イベントできた!


「アイアンマン3」3D版 71点★★★★


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アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルクと
最強ヒーローたちが終結した「アベンジャーズ」から1年後。

アイアンマンこと
トニー・スターク(ロバート・ダウニー Jr.)は
悪夢にうなされるようになり
精神的に追い詰められていた。

そんなときトニーは
史上最強のテロリスト“マンダリン”の襲撃を受ける。

トニーは最愛の人ペッパー(グウィネス・パルトロウ)を守れるのか――?!

そしてそれは
最悪の事態の、始まりにすぎなかった……。

**************************

「アベンジャーズ」まできちゃったし、
ややどうでもよくなりつつある
アメリカヒーロー大全集だけど、

いや~やっぱりアイアンマンはおもしろい!

キャラが楽しい、
笑いのタイミングがいい、
テンポがいい

ハイテクマシンが楽しい、
そして、バトルが無駄に長くない!(笑)

シリーズもののおおかたの法則に反し、
回を重ねてもなお
「え?そうくる?」と
ぐぐっと身を乗り出させる掴みのツボのうまさ。


前回「2」ではスカヨハを出してきたのもそうだし、
今回はいままで以上に
グウィネス・パルトロウがイイ感じ。


新たなシステム“遠隔操作”もめちゃくちゃ気持ちよく
「もうヒーロー、ちょっとお腹いっぱい・・・」なーんていう
観客の心理をちゃんとわかっているんだよねこれが。


今回、かなり精神的にボロボロなトニーを見ると
彼の過去がやっぱり役にリンクするというか

改めて
「トニー・スターク=ロバート・ダウニーJr.だよなあ!」
「よかったよなあ!」
思う場面がたくさんありました。


あ、いつものように
エンドロール流れても、最後まで席を立たないように!


★4/26(金)から全国で公開。

「アイアンマン3」公式サイト
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ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮

2013-04-24 23:11:51 | ら行

さあ、マッツ・ミケルセンですよ!(笑)


「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」69点★★★★


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1766年、デンマーク。

英国王太子の娘カロリーネ(アリシア・ヴィカンダー)は
デンマーク王・クリスチャン7世(ミケル・ボー・フォルスガード)のもとに
嫁いでくる。

だが夫となった王は精神不安定で
無礼な振る舞いをする男だった。

がっかりしたカロリーネは
失意のまま王の子を出産し、孤独な日々を送っていた。

そんなとき
夫がドイツ人医師ストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)を
王宮に連れてくる。

侍医となったストルーエンセは
やがてカロリーネと出会い――?!

***************************

デンマークでは誰もが知っているという
デンマーク王室最大のスキャンダル史実を

ラース・フォン・トリアー製作総指揮、
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(スウェーデン作品のほうね)の脚本家が監督した作品。


で、うーむ力作・・・・・・ではあるんですが
「すげえタイトル」と思ったものが
あながち外れてないのがいいのか悪いのか(笑)

デンマークの歴史を知ったのはよいんですけど
「ホントにホントの話?」と言いたくなる内容なんですよね~。

18世紀後半、
理不尽な政治と貧困にあえぐデンマーク国民を
自由にしようと願った
ドイツ人医師(マッツ・ミケルセン)。

頭の弱いデンマーク王をうまくコントロールし、
国民によき方向へと改革を進めた……のに、
王妃と恋に落ち、全てが崩壊してしまう……。

愛欲ドロドロ話ではなく、
高潔な理想と国家の改革、という気高きストーリーが軸にあり、
最初はそこに好感が持てるのですが、

いざ関係を持ってしまえば
やはり溺れざるを得ないのが男女のさが・・・というやつなんでしょうか

次第に「国なんてどうでもいい」と
流れていく水は止められない。

そこのところが
微妙な鑑賞後感となるんですね。

たかが愛のために・・・と思うか
愛こそすべて!と思うか。

見る人の意識に相当寄るんじゃないかなあと。


いいところはたくさんあって
自然光を生かした絵に
スーラーの絵画のような美しい風景シーンがサッとはさまり、息を飲むし、

マッツ・ミケルセンの存在感はもちろん
カロリーネ王妃役のアリシアは
「アンナ・カレーニナ」にも出演した注目女優だし

ちょっとお弱いデンマーク王役の
ミケル・ボー・フォルスガードもなかなかよい。
本作が映画初出演にして
ベルリン国際映画祭銀熊賞(男優賞)を受賞したそうです。

★4/27(土)からBunkamuraル・シネマほか全国順次公開。

「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」公式サイト
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